株式のトレンドフォロー/ブレイクアウト系の手法でトレードするならどんな手法を選択すればよいのでしょうか。書店にはたくさんのトレード本が売っているし、トレードのコースもたくさんの種類が売られていると思います。
手法を探し始める前に、どんな性質/素性のトレード手法を探すべきなのか、しっかりとした考えを持つようにしましょう。
もくじ
破算確率をゼロの状態でコツコツトレードして勝てることが目的
あなたのトレードの破算確率ゼロにしてコツコツ稼ぎ続けるために必要な要素が2つあります。
- 1回のトレードで取るリスク%を破算確率が0になるように設定してトレードする
- バックテストの結果や実績が将来も継続しそうな堅牢なトレード手法を選択する
この2つができれば、あなたはトレーダーとして大成功できます。
大学を出ていなくても、金融工学の教育を受けていなくても、頭がそんなに良くなくても、この2つだけできればよいのです。
1の「1回のトレードで取るリスク%を破算確率が0になるように設定する」についてはすでに解説しました。
では、2の堅牢なトレード手法を選択するにはどうすればよいのでしょうか?
堅牢なトレード手法
堅牢なトレード手法かを判断するとき、僕は以下の3つの要素を意識します。
- 長期間にわたって機能し続けている
- 使用するインジケーターの数が少なく設定項目も少ない
- インジケーターを使うならその幅広い設定値で安定して勝てている
- 様々な市場で共通して勝てている
これらの特徴を有するトレード手法が堅牢な手法です。
長期間にわたって機能している手法
長期間にわたって機能し続けているトレード手法は堅牢であり、この先も機能し続けることが期待できます。
長期間ってどれぐらいの期間?って思いますよね。
日足を使ったトレード手法の場合、少なくとも30年ぐらいは機能し続けている必要があると考えています。
30年の間には少なくとも2回~3回ぐらいはショック相場が含まれており、そういったとんでもない相場環境を乗り越えてきているトレード手法という評価ができるからです。
もし40年~50年以上年機能し続けているものに限定するなら、もっと安全な選択になります。
例えばボリンジャーバンドを使ったブレイクアウト手法は1980年代に世に出ました。その時点でおそらく少なくとも10年~20年ぐらいの過去データで検証して勝てることが確認されていたはずです。
僕は以前ブログの企画で1995年~現在までのデータを使ってボリンジャーバンドのブレイクアウト手法をバックテストしました。
ボリンジャーバンドのブレイクアウト手法のバックテスト結果【別バージョン】
その時に行ったバックテストはジョン・ボリンジャーが1980年代に開発したトレード手法の有効性を再確認、ダブルチェックしたということになります。
厳しいダブルチェックを通過したトレード手法なのですから、たった今思いついた新しいトレード手法よりも信頼できると言えるはずです。
できるだけ長い期間勝ち続けている手法を探したいのであれば、自分で一からトレード手法を発明するよりも温故知新の考え方でトレード手法を探すのが良いです。
今開発した全く新しい出来立てホヤホヤのトレード手法というのは、今自分が行ったバックテストが1回目のチェックということになります。ですのでダブルチェックはまだの状態ということになります。
だからその手法を使ってトレードしたいなら、ダブルチェックがまだの状態でトレードを始めるか、ダブルチェックが終わるまで数年待ってからにするかということになります。
全く新しいトレード手法というのは、どんなに良さそうに見えても堅牢性という意味においては温故知新のトレード手法にかなわないのです。
温故知新のトレード手法
1900年~1980年ごろまでに開発された優れたトレード手法はたくさんあります。
- 移動平均線のクロス
- ボリンジャーバンドを使ったブレイクアウト手法
- ドンチャンチャネルブレイクアウト手法
- ダウ理論
- リチャード・ワイコフの手法
- マーケットプロファイル
- エリオット波動理論
- ウィリアム・オニールのCANSLIM投資法
などなど、これ以外にもたくさんあります。
古いトレード手法を学んで検証し、自分のスキルとして吸収する。
それが最強の方法です。
インジケーターが多すぎる手法は敬遠した方が良い
5個や10個のインジケーターを組み合わせて作ったようなトレード手法や、1個のインジケーターに非常にたくさんの設定項目のある一目均衡表のようなインジケーターを使った手法を使う場合は慎重になる必要があります。
設定項目がたくさんあるということは、それらたくさんの設定の組み合わせの数だけ異なる資産曲線が存在するということです。
もしかすると、勝てているのはそのうちのごくわずかな設定の組み合わせだけかもしれません。
ある設定の組み合わせで基準を満たしていても、少し設定の組み合わせがズレるだけで全然ダメな手法になってしまうかもしれません。
一方、インジケーターを多用した手法であっても、幅広い設定値の組み合わせで安定して勝てているトレード手法であれば、それは堅牢な手法だと言うことができます。
とはいえ僕は使うインジケーターの数はなるべく少なくするように努力しています。
様々な市場で共通して勝てている
できるだけ多くの市場で勝てているトレード手法が堅牢なトレード手法である、という考え方があります。
僕はその考え方に100%同意します。
僕が実際にトレードする手法の多くは、特別な市場に特化された手法ではなく、ほとんど全ての市場で共通して勝てる手法です。
勝てる手法かどうかを判断する際に僕が最も重視するのは、先物37銘柄から構成される先物ポートフォリオでトレードして勝てていることです。
先物の37銘柄には、各国の株価インデックス先物、エネルギー、貴金属、仮想通貨、為替、金利、穀物、食肉などあらゆる種類の銘柄が含まれます。
そのような多様な銘柄を含むポートフォリオで安定して勝てる手法は、相当に堅牢だと言えます。
僕はトレード手法の良しあしを判断する場合、それがたとえ株式市場でトレードすることが目的であっても、必ず先物37銘柄ポートフォリオで勝てるかをまず最初の判断基準としています。
また、世界各国の株式市場でも確認することも欠かせません。米国の株式市場で勝てているトレード手法であっても、それが日本市場でそのまま通用するかは分かりません。
中には個別株を対象にバックテストをして判断している人がいます。「トヨタ自動車の日足でバックテストをして勝てていたから、その手法はトヨタ自動車で勝てるはず」というのです。
そんな考え方では甘すぎます。
トヨタ自動車株で勝ちたいなら、トヨタ自動車株で勝てていることはもちろん、世界各国の株式市場や先物市場でも勝て居ていることをチェックすべきです。
もちろん、トヨタ自動車特有のデータ、たとえばトヨタ自動車の工場を出入りするトラックの台数の推移などを使って勝てているトレード手法なら、それはそれでよいと思います。
しかし価格データのみを使って勝とうとするなら、堅牢性のチェックは必ず必要になります。
手法の選択は結局どうすべきか
温故知新のトレード手法のうちどれかを選択し、自分なりに少しアレンジする。
その手法がインジケーターを使っているなら、設定を変化させても勝てているかを確認する。
そしてその手法を使って様々な市場でバックテストを行い、その大部分で勝てていることを確認する。
他人からトレード手法を購入するなら、以下のことを必ず確認する。
- 何年間勝てているか?
- 多くの市場で勝てるのか?(どの市場で勝てるのか)
- インジケーターを使うならその幅広い設定値で勝てるか?
以上のような考え方でトレード手法を選択し、破算確率がゼロのポジションサイズでコツコツとトレードを続けることができるなら、誰でも株式市場で長期的に安定して勝てる可能性が高い。