全てのFX通貨ペアには値動きの傾向があります。ドル円の値動きも例外ではありません。
このページでは、ドル円(JPYUSD)の値動きの特徴を大量の過去データの分析を土台として解説します。過去22年間の日足データを使った季節性アノマリーだけでなく、4か月間の5分足データを使った時間帯アノマリーも分析します。ですからスイングトレードからスキャルピングにまで、あらゆる時間軸のトレードに役立てることができるノウハウとなります。
もくじ
ドル円の季節性アノマリー(過去22年間の日足データ)
まずはドル円の年間の値動きにはどのような傾向があるのかを調べてみましょう。
トレードに活かせる情報として、1年のなかのどの時期に高値や安値をつけやすいのかを探るのです。
そのためには、ドル円の季節性アノマリーチャートを分析します。
ドル円の予想方法のページでも解説しましたが、季節性アノマリーチャートとは、ドル円の年間の値動きの平均顔とでもいうべきチャートです。
過去22年間の日足データを1年ごとに区切ります。そして全ての1年間の値動きの平均的な値動きを計算して求めます。それをチャートとして描画したのが季節性アノマリーチャートです。
チャートの左端が1月1日、右端が12月31日です。
3色3本のラインがあります。これらはそれぞれ異なる期間を計算したものです。
青線は過去22年間、緑線は過去10年間、赤線は過去5年間の季節性アノマリーを表しています。
基本的には、青線(長期)を分析することでドル円の年間の値動きの特徴を把握します。
ただ、22年間というのは長いので、最近でもその値動きの癖が続いているのか?を確認するために、緑線(10年)と赤(5年)を重ねて表示しています。
これら3本のラインが同じような位置でスイングローやスイングハイを形成し、そこから明確に上昇や下落が出ていたらどうでしょう?そこはドル円の重要な特徴のあるポイントとなります。そのポイントをスイングトレードやデイトレードにおける上位足の予想や売買タイミングに活かすことができます。
ドル円の季節性アノマリーチャート 分かりやすい特徴のあるポイント
↓の画像は、ドル円の季節性アノマリーチャートで3本のラインが同じような位置でスイングローやスイングハイを付けていて、そこからある程度一方的な値動きが出ているポイントにしるしをつけたものです。
- 4月上旬にスイングハイを形成し、そこから4月の下旬ごろまで下落しやすい特徴
- 6月半ばにスイングローを形成し、そこから7月の上旬ごろまで上昇しやすい特徴
- 7月の上旬にスイングハイを形成し、そこから8月下旬ごろまで下落しやすい特徴
- 8月下旬ごろにスイングローを形成し、そこから11月中旬ごろまでは上昇しやすい特徴
ざっと見ただけでもこれぐらいの、ドル円の年間値動きの特徴を見つけ出すことができます。
もっと注意深く分析すればまだドル円の癖が見つかるかもしれません。また、もっと小規模なものであればさらにたくさんの癖を見つけ出すことができるはずです。
これらドル円の年間値動きの特徴は、1週間~数カ月ポジションを保有するスイングトレードに今すぐ活かすことができます。
デイトレードやスキャルピングに活かせるドル円の時間帯別の特徴
季節性アノマリーは時間軸が長すぎてデイトレードやスキャルピングには役立てにくいと感じられたかもしれません。
そんな時に役立つのが、ドル円の時間帯アノマリーです。
時間帯アノマリーとは、早い話が季節性アノマリーチャートの5分足版です。
季節性アノマリーが1年間の値動きの平均顔なら、時間帯アノマリーは1日の中の値動きの特徴をとらえた平均顔です。
時間帯アノマリーの計算にはドル円の過去4カ月間の5分足データを使いました。
↓の画像は過去4カ月間のドル円の5分足を使ってドル円の1日の中の値動きの平均顔をチャートとして描画したものです。
グラフは3つに分かれています。
一番上(青)は全てのデータの日中の値動きの平均顔です。4カ月間における全ての5分足を使って計算した日中足の平均顔です。
真ん中(緑)は日足が陽線になった日の5分足を使って計算した日中の値動きの平均顔です。
一番下(赤)は日足が陰線になった日の5分足を使って計算した日中の値動きの平均顔です。
X軸の数値は左端が08で右端が10までとなっていますが、これは時間です。時計の短い針がさしている時間ということです。タイムゾーンは東京時間なので普通に時差など無しで見てもらえれば大丈夫です。
線グラフの描画は9時に始まり、翌日の9時までの24時間となっています。
基本的には一番上の青、すべての5分足を使って計算した平均顔チャートを見てください。
そして、ひときわ目立つスイングハイやスイングローが形成されている時間帯を探してみてください。そこがドル円の日中の値動きにおいて重要な特徴が存在するポイントです。
例えばこんな感じです。
アジアセッション
東京セッションの開始1時間後の10時前位に上方向のストップ狩りがあり、また11時頃にも今度は下方向のストップ狩りがあり、あとはレンジになりやすい傾向があるようです。
ロンドンセッション
ロンドンセッション開始直後の15時~16時過ぎぐらいの時間に下と上、両方向のストップ狩りが行われ、そのあとは下方向にトレンドが出ています。この時間帯にはボラティリティーが上がり、アジアセッションに形成された高値や安値のストップ狩りが行われやすいという特徴があるようです。
ニューヨークセッション
ニューヨークセッション開始前後の21時に下方向のストップ狩り、そして22時は上方向のストップ狩り、そしてまた0時に下方向のストップ狩りが行われ、そして上方向のトレンドが始まっています。また深夜1時頃には目立つスイングハイが形成されています。
ニューヨークセッションにおいてもセッション開始前後の時間帯でストップ狩りが行われやすいという特徴があるようです。
これらの分析から、ドル円の日中の値動きにはどのような癖が見えるでしょうか?
ドル円の日中の値動きの癖をまとめると
僕ならドル円の日中の値動きの特徴(癖)として以下のように把握します。
アジア、ロンドン、ニューヨーク、全てのセッションの開始前後の時間帯で上下両方のストップ狩りが行われ、そこから本来行きたい方向に動くという特徴がある。
あなたがもしデイトレードやスキャルピングのエントリーを狙うなら、これらのドル円の特徴を考慮してエントリーのタイミングを計ってみてはいかがでしょうか。
例えば、アジア時間にエントリーを狙うなら、9時~11時頃はいったんストップ狩りが行われやすいという特徴を利用して騙しブレークアウト逆張り戦略を行うというのが良いかもしれません。
ロンドン時間でエントリーを狙うなら、アジアレンジの高値と安値で騙しブレークアウト逆張り戦略を行うか、トレンドが出そうな方向とは逆方向にブレークするのを待って逆張りでエントリーするというのがよさそうです。
ロンドン時間でエントリーする時間帯としては15時から16時半ぐらいに騙しブレークアウトのポイントで逆張りエントリーができるとしっかりと利食いできそうです。
ニューヨーク時間でエントリーを狙うなら、21時~0時の間で、できるだけ騙しブレークアウトに対する逆張りでエントリーするのがよさそうです。この時間帯にブレークアウトで飛び乗るような安易なエントリーすると、最終的な方向性は合っていてもトレンドが始まる前に自らのストップを狩られる可能性が高そうだからです。
ロンドンセッションやニューヨークセッションではトレンドが出る日も多いですが、各セッションの開始前後でブレークアウトエントリーをすると痛い目にあいやすい傾向があります。
トレンドが出ている日にはトレンド方向にエントリーすれば大体の場合は勝てるわけですが、それでもやはり上記のようなタイミング(青線の目立つスイングハイとスイングローのタイミング)に合わせて売買するとさらに勝ちやすくなりますし、ストップにかかりにくくなるかと思います。
緑(上昇の日)や赤(下落の日)の時間アノマリーチャートも併せて分析すると、もっとたくさんの発見があるはずです。いろいろと探してみてください。きっと面白い発見があります。
ドル円の値動きの特徴 まとめ
ドル円の年間の値動きの特徴は、季節性アノマリーチャートを分析することで把握することができ、以下のようになる。
- 4月上旬にスイングハイを形成し、そこから4月の下旬ごろまで下落しやすい特徴
- 6月半ばにスイングローを形成し、そこから7月の上旬ごろまで上昇しやすい特徴
- 7月の上旬にスイングハイを形成し、そこから8月下旬ごろまで下落しやすい特徴
- 8月下旬ごろにスイングローを形成し、そこから11月中旬ごろまでは上昇しやすい特徴
ドル円の日中の値動きの特徴は、時間帯アノマリーチャートを分析すれば把握できます。デイトレードやスキャルピングのエントリータイミングに使える。
過去4カ月の5分足を分析する限り、ドル円はアジア、ロンドン、ニューヨーク各セッションの開始前後のタイミングで上下のだましブレークアウトが起きやすい癖があるので、その傾向を十分に考慮してエントリーを狙うようにしたい。(この傾向はFXの値動きとしてはよくある)
以上で、ドル円の値動きの特徴の解説を終わります。