株式投資の世界ではよく「PER15倍が割安の目安」と言われます。
株式投資を始めたばかりの方や、短期トレード中心のトレーダーでも、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、ここで一つ疑問が出てきます。
本当にPER15倍という数字には意味があるのでしょうか?
今回は、この「PER15倍の目安」という一般論を、実際の株式市場のデータを使って検証してみます。
PERとは?株価が割安かどうかを見る代表的な指標
まずはPERについて簡単に説明します。
PERは「Price Earnings Ratio」の略で、日本語では「株価収益率」と呼ばれます。
計算式はとてもシンプルです。
PER = 株価 ÷ 1株あたりの利益(EPS)
つまり、企業の利益に対して、株価が何倍で評価されているかを見る指標です。
PERが低いほど「割安」と言われ、高いほど「割高」と言われます。
そして多くの解説記事では、次のように説明されています。
・PER15倍以下 → 割安
・PER15倍以上 → 割高
では、本当にそうなのでしょうか?
一般的にはPER15倍が目安と言われる
一般的な投資の解説では、PERは15倍を一つの目安とすることが多いと言われています。
PERが15倍以下なら割安、15倍以上なら割高と判断されることが多いです。
つまり、多くの投資家は「PERが低い株の方が有利」と考えているわけです。
PERは「割安・割高」を判断する指標としてよく使われます。
しかし、もしPERが本当に有効な指標なら、低PER株の方が長期的に高いリターンを出すはずです。
そこで今回は、実際の株式市場のデータを使ってこの仮説を検証してみます。
バックテストのルール
今回の検証では、アメリカ株の代表的な銘柄群を使いました。
具体的には次の条件です。
・対象銘柄:Russell1000(米国の大型株1000社)
・期間:1999年〜2026年
・黒字企業のみ
・月に1回リバランス
・各グループ50銘柄(PER15を境に、できるだけその境界に近い銘柄を選択)
そして銘柄を次の2つのグループに分けました。
① PER15以下の銘柄
② PER15より大きい銘柄
それぞれのグループでポートフォリオを作り、長期の資産推移を比較します。
バックテスト結果(資産曲線)
結果を資産曲線で見てみましょう。
緑の線がPER15以下の銘柄、赤の線がPER15より大きい銘柄です。
青の線は両方を合成したポートフォリオですが、今回の比較ではあまり意味はありません。
グラフを見ると、長期的には赤の線(高PER株)の方が大きく上昇していることがわかります。
つまり、長期リターンだけを見ると、
高PER株の方が成長している
という結果になりました。
ただし2010年頃までは互角だった
ここで一つ重要なポイントがあります。
1999年から2010年頃までを見ると、実は両者のパフォーマンスはほぼ互角です。
むしろ低PER株が少し強い時期もあります。
しかし2010年以降、状況が変わります。
それ以降は高PER株が明確にアウトパフォームしています。
低PER株と高PER株の性格の違い
今回のバックテストを見ると、両者にははっきりとした違いがあります。
低PER株
・勝率が高い
・値動きが比較的安定
・ドローダウンが小さい
つまり「コツコツ型」です。
高PER株
・勝率は低め
・値動きは大きい
・大きく伸びる銘柄が多い
つまり「ホームラン型」です。
結論:PER15倍は魔法の数字ではない
今回の検証から言えることは、とてもシンプルです。
PER15倍という数字が特別な境界とは言えない
ということです。
むしろ長期的に見ると、高PER株の方が大きく成長する傾向があります。
ただし、高PER株はリスクも大きくなります。
値動きが激しく、ドローダウンも大きくなる傾向があります。
重要なのは「高PER株を避けること」ではない
今回の結果から見えてくるのは、次のことです。
低PER株
→ 安定
高PER株
→ 成長
つまり重要なのは、
高PER株を避けることではありません。
むしろ重要なのは、
高PER株のリスクをコントロールしながら扱うこと
です。
PERだけで投資判断をするのは危険
今回の検証でもわかった通り、PERだけで株を判断するのは危険です。
実際の株式市場では
・企業の成長率
・ビジネスモデル
・市場トレンド
・投資家の期待
など、さまざまな要因が株価に影響します。
PERは便利な指標ですが、それだけで投資判断をするのではなく、他の要素も合わせて総合的に考えることが重要です。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめます。
・PER15倍は一般的な目安としてよく使われる
・しかし実際の市場では絶対的な基準ではない
・長期的には高PER株の方が大きく成長する傾向がある
・ただし高PER株はリスクも大きい
つまり株式投資で重要なのは
PERが低い株を探すことではなく、
成長する株をどう扱うか
ということです。
PERという指標を理解することは、株式投資の第一歩です。
ただし、それだけで判断するのではなく、複数の視点から企業を分析することが、長期的な投資成果につながります。
次の記事では、日本株ではどうか?や、PERをさらに細かく分けて「何倍のPERが一番強いのか?」も検証してみたいと思います。


