僕が引っかかったのは、売上の数字ではなく「想定どおり」の一言でした【ダーデン・レストランツ(DRI)2026年6〜8月期決算】

アメリカに旅行したことがある人なら、オリーブ・ガーデンの看板を一度は見たことがあると思います。スープとサラダとパンスティックが食べ放題の、郊外のイタリアン・レストランです。

そのオリーブ・ガーデンを中心に、ステーキのロングホーン・ステーキハウス、ビールとダイニングのヤードハウス、高級ステーキのルース・クリスなどを、自社で2,200店以上運営している会社があります。ダーデン・レストランツです。

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日足チャート(価格/出来高/RSI(2)/ニュースセンチ/RSランク)。毎日自動更新。

※この記事で扱うのは、2026年9月24日に行われた、2026年6〜8月期(同社の会計年度では2027年度の第1四半期)の決算説明会です。会社の開示と、その場での経営陣の発言に基づく事実で、僕の予測ではありません。次回の決算日は会社の発表待ちです。

💡決算説明会=決算発表の後に、経営陣が投資家やアナリストに向けて説明し、質問に答える電話会議。発言はそのまま記録に残ります。

3ヶ月前のこの会社は、上機嫌でした。今回は、数字は悪くないのに、言葉が一段静かになっています。何が静かになったのかを、順番に書きます。

その前に——「同店売上」って、何でしょう

この記事は、ほとんど「同店売上」という数字の話です。ここだけ先に押さえてください。

名前から「同じお店の売上」と想像すると思いますが、正確には「1年以上前から営業している店だけを集めて、前年と比べた売上の伸び」です。新しく開けた店は入れません。

普通に見る「総売上」は、店を増やせば増えます。この会社はこの1年で店を53店増やしているので、お客さんが1人も増えていなくても総売上は伸びます。同店売上は、その「店を増やした分」を取り除いた数字です。

日本の外食チェーンが毎月発表している「既存店売上高」と、同じ考え方です。日本でも、外食株を見る人は総売上よりこちらを先に見ます。

この記事の結論にどう効くかというと、こうです。総売上は前年より5.1%伸びていますが、主力のオリーブ・ガーデンの同店売上は1%しか伸びていません。 伸びの大きな部分は、店を増やしたことと、他のブランドから来ています。

もうひとつ。この会社の前の会計年度は、53週ありました(通常は52週)。そのままだと1週間ずれた期間どうしを比べることになるので、会社は暦の上で同じ期間に揃えた同店売上を出しています。この記事の同店売上は、すべてその揃えた数字です。

「素晴らしい1年」から「想定どおり」へ

まず、社長の第一声が変わりました。

3ヶ月前:「第4四半期は、素晴らしい1年を力強く締めくくる四半期でした。この1年、私たちは業界を大きく上回りました」
今回:「第1四半期は、2027年度の堅実なスタートでした。結果は私たちの想定どおりでした」

「素晴らしい」「業界を大きく上回った」から、「堅実」「想定どおり」へ。悪いことを言っているわけではありません。ただ、自分から誇る言葉が消えました。

オリーブ・ガーデンについての言い方も、同じ方向に動いています。

3ヶ月前:「オリーブ・ガーデンは、この1年の高めに置いた期待に応え、同店売上を4%伸ばしました。これは当社の長期目標の枠組みの上限を上回る水準です」
今回:「当四半期は、いくつかの特殊な逆風があったにもかかわらず、同店売上は1%の伸びでした」

3ヶ月前の4%は通期の数字、今回の1%は1四半期の数字なので、並べて「4%から1%に落ちた」とは言えません。それでも、主語が変わったのは確かです。前は「目標を上回った」が主語で、今回は「逆風にもかかわらず」が主語です。

店舗段階の利益率も、言い方が変わりました。前の四半期は「前年同期より0.5ポイント改善して22.1%」、今回は「18.8%で、前年同期と横ばい、想定どおり」です。

💡店舗段階の利益率=店の売上から、食材・人件費・店の経費を引いて残る割合。本社の経費は引く前の数字なので、「お店そのものがどれだけ稼げているか」を見るのに使います。

数字は、悪くありません

実績はこうです。

  • 総売上 32億ドル(前年同期比 +5.1%。1ドル150円で約4,800億円)
  • 全社の同店売上 +3.2%
  • 一株利益 2.05ドル(継続事業・希薄化後)。前年同期の調整後の一株利益と比べて +4.1%
  • 店を53店純増、株主には配当1億8,400万ドルと自社株買い2億2,200万ドル、合わせて4億600万ドルを還元

💡一株利益=会社の利益を株数で割った、株1株あたりの利益。「調整後」は会社が一時的と考える項目を除いた数字(non-GAAP)で、会計基準どおりの数字とは別物です。

ひとつ注意があります。今回の2.05ドルは調整を入れていない数字で、比べている前年の数字は調整後です。同じ物差しどうしの比較ではないので、+4.1%は参考程度にとどめてください。

前の四半期は、調整後の一株利益が+22.8%の3.66ドルでした。ただしそこには、53週目の1週間分として25セントが上乗せされています。今回はその下駄が外れました。

3ヶ月前に数えて見せた「110店」が、今回は一言もありません

言い方が静かになっただけではありません。前の四半期に具体的に語っていたことが、今回は出てきませんでした。 いちばん大きいのは海外です。

前の四半期、会社は海外のフランチャイズについて、かなり具体的に話していました。スペインとインドの新しいパートナーがそれぞれ1号店を開き、カナダのパートナーも翌週に1号店を開く予定で、

「2027年度は、1年あたりの海外出店数として過去最多のペースにあります」

とまで言っています。契約の中身も数字で出していました。インドの一部で40店、スペインで40店、カナダで30店。合わせて110店分の契約です。

💡フランチャイズ=ブランドと運営のやり方を他社に貸し、その会社が店を開いて運営する仕組み。本部は店を持たずに、使用料を受け取ります。

今回の説明会では、海外、フランチャイズ、スペイン、インド、カナダ。どの言葉も、一度も出てきません。

消えたものは他にもあります。前の四半期は「買収(M&A)が、成長の枠組みに上乗せになりうる」と言っていましたが、今回は新たな買収の話がありません。前の四半期には「オリーブ・ガーデンとロングホーンで、来店客数が過去最高の日があった」という誇らしい一言もありましたが、今回あるのは「お客さんの満足度は、どのブランドでも過去最高かそれに近い」という満足度の話だけです。

出てこなかったからといって、海外の計画が止まったとは限りません。ただ、3ヶ月前に店の数まで数えて見せたものを、今回は誰も口にしませんでした。次の説明会で、それが戻ってくるかを見ます。

9月は加速した。それでも、見通しは1行も動かしませんでした

明るい話もあります。財務責任者によると、四半期の中で8月がいちばん強く、9月はそれよりさらに強い。来店客数のプラスが、9月に入って一段と加速しているそうです。

看板の販促も当たっています。オリーブ・ガーデンは、看板の「パスタ食べ放題」に合わせて、専用の「パスタ・パス」を6年ぶりに復活させました。売り出しには300万台の端末がログインし、1万枚が即完売しています。食べ放題本体の滑り出しも、会社の想定より少し良かったと言っています。

それでも、通期の見通しは変わりませんでした。

「2027年度の業績見通しは、すべての項目を据え置きます」

売上136億〜137.5億ドル(1ドル150円で約2兆400億〜2兆600億円)、同店売上+2.5〜3.5%、一株利益11.10〜11.35ドル。3ヶ月前に出した数字が、そのまま並んでいます。

💡ガイダンス(業績見通し)=会社が自分で出す、今年度の業績の予想。好調なら引き上げ、不調なら引き下げるのが普通です。

9月の加速と、食べ放題の好スタートについて聞かれた社長の答えは、こうでした。

「そのすべてが、年間の見通しの中に織り込まれています」

つまり、「調子は良い。でもそれは、最初から見込んでいた範囲の中の話です」ということです。9月の具体的な数字については、財務責任者が「数字そのものには立ち入りたくありません」と答えています。

僕が引っかかったのは、ここでした。9月が加速していると言いながら、良い材料を自分からは1つも見通しに足さなかったからです。

逆風のほうは、数字で示されました。感謝祭が今年は第2四半期にずれ込むことを改めて示し、第2四半期の売上には約1%の逆風(その分、第3四半期に戻る)。質疑では燃料のリスクも、ディーゼルが1ガロン6ドル超で1年続くような最悪のケースで、売上比0.10〜0.15ポイントと答えています。

💡1ガロン6ドル=1ガロンは約3.8リットルなので、1リットルあたり約1.6ドル。1ドル150円で約240円です。

質疑で3回出てきた「ランチ」

質疑応答で、いちばん何度も出てきた話題はランチでした。

最初の質問者が、オリーブ・ガーデンのランチの足元の客数を聞きました。社長の答えは「最近の客数の動きには立ち入りませんが」から始まります。コロナの後、ランチの販促をやめたまま戻していなかったこと、そのせいでランチがほかの時間帯より落ちていることは認めました。そのうえで、食べ放題のスープとサラダとパンスティックのランチを改めて売り出し、新しいランチのメニューを試すと言っています。

ただ、その新メニューの成果について語ったのは、こういう言い方でした。

「テストがうまくいけば、今年度の後半に、もっと詳しくお話しできればと思っています」

2人目は、ランチを伸ばすと夕食を食ってしまうのではないか、と聞きました。3人目が、コロナ前と比べてランチの比率はどうなっているのか、と聞いて、やっと数字が出ました。

「平日のランチは、コロナ前と比べて数百ベーシスポイント劣っています」「月曜から金曜のランチは、全体の客数のだいたい20%くらいです」

客数の2割を占める時間帯が、コロナ前より数%落ちている。ここを取り戻せれば、オリーブ・ガーデンの同店売上には効きます。ただ、その数字が出てきたのは3人目の質問のときで、新しいランチはまだ試してもいません。

💡ベーシスポイント=0.01%のこと。100ベーシスポイントで1%。「数百ベーシスポイント」は、数%という意味です。

9月の加速のうち、どこまでが自力なのか

この四半期の数字には、まだ説明のついていない部分と、一度きりの要因がかなり混ざっています。

いちばん分からないのは、四半期の中で良くなった理由のうち、どれだけが会社の努力で、どれだけが逆風が去っただけなのかです。別のアナリストがこれを正面から聞きましたが、財務責任者の答えは「両方少しずつだと思います」でした。外の要因と自分たちの施策の、割合は最後まで出てきません。若い世代に向けたSNSの戦略を聞かれたときも、「ブランドごとには立ち入りません」と答え、数字も具体例も出しませんでした(前の四半期は、ラム料理の復活をSNSで予告したら半分の時間で売り切れた、という具体例を出していました)。

数字を動かした一時的な要因は、多めでした。

  • ワールドカップ:ビールとスポーツ観戦のヤードハウスは同店売上を約1.8ポイント押し上げられたが、ほかのブランドには逆風で、全社では差し引き約0.8ポイントのマイナス
  • レタスへの不安:外の出来事でレタスへの消費者の不安が広がり、オリーブ・ガーデンは予定していたサラダの販促を取りやめた。ワールドカップと合わせ、同店の来店客数を1.5〜2ポイント押し下げた
  • 税率:当四半期の実効税率は12.9%で、通期の想定13.5%より低い
  • 自社株買い:2億2,200万ドル分。株数が減るので、一株利益は上がりやすくなります

ここで、ひとつ言い切れることがあります。オリーブ・ガーデンの1%は、ワールドカップとレタスの分だけ押し下げられた数字です。つまり、9月の加速の一部は、その逆風が抜けた分でもあります。 会社が「見通しの中に織り込み済み」と言ったのは、たぶん、ここを分かっているからです。

逆向きの一時要因もあります。業績の振るわなかったバハマ・ブリーズを閉じていく費用で、そのセグメントの利益率は前年より0.3ポイント下がりました。もうひとつ、前年の同じ時期には、ウーバーと組んだ「100万回の配達無料」の販促がありました。今回はその高い山と比べられています。

ロングホーンは、22四半期続けて伸びています

ここまで静かになったものを書いてきましたが、この会社には、何四半期も途切れずに続いている強さもあります。

ロングホーン・ステーキハウスは、同店売上+6.8%。これで22四半期連続のプラスで、この3年で同店売上は17%伸びています。利益率も前年より0.6ポイント上がりました。

ヤードハウスは同店売上+10%(うちワールドカップの寄与が約1.8ポイント)。直近52週の売上が10億ドルに届き、この会社で3つ目の「10億ドルブランド」になりました。1店あたりの年間売上は1,050万ドル。今年度は13店を開く計画で、うち5店は閉じたバハマ・ブリーズの店を転換します。

そして、値段の付け方です。この会社は値上げを、世の中の物価の上がり方より低く抑えてきました。コロナ前からの7年間で比べると、この会社の値上げは、物価全体より3ポイント、ほかのフルサービスのレストランより11ポイント低いと説明しています。当四半期の値上げ率は3.7%で、年度末に向けて2%台前半〜半ばまで下げていく計画です。

💡フルサービスのレストラン=席に案内され、店員が注文を取って料理を運ぶ形の店。ファストフードのようなカウンター注文の店と区別する言い方です。

安く出せる理由は規模だ、と会社は説明しています(前の四半期の説明会では、食材を生産者から直接仕入れ、自前の食品の物流網を持っていると話していました)。他社より値上げを小さくして、そのぶん他社の客を取っていく。これがこの会社のやり方で、ロングホーンの22四半期連続は、それが機能していることと矛盾しません。

牛肉の話が、少しだけ前を向きました

ステーキの会社でもあるので、牛肉の値段は利益に直接効きます。ここは、前の四半期より言葉が前を向いた数少ない場所です。

前の四半期は「牛肉の供給が短期的に途切れるリスクは小さい」という、リスクを打ち消す言い方でした。今回はこうです。

「食肉加工業者は、いまは黒字です。生産が増え始めるかもしれず、そうなれば価格は和らぐでしょう」「雌牛の繁殖用の保留が、2016年以来初めて増えています」「メキシコからの牛の輸入は、いまは過去の水準の約20%ですが、年度末までに70%に達する可能性があります」

初めて、良くなる筋書きを自分から出してきました。ただ、どの文にも「かもしれない」「可能性がある」が付いています。今年度の牛肉の値上がりは「1桁台の前半」で、最初の想定どおりに進んでいるとのことです。スーパーで売られるステーキの数量も、8月は前年比−4%と、前の四半期に話していた−8.5%より落ち込みが小さくなっています。

オリーブ・ガーデンの次の1%が、答えを出します

崩れてはいない。ただし、良くなったのではなく、逆風が抜けて元に戻りつつある段階。 今回の説明会を読んだ限りでは、そう見えます。

悪い方に外れる形は、2つです。

  1. 次の四半期に、オリーブ・ガーデンの同店売上が前年割れになる
  2. 通期の見通し(一株利益11.10〜11.35ドル、同店売上+2.5〜3.5%)が引き下げられる

良い方に外れる形も、2つあります。

  1. 9月の加速が続き、据え置いた見通しが引き上げられる
  2. 今年度の後半に、新しいランチのテストの結果が数字つきで語られる

逆に、後半になってもランチの話が「テスト中」のままなら、ランチの回復という筋書きは空振りだったと読みます。

そしてもうひとつ、数字ではない確認があります。海外の110店の話が、次の説明会で戻ってくるか。 戻ってくれば、今回はたまたま話さなかっただけです。戻ってこなければ、3ヶ月前の「過去最多のペース」に何かがあったと考えます。


9月の加速が本物かどうかは、2026年9月24日の時点では、会社自身もまだ数字で語っていません。

外食の決算は、季節や天気、スポーツの大会、食材のニュースひとつで、四半期の数字が簡単に揺れます。だから1回の数字ではなく、前の回と同じ言葉で語っているか、黙ったものはないかを、毎回突き合わせていきます。この会社については、海外とランチがどう語られるかを、次の回でまた確かめます。次の四半期の回も、この続きとして書きます。


※この記事は、決算説明会の原文をAIで読み解いて書き、複数の検査(事実照合・表現・法務)を通したうえで公開しています。

※本記事は、決算説明会での経営陣の発言と公表数値を自分の言葉で整理したものです。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

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この記事を書いた人

圧倒的な熱量で世界の相場を毎日14時間以上監視している専業トレーダーです。トレード、バックテスト、調査で得た学びを初心者の方にもわかりやすく発信しています。