FXで勝つための米国ISM製造業景況指標の使い方を知りたいですか?機関投資家はISM製造業景況指標をFXや米国株の中長期投資に役立つ先行指標として使っています。その使い方をFX初心者でも理解できるように分かりやすく解説します。
もくじ
ISM製造業景況指標とは?
ISM製造業景況指標は、米国の主要な製造業の企業300社の購買担当者に「御社の商売は先月に比べて今月はどうですか?」といった意味合いのアンケートをした集計結果です。毎月1日に先月分のアンケート結果が公表されます。ISM製造業景況指標は海外ではPMIと呼ばれています。
企業の購買担当者というのはビジネスの先行きを見通す必要があります。どれぐらい原材料をいつ仕入れるのか?といった戦略を練る必要があるからです。
ですから彼らは経済の先行きにたいして鋭い感覚を持っている人たちです。そんな彼らに対する「最近どうでっか?」的なアンケートの結果は米国経済の先行きを予測するのに非常に役に立つのです。
ISM製造業景況指数などのサーベイ(調査)系の経済指標は先行指標として中央銀行の意思決定に使われます。ですからFXの長期的トレンドを予測するために機関投資家が注目しています。
なぜISM製造業景況指標が超重要なのか?
2つの理由があります。
- 米国の中央銀行や機関投資家が先行指標として使っている
- GDPの20%を占める製造業の先行きが予測できる
- 長期間のヒストリカルデータがある
ISM製造業景況指標が超重要なのは、世界一の経済大国である米国経済の先行指標として米国の中央銀行が使っているからです。そして中央銀行の意思決定がFXの長期トレンドを作ります。
だったらISM製造業景況指数をFXの長期トレンドの予測に使おうじゃないかということで、機関投資家たちの間でも使われています。
米国経済の構成要素は3つです。
- 企業セクター
- 消費者セクター
- 政府セクター
企業セクターは製造業と非製造業(サービス業など)に分けられます。
ISM製造業景況指数が対象とする製造業は、米国経済(GDP)の20%を占めます。そして、製造業というのはリアルな物を仕入れてリアルな物を販売しています。そういった企業の工場担当者のセンチメント(どう感じているか)を知ることはとても重要です。
ISM製造業景況指標は1947年からのデータが存在します。かなり長期間のでーががあるということです。ということは、過去に起きた数々の好況や不況のサイクルとどのように関連しているかを調べることができるということです。
ISM製造業景況指標のデータとGDPは85%連動していると言われています。
ISM製造業景況指標のデータはどこで手に入るか?
ISM製造業景況指標の最新データはISMのサイトやForexFactoryなどのFXカレンダーサイトで得られます。
長期的な過去データが欲しければ、Investing.comのサイトで入手可能です。1970年からのデータが手に入ります。
ISMのサイトで詳細な最新データを見る方法
ISMのサイトではISM製造業景況指標の詳細なデータを見ることができます。
ISM製造業景況指標の詳細な内訳、アンケート結果の分析結果が文章で事細かに説明されています。英語なので読むのが大変ですが、機関投資家はこのページが更新されれば必ず隅々まで読んでいるようです。
IS製造業景況指標には5つの項目があります。
- 新規受注
- 生産
- 雇用
- 入荷
- 在庫
これらを重みづけのルールに従って集計したのがIS製造業景況指標(PMI)です。
ISM本家サイトでは各項目の数値まで確認することができます。
米国株投資をされる方にとってこのページはお宝情報となります。
ForexFactoryでISM製造業景況指数のデータを見る方法
ForexFactoryのサイトにアクセスします。
表示期間を今月(This month)に設定します。
USDのISM Manufacturing PMI がISM製造業景況指標のことです。
Investing.comでISM製造業景況指数の過去データを取得する方法
「更に表示する」を何度もクリックしていくと過去にさかのぼってデータを表示してくれます。あとはデータを選択してコピーし、ExcelやGoogleシートにペーストして分析しましょう。
ISM製造業景況指標の読み方
以下のように解釈されます。
ISM製造業景気指標が50以上は景気拡大。
ISM製造業景気指標が50以下は景気縮小。
FX相場の反応は、以下のような連想の流れで起きます。
50以上で増えていればセンチメントは強気なので景気拡大 → インフレに向かいそう → インフレになりすぎたら政府が金融引き締めを行うだろう → 金融引き締めでデフレになる → 米ドルが上がる
50以下で下がっているならセンチメントは弱気なので景気縮小 → デフレに向かいそう → デフレになりすぎたら政府が金融緩和を行うだろう → 金融緩和でインフレになる → インフレに向かうなら米ドルは安くなるだろ
といった考え方で読みます。
ただ、ヘッジファンドではそんなに単純な読み方はしていません。ISMの数値の状態をもっと細かく分類して、インフレ的かデフレ的かを判断します。
重要なことは、ISM製造業景況指標が増えようが減ろうが、その数値や変化率が大したことなければ中央銀行は反応しないということです。ですから、上記のような一般的に言われていることを鵜呑みにしてトレードに使おうとしても機能しません。過去データを分析してどれぐらいの値なら中央銀行が反応するのかを読み取る必要があります。その辺をここで詳しく解説するとあまりにも長くなってしまうので、また別の機会に解説します。
ISM製造業景況指標の発表が米ドルの値動きに与える影響の例
ISM製造業景況指標が発表された直後の値動きとしては以下のような法則があります。(100%絶対ではありませんが)
- 予測値に対してサプライズで上がれば米ドルが短期的に上がる
- 予測値に対してサプライズで下がれば米ドルが短期的に下げる
たとえば最近だと、2019年10月1日の発表でサプライズが起きました。
このサプライズが起きた際のドル円(USDJPY)の値動きは以下の通りです。
ISM製造業景況指標で予測値よりも大きく下回るサプライズだったため、米ドルが売られ、ドル円は短期的に大きく下げました。
ISM製造業景況指標のまとめ
ISM製造業景況指標はPMIとも呼ばれ、米国の主要な製造業の企業300社以上を対象とした景気先行きに関するアンケート結果である。
これは景気や米ドルのトレンドを予測すための先行指標として使える。
ISM製造業景況指標はISMの本家サイトやForexFactoryで最新データを見れる。また、Investing.comでは過去データを取得することができる。
ISM製造業景況指標の発表はFXの値動きに大きな影響を与える。
以上で、ISM製造業景況指標(PMI)についての解説を終わります。