こんにちは。今日は9月最終日の米国株市場を振り返りながら、注目の銘柄や経済指標についてじっくり整理していきます。特に話題になっているNvidia(NVDA)の動きについて、初心者の方にも分かりやすいように解説してみますね。
株式市場は「表面は静か、内側は二極化」
この日の米国株は、主要指数だけ見ると大きな動きはありませんでした。ダウ平均とS&P500は0.2〜0.4%ほどの小幅高。小型株のラッセル2000は序盤に0.9%安まで売られましたが、終盤にはプラスに転じました。全体としては、主要指数は高値近辺で踏ん張っている格好です。
ただし、指数が穏やかでも、個別銘柄の動きはかなり激しいものでした。上昇銘柄と下落銘柄の数を比べる「市場の広がり(breadth)」をみると、ナスダックはややマイナス、ニューヨーク証券取引所はプラス。つまり「表面的には安定して見えるが、中では勝ち組と負け組がはっきり分かれている」状態だったと言えます。
主役はやっぱりNVDA ― 185ドル突破の意味
この日の主役は間違いなくNvidia(NVDA)でした。株価は3%近く上昇し、出来高も伴って185ドル付近のレンジ高値を上抜けました。これは「典型的な順張りのブレイクアウト」の場面で、多くの投資家が注目していたポイントです。
そもそも185ドルという水準は、7週間以上続いた横ばいレンジの上限。そこを出来高を伴って突破したということは、市場参加者が「次の上昇トレンド」を意識し始めている証拠です。短期筋の買い戻しだけでなく、長期資金も入りやすい局面になっています。
また、ちょうど四半期末ということもあり、ファンドが「見せ玉」のようにNVDAを組み入れた可能性も指摘されています。ただしそれ以上に重要なのは、世界中のテクノロジー企業がAIインフラに投資を続けており、Nvidia製GPUがその中心にあるという事実です。Metaとの大規模契約を発表したCoreWeaveの株価が急騰したのも、その証拠と言えるでしょう。
短期的には調整もありえますが、200ドル突破を試すシナリオが有力視されています。大事なのはレンジの中に戻ってこず上値を維持できるかどうか。スイングローを割り込まずに推移すれば、上昇トレンドが続きやすいでしょう。
AI関連の波及 ― CoreWeaveとVertivも注目
NVDAの強さは関連銘柄にも波及しました。AIクラウドを手掛けるCoreWeave(CRWV)はMetaとの142億ドル規模の契約を発表し、株価は一気に+12%。Nvidiaの高性能GPUをレンタルするビジネスモデルが市場から評価されています。
さらに、データセンターの冷却システムを提供するVertiv(VRT)も+5%の上昇。チャート的には「カップ・ウィズ・ハンドル」と呼ばれる形を完成させつつあり、買いの注目点に近づいています。AI需要は半導体だけでなく、クラウドインフラや周辺機器メーカーにも広がっているのが特徴です。
医療株がしっかり、金融株は逆風
セクターごとの強弱も明暗が分かれました。ヘルスケア関連はとても強く、Abbvie(ABBV)、Merck(MRK)、Novartis(NVS)がいずれも3%前後の上昇。ディフェンシブ性の高い医薬品銘柄に資金が集まりました。さらに、CRO(受託臨床試験)のMedpace(MEDP)も500ドルを突破して上昇しています。
一方、金融株は苦しい展開。American Express(AXP)が-3%、SoFi Technologies(SOFI)が-4%、Capital One(COF)が-5%と急落。高金利環境では貸し出しやクレジット関連のリスクが意識されやすく、金融株は相対的に売られやすい状況です。
経済指標 ― 強い雇用と弱い消費者心理
この日の経済データはまちまちでした。米労働省が発表したJOLTS(求人件数)は予想より強く、労働市場の底堅さを示しました。失業率の低さとも合わせて考えると、依然として労働需要は高い状態です。
一方で、Conference Boardが発表した9月の消費者信頼感は94.2。予想の96を下回り、4月以来の低水準です。物価高や金利負担で家計心理が弱まっているのが背景とみられます。
また、週末にはNFP(雇用統計)が予定されていますが、もし政府閉鎖が長引けば発表が遅れる可能性もあり、投資家にとっては不確定要素が残ります。
まとめ
一見すると「静かな一日」でしたが、中身はかなり二極化が進んでいました。AI関連と医療株が強さを見せる一方、金融株は逆風を受けています。そして何より、NVDAが185ドルを突破したことは「AI関連の強気トレンドがまだ続く」ことを象徴する出来事でした。
短期的な調整には注意が必要ですが、AIインフラを巡る世界的な投資の流れは続いており、関連銘柄の強さが当面の市場をけん引していきそうです。