MACDのシンプルなゴールデンクロスやデッドクロスの手法は勝てるのでしょうか?結論から言うと、勝てません。でも解決策はあります。FX全通貨ペアの過去20年間のデータでバックテストして分かったことを全てお伝えします。
もくじ
今回バックテストするMACDのシンプルな手法
今回はMACDのシンプルな手法がFX市場で勝てるのか?を検証していきます。
テストするのは以下の2つのMACDを使った手法です。
- MACDとシグナルラインのゴールデンクロスとデッドクロス(0ラインの位置を考慮)
- MACDとシグナルラインのゴールデンクロスとデッドクロス
エグジットは固定日数エグジットを採用します。エントリーから5日、20日、60日の経過でエグジットする3パターンをテストします。今回はエントリーシグナルの優位性を調べたいので、エグジット戦略は最大限シンプルなものを採用しました。
検証方法の詳細
検証方法の詳細は以下の通りです。過去20年間の日足データを使って検証しましたので、テスト結果はある程度信頼できます。
- 検証はMT4を使って実施しています
- 対象通貨ペアはAUD/CAD/CHF/EUR/GBP/NZD/USD/JPYの組み合わせの計28通貨ペアです
- 対象の時間軸は日足です
- 検証期間は1999年1月~2019年5月です ※通貨ペアによってばらつきあり
- スプレッドはMT4のデフォルト(現在の値)に設定しています
MACDとシグナルラインのゴールデンクロスとデッドクロス(ゼロラインを考慮)
まずはゼロラインを考慮したMACDのクロスの手法をバックテストします。
②のようにMACD(青)がシグナル(赤)を下から上に抜いた時がゴールデンクロス、①のように上から下に抜いた時がデッドクロスとなります。
ただし、0ラインという水平に引かれているラインとの位置関係でフィルタをかけます。
①のようにデッドクロスが0(ゼロ)よりも上で発生した場合は売りサインとなり、
②のようにゴールデンクロスが0よりも下で発生した場合は買いサインとなります
③のようにデッドクロスが0よりも下で発生した場合はエントリーサインになりません。
ローソク足がクローズしてサインが確定したら、次の足の始値でエントリーします。
MACDのパラメーター設定は一般的に使用される12,26,9を使用しています。
エントリーから5本のローソク足が経過したら決済
まずはエントリーから5日で決済した場合のバックテスト結果です。
ご覧の通り、ほとんどの通貨ペアでマイナスとなりました。
全通貨ペアの損益曲線を合成したグラフを見てみましょう。1999年~2006年までは少し勝てていますが、2008年頃から一気にパフォーマンスが悪化し、右肩下がりになっています。
エントリーから20本のローソク足が経過したら決済
エントリーから20本のローソク足が経過したら決済も見ておきましょう。
傾向は5日エグジットと似ていますが、成績は改善しました。トータルではプラスとなっています。
全通貨ペア合成の資産曲線を見ると勝てる時期と勝てない時期が明確に分かれているようです。
過去20年間で勝てる時期と負ける時期があり、最終的にはトントンという感じです。
エントリーから60本のローソク足が経過したら決済
エントリーから60本のローソク足が経過したら決済も見てみます。
これはもう全然だめです。
全通貨ペア合成の資産曲線を見ても、ところどころレンジ気味に上げる時期もありますが、ほぼ右肩下がりとなっています。
0ラインの位置を考慮して0ラインよりも上ならデッドクロスを、0ラインよりも下ならゴールデンクロスのみエントリーする手法には優位性が無いことが分かりました。
0ラインを考慮せずにMACDのクロスでエントリー
さらにシンプルにして、0ラインとの位置関係を考慮せずに単純にMACDのゴールデンクロスとデッドクロスのみで売買した場合にはどのような結果になるかを検証してみます。
0ラインを意識する先ほどの手法に全く優位性が無いので、さらにシンプルにした手法で右肩上がりに勝てるという結果はまったく期待はしていません。むしろ完全に右肩下がりになる「逆シグナル」になっていたらおもしろいなという期待を込めてテストしてみました。
検証方法の詳細は先ほどのテストと全く同じ、20年間の日足を使って主要な全通貨ペアでバックテストしました。
エントリーから5本のローソク足が経過したら決済
ほとんどの通貨ペアでマイナスになっています。気持ちいいぐらいに負けていますね。
全通貨ペア合成資産曲線を見ると、かなり右肩下がりになっています。
2019年までは完全に横這い、それ以降は右肩下がりですね。
逆シグナルといっても過言ではないと思います。
エントリーから20本のローソク足が経過したら決済
これも負けている通貨ペアが多いですが、少し改善したようです。
とはいえ、資産曲線をみると5日決済と同じような傾向ですね。2009年あたりからは右肩下がりです。
エントリーから60本のローソク足が経過したら決済
エントリーから60日と保有期間をさらに伸ばすと、さらに負けることが分かりました。勝てている通貨ペアもちらほらありますが、28通貨ペア合計の損失は劇的に増えています。(5日決済の2倍、20日決済の4倍程度)
全通貨ペア合成損益曲線をみると、完全に右肩下がりになっているのが分かります。
完全に逆シグナル判定ですね。
MACDのゴールデンクロスとデッドクロスでエントリーし、60日ぐらい長期保有する方法は完全に逆シグナルになることが分かりました。ただ、ここまできれいな右肩下がりになるのはたまたまかもしれないので、逆シグナルとして使って売買すれば安定して勝てるかは分かりません。
MACDのシンプルな手法は勝てるか?の結論
MACDのシンプルなゴールデンクロス/デッドクロスの手法は、0ラインを考慮してもしなくも勝てないことが分かりました。
特に0ラインを考慮せずにシンプルにMACDとシグナルラインのクロスでエントリーし、60日保有する場合は逆シグナルといっても良いぐらいに綺麗な右肩下がりの資産曲線になることが分かりました。
MACDは長期・短期2本の移動平均線の差です。そしてシグナルラインとはMACDの移動平均です。MACDとシグナルラインのクロスで売買するのいうのはあまりにも短絡的といってよいでしょう。
そいういった短絡的な手法を逆シグナルとして使って安定して勝てるか?といのは興味深いところです。そのあたりのところは今後詳細にバックテストをして追求していきたいと思います。
以上で、MACDのゴールデンクロスとデッドクロスの手法は勝てるか?の解説を終わります。