この記事では、FX市場における移動平均乖離率を使った逆張り売買ルールのバックテスト結果を解説します。結論から言うと、FX市場全体で勝てる手法が見つかりました。勝てるFXトレーダーを目指すあなたにとって興味深い記事になるでしょう。移動平均乖離率の売買シグナルを検出するレーダーや特殊なインジケーターも入手できます。また、最後の方で動画解説もしております。
もくじ
移動平均乖離率とは
移動平均乖離率とは、価格が移動平均線から何パーセント離れたか?を示すインジケーターになります。
移動平均線から価格が上方向に乖離したら移動平均乖離率の線グラフは上がり、下方向に乖離したら線グラフは下がります。
通常、移動平均乖離率のインジケーターをチャートに表示して使うことはありません。移動平均乖離率が一定数を超えている銘柄や通貨ペアをスクリーニング(抽出)するといった使い方をします。
移動平均乖離率を使った逆張り手法とは
移動平均乖離率のパーセンテージが一定数よりも大きくなったら逆張りでエントリーします。
そして短期的な反発の値動きを取って速攻逃げる手法が、移動平均乖離率を使った逆張りシステムになります。
では、画像で例を見てみましょう。
買いの例
チャートに移動平均線が表示されています。
このように、ぐっと価格が下がって、移動平均線から一定のパーセンテージ以上の値幅で差が開いたら、逆張りで買う。そしてそこからの反発を取るということになります。
売りの例
逆に売りのシグナルも見ておきます。
急激に価格が上がって、移動平均線から上方向に乖離し、その乖離率が一定数以上になれば、逆張りで売るという売買ルールになります。たいていの場合は、短期的な戻りで利食いします。
行き過ぎた動きに対して逆張りして少しだけ利益を取るという手法です。
移動平均乖離率を使った逆張り手法は、株式市場で非常に優位性の高い手法です。ですので、FXでも機能するのでは?ということで徹底的にバックテストすることにしました。
この手法を、FXの全市場に対して、過去20年間の日足を使ってバックテストしていきます。
移動平均線乖離率をバックテストした方法
まず、移動平均線の本数設定ですが、25本、75本、200本設定の移動平均線を採用しました。単純に最も良く使われる設定だからです。
次に移動平均線から何パーセント乖離しタラエントリーするか?ということですが、3%、5%、7%でバックテストしました。
エグジットルールは、シンプルに日数経過でエグジットです。5日、20日、60日でエグジットするパターンをテストしました。エントリーの優位性を調べたかったので、エグジット手法は最もシンプルな方法を採用しました。
それ以外の細々したテスト方法については以下の通りです。
- 検証はMT4を使って実施しています
- 対象通貨ペアはAUD/CAD/CHF/EUR/GBP/NZD/USD/JPYの組み合わせの計28通貨ペアです
- 対象の時間軸は日足です
- 検証期間は1999年1月~2019年5月です ※通貨ペアによってばらつきあり
- スプレッドはMT4のデフォルト(現在の値)に設定しています
では、早速テスト結果を見ていきましょう。
移動平均乖離率(25本)から3%乖離
まずは、25本移動平均線から3%乖離したら逆張りエントリーし、5日、20日、60日でエグジットする手法のバックテスト結果になります。
5日、20日でエグジットに関しては、最終的にはプラスになっていますが、ドローダウンが非常に大きいです。
2008年あたりのリーマンショックの時のドローダウンが大きくなっています。
移動平均乖離率(25本)から5%乖離
次に、25本移動平均線から5%乖離を見てみましょう。
いきなり良いのが見つかりました!
5日で決済は、かなり良い結果になっています。リーマンショック時のドローダウンはありますが、トータルでは大きく勝ち越していて、綺麗な右肩上がりの資産曲線になっています。
保有期間が長くなるにつれて、パフォーマンスが落ちるようです。
移動平均乖離率(25本)から7%乖離
25本移動平均線から7%乖離を見てみます。
これも、5日エグジットが良い結果になっています。
20日エグジットも良いですね。
60日持つとかなりパフォーマンスが落ちます。
移動平均乖離率(75本)から3%乖離
次は、移動平均線の本数設定を大きくします。75本移動平均線から3%乖離です。
全体的に良くないですね。
次行きましょう。
移動平均乖離率(75本)から5%乖離
75本移動平均線から5%乖離。
これもほとんど同じですね。あまり良くないです。ほぼトントンで、保有期間が長くなるとマイナスになります。
移動平均乖離率(75本)から7%乖離
75本移動平均線から7%乖離のパターンです。
7%乖離になると、少し良くなります。リーマンショック時のドローダウンがかなり大きいですが、最終的にはプラスになっています。
移動平均乖離率(200本)から3%乖離
次に、さらに移動平均線の設定数を大きくして、200本移動平均線から3%乖離です。
これはかなり悪い結果になりました。
移動平均乖離率(200本)から5%乖離
200本移動平均線から5%乖離も悪い結果でした。
特に60日でエグジットするパターンだと、逆シグナルでエントリーすると安定して勝てそうなぐらいです。
移動平均乖離率(200本)から7%乖離
200本移動平均線から7%乖離です。
これもダメですね。全く優位性が無いようです。
移動平均乖離率を使った逆張り手法バックテスト結果 の結論
移動平均線の設定は25本がパフォーマンスが良いということが分かりました。極端な動きに対する逆張りを狙う戦略なので、25本ぐらい(短め)の方が動きを捉えやすいのでしょう。
基本的にどのパターンでも保有期間が短い方が(5日エグジット)パフォーマンスが良いことが分かりました。これは、大きなトレンドに対して逆のポジションを持つ場合が多いためで、
大筋の流れに逆らったトレードで損切りが遅れると致命傷になるという経験則的な話とも一致する
2008年末~のリーマンショックの際に大きなドローダウンが出ます。逆張り手法なので、強烈なトレンド相場では機能しにくいということですね。
具体的にどんな手法で逆張りすべきか?(復習)
25本移動平均線から5%乖離したら逆張りでエントリーし、5日でエグジットするのが良いということが分かりました。
FX市場ではこういった売買ルールの逆張りが機能しやすいようです。
一番勝てる設定でのバックテスト結果の詳細
一番勝てる設定でのバックテスト結果の詳細を見ておきます。25本移動平均線から5%乖離したら逆張りエントリーして5日エグジットです。
資産曲線は、先ほども見ていただきましたが、リーマンショックの時以外は、このように右肩上がりになっています。
数値の詳細は以下の表のとおりです。
トレード回数は、28通貨ペア合計、過去20年間で978回でした。
勝率は56%です。
1トレードあたりの利益は41ドル。
1万通貨でトレードした場合です。
利益の合計は、4万米ドルとなっています。日本円だと400万円ちょっとぐらいですね。
ほとんどの通貨ペアで利益になっていますが、損益がマイナスになった通貨ペアもありました。
CHFJPY、GBPNZD、NZDCAD、USDJPYでトータルマイナスとなっています。全ての通貨ペアでプラスになったわけではないので、そこは注意が必要です。
移動平均乖離率を使った逆張り手法に役立つインジケーター
この記事でバックテストして見つけたFX市場で勝てる移動平均乖離率を使った逆張り手法に役立つ3つのインジケーターを作成しました。
- 移動平均乖離率の逆張りシグナルを全通貨ペアで検出するレーダー型インジケーター
- 日足の移動平均線を下位足に表示するインジケーター
- 移動平均乖離率のインジケーター
1つめは、シグナル点灯している通貨ペアを探すレーダースクリーンです。今回見つけたFX市場で安定して勝てる逆張りシグナルだけではなく、順張りのシグナルも検出します。エクセルのような画面で、全通貨のシグナル点灯状況を表示します。
移動平均線の売買シグナルを全通貨ペアから検出するインジケーター Heikin_Rader
2つめは、日足の移動平均線を下位足に表示するインジケーターです。
日足の移動平均線を日中足に表示するインジケーター Daily_MA_Any
3つめは、普通の移動平均乖離のインジケーターです。
これらのインジケーターは、当サイトの無料ブログツアーというメルマガの1通目でお渡ししております。
FXの移動平均乖離 まとめ
FXの全通貨ペアを対象に移動平均乖離率を使った逆張りストラテジーのバックテストを行った結果、安定して勝てることが分かりました。
- 日足25本移動平均線から5%乖離したら逆張りし、5日程度で利食いするとパフォーマンスが良い
- リーマンショックの際に大きなドローダウンが出ていた
- この手法の実践に役立つインジケーターを作った
以上で、FXの移動平均乖離率についての解説を終わります。