FXで勝てる移動平均線の手法を知りたいですか?このページには「全市場でバックテスト済みの答え」があります。FXの全通貨ペアで移動平均線を徹底的にバックテストし、勝つ方法を見つけました。ご注意ください。普通のFXサイトや本で解説されている移動平均線手法はコテンパンに負けます。このページでは「FX全市場で移動平均線をバックテストして優位性のあるストラテジを発見」→「裁量トレード手法に落とし込む」→「必要なインジケーターを作る」という理にかなった流れで解説します。その過程で開発した2つの移動平均線インジケーターもお渡ししましょう。ではお楽しみください。
もくじ
移動平均線とは
まずは、移動平均線とは何か?を解説します。そんなの知ってるよ!という方は↑の目次から「2.FX全通貨ペアで移動平均線をバックテスト」に進んでください。
移動平均線は価格データを平滑化してチャートにラインとして表示する、トレンドフォロー系インジケーターです。移動平均線は過去の価格に基づいて計算されるため、その売買シグナルはかなり遅れて発生します。売買シグナルとしての使い方ではなく、現在の方向性を定義するという使い方や、レジスタンスラインやサポートラインとして使った場合に特に役に立つと言われています。
移動平均線は値動きからノイズを除去し、スムーズなラインの動きとして値動きを表現してくれるので今出ているトレンドを定義しやすいです。
移動平均線は他の多くの有名なインジケーター(MACD、ボリンジャーバンド、エンベロープなど)の計算にも使われます。最もよく使われる移動平均線の種類は、単純移動平均と、指数平滑移動平均(EMA)です。
移動平均線の種類
移動平均線にはいくつかの種類があります。ここでは最も一般的な2種類の移動平均線について解説します。
単純移動平均線(SMA)
単純移動平均線(SMA)は、設定期間における価格データの平均値をチャート上でライン表示したものです。多くの場合、価格データには終値が使われます。例えば5日移動平均線は、過去5日間の終値を合計した数値を5で割った数値をチャート上にラインとして表示したものです。
例えば、過去5日間の終値の推移がで100円、101円、99円、98円、97円で終了した場合、5日間の移動平均は99円になります。
日にち進むにしたがい、計算対象を「移動」させていくところが「移動平均線」という名前の由来です。
指数平滑移動平均線
指数移動平均(EMA)は最近の価格により大きな重みを与え、値動きへの適応をより反応的かつ迅速にします。指数移動平均線は最近の値動きを考慮してより速く変化するので、単純移動平均線よりも速い売買シグナルを出してくれます。一方で反応が早いがためにだましの売買シグナルが出やすくなるというデメリットがあります。
単純移動平均と指数平滑移動平均(EMA)のどちらを使うべきか
どんな目的で移動平均を使うかによります。売買シグナルを出すために使うのであれば、シグナルが遅れにくいEMAが良いかもしれません。
一方移動平均線をサポートラインやレジスタンスラインとして使いたい場合は、ややこしい計算をしていないシンプルな単純移動平均の方が良いかもしれません。EMAよりも単純移動平均を使っている人が多いはずなので、多くの人が見ている移動平均線の方がレジすランスラインやサポートラインとして機能しやすいと思うからです。
私は、より多くのトレーダーが使っているインジケーターを一般的なパラメータ設定で使うのが一番良いと考えています。ですから私は単純移動平均を使います。
FX全通貨ペアで移動平均線をバックテスト
移動平均線を使った手法はFXで勝てます。
しかし一般的に言われている手法だとコテンパンに負けます。
間違いを犯し続けるなら、綺麗に一直線の右肩下がりで資金を失い続けることになってしまいます。
移動平均線は、FXや株の世界で最もポピュラーなインジケーターです。
大変人気のある移動平均線ですが、どのように使うとFX市場で優位性を持てるのでしょうか?それを明らかにしたいと思います。
このセクションで学べることを簡単に説明します。
・イントラデイの移動平均線は機能するか?
・移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスは機能するか?
・移動平均線のパーフェクトオーダーで勝つにはどうすべきか
・一般的な手法のバックテストから分かった!勝てる!移動平均線の手法
・バックテストで分かったことを組み込んだ移動平均線のインジケーター
このような内容を解説していきます。
それでは一緒にFXの移動平均線をマスターしましょう。
移動平均線のクロスオーバーの検証
移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスを使ったドテンシステムのバックテストを徹底的に行いました。デイトレードの時間足と日足でテストをして結論を出しています。
こちらの記事を読んで戻ってきてください。
移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスをFX全市場で検証~驚きの結果
移動平均線のパーフェクトオーダーを全通貨ペアでバックテスト
このセクションでは、移動平均線のパーフェクトオーダーの売買シグナルをFXの全市場でバックテストした結果を解説します。
移動平均線のクロスオーバーのバックテストでは勝てないことが分かりましたが、パーフェクトオーダーはどうでしょうか?
パーフェクトオーダーとは、短期、中期、長期の少なくとも3本の移動平均線を使用し、その並びがパーフェクトに並んだ場合に売買シグナルとしたり、売買条件の一つとする手法です。
買いのパーフェクトオーダー
とは上から、短期線 > 中期線 > 長期線 の並びになっている状態です。
売りのパーフェクトオーダー
とは下から、短期線 < 中期線 < 長期線 の並びになっている状態です。
売買シグナルとしては、この条件が成立したらすぐにエントリーするものもありますし、押し目を待ってエントリーする方法など様々な方法があります。
今回は、4つの売買シグナルをテストしました。
- パーフェクトオーダー成立でエントリー
- パーフェクトオーダー成立+傾き順でエントリー
- パーフェクトオーダー+短期足タッチでエントリー
- パーフェクトオーダー+短期足タッチ+傾き順でエントリー
テスト方法について
検証はMT4を使って実施しています
対象通貨ペアはAUD/CAD/CHF/EUR/GBP/NZD/USD/JPYの組み合わせの計28通貨ペアです
対象の時間軸は日足です
検証期間は1999年1月~2019年5月です ※通貨ペアによってばらつきあり
スプレッドはMT4のデフォルト(現在の値)に設定しています
パーフェクトオーダーの判定に使う平均線の期間は長期:200、中期:75、短期25としています。
エグジット
エントリーシグナルの優位性を調べたいので、エグジットは最もシンプルな方法にしました。特定の日数経過で成行決済する方法です。
エントリーから5日、25日、75日でエグジットする方法でテストしました。
パーフェクトオーダー成立で即エントリー
まずは、3本の移動平均線のパーフェクトオーダーが成立したら、次の足で成行エントリーする一番シンプルな方法でテストしました。
結果は、残念な結果になりました。
左上から、5日で決済、25日で決済、75日で決済した場合の資産曲線になります。
ポジション保有期間に関わらず、右肩下がりで負けているのがわかります。
数値を見ておきましょう。
勝率は45%前後ぐらいとなっています。
パーフェクトオーダーの並びになった状態で成行エントリーする手法は、コテンパンに負けるということが分かりました。
このテスト結果の詳細は以下の通りです。
エントリーから5本のローソク足が経過したら決済
エントリーから25本のローソク足が経過したら決済
エントリーから75本のローソク足が経過したら決済
パーフェクトオーダー+傾き順
パーフェクトオーダー成立で即エントリーの売買ルールだとダメだったので、そこに移動平均線の傾き順のフィルターをかけてみます。
この画像のように、パーフェクトオーダーが一応成立しているけれど値動きに勢いが無くレンジの中にあるような状況があります。そういったポイントで順張りのエントリーをすると、ダマしに引っかかりやすくなります。
そこで移動平均線の傾きがこの画像のように
短期>中期>長期 の順になっていること という条件を追加しました。
結果はどうでしょうか…
全然だめですね。
むしろ「パーフェクトオーダーのみ」よりも悪くなっているようです。
具体的な数値を比較してみましょう。
上がパーフェクトオーダーのみ
下がパーフェクトオーダー + 傾き順フィルター です。
傾き順のフィルターを追加してもパフォーマンスは改善しないどころか悪くなっています。
トレード回数は減っていますが、パフォーマンスは改善しません。
おそらく、上に伸びきったところで買ってしまったり、下に下がり切ったところで空売りしてしまう傾向がよりつよくなってしまうということだと思います。
パーフェクトオーダー + 短期足タッチでエントリー
今度はパーフェクトオーダーの手法に、「押し目や戻りを待つ」という考え方を追加してみました。
この画像のように、パーフェクトオーダーが成立した瞬間にはエントリーせず、短期線にタッチしたら次の足で成行エントリーというルールを追加しています。
結果はどうでしょうか?
負けていますね。
ただ、負けているんですが、先ほどよりは改善しているように見えます。
数字で比べてみましょう。
このように、若干ですが確実に改善はしているようです。
1トレード当たりの損失は小さくなっていますし、勝率も上がっています。
しかしトータルで負けているので、さらに改善を試みます。
パーフェクトオーダー + 短期足タッチ + 傾き順
パーフェクトオーダーに移動平均線の傾き順と短期線へのタッチの両方の条件を追加した場合です。
まだプラスになっていませんが、かなり改善し、トントンに近づいてきています。
数値を見てみます。
ここまでのパーフェクトオーダーのテスト結果を一つの表にまとめています。
パーフェクトオーダー、短期線タッチ、傾きのフィルタを組み合わせて追加すると、パフォーマンスが改善することが分かりました。
ただ、それでもまだトータルでマイナスなのでまだ何かが足りないようです。
パーフェクトオーダーの結論
パーフェクトオーダーの売買シグナルには優位性が無いことが分かりました。
ただ、2つの改善策があることも分かりました。
- 値動きの勢いが出ていることを確認すること
- 押し目や戻りを待ってエントリーすること
この2つの条件を追加することで、確実にパフォーマンスは上がるようです。
以上のことを、次回からのさらなる移動平均線のテストに活かしていきます。
移動平均線の勢い + 移動平均線タッチの手法
パーフェクトオーダーのバックテストの結果から、複数の移動平均線の並びを根拠にトレードしても優位性が無いことが分かりました。
しかし、値動きの勢いがある状態で、移動平均線への戻りを待ってエントリーすることが重要だというところまで前回のバックテストで分かりました。
そこで、値動きの勢いが出いていることを確認し、その後に主要な移動平均線に戻ってきたところでエントリーする手法をバックテストしました。
ポイントはこの2点になります。
1.まず値動きに勢いが出ていることを確認する
2.主要な移動平均線への押し目や戻りでエントリーする
問題は、勢いが出ていることをどうやって確認するか?です…
以下のようにして勢いのある値動きを定義しました。
ローソク足が移動平均線に最後に触れた位置から、ローソク足と触れることなく移動平均線が2%以上上昇したら、勢いのある上昇が出たと判定します。
その後、その移動平均線に戻ってきてタッチしたら、次の足で成行エントリーする。
エグジットは、シンプルに5日経過、20日経過、60日経過で成行エグジットする方法を採用しました。
そのような手法になります。
以下はテストの詳細です。
- 検証はMT4を使って実施しています
- 対象通貨ペアはAUD/CAD/CHF/EUR/GBP/NZD/USD/JPYの組み合わせの計28通貨ペアです
- 対象の時間軸は日足です
- 検証期間は1999年1月~2019年5月です ※通貨ペアによってばらつきあり
- スプレッドはMT4のデフォルト(現在の値)に設定しています
このような内容でテストを実施しました。
さぁ、結果はどうなったでしょうか?
25本移動平均線の結果
左上がエントリーから5日で決済、左下が20日で決済、右上が60日で決済の結果です。
5日決済と20日決済はマイナス、60日決済ではプラスになりました。
パーフェクトオーダーに比べると比較的良い結果と言えます。
数字を見てみましょう。
パーフェクトオーダーのテストで一番成績の良かった、移動平均線の傾き順と短期線タッチのパフォーマンスよりも、若干改善したかなといったところです。
25本移動平均線はすこし本数設定が小さすぎるのかもしれません。
75本や200本設定の移動平均線もテストしてみましょう。
75本移動平均線の結果
次に75本移動平均線を使った 勢い + 移動平均線タッチの結果です。
ご覧のように、左上の5日でエグジットと、左下の20日でエグジットした場合のパフォーマンスは良いですね。優位性があると言えます。
ただ、60日でエグジットだと、ちょっと引っ張りすぎなんでしょうか、優位性が無くなっています。
数値も見ておきましょう。
5日と20日決済は勝率も50%を超えてきました。
200日移動平均線の結果
次に、200本移動平均を使ったバックテストの結果です。
ついに右肩上がりのストラテジが見つかりました。
5日後に決済に関しては、けっこう綺麗に右肩上がりになっています。これぐらいの資産曲線であれば、少しだけ最適化を行って自動売買の運用も可能かもしれません。もちろん詳細なテストは必要ですけどね。
20日後に決済と、60日後に決済の方も、ドローダウンは大きいですが、トータルではプラスになっています。
では数値の方も見ておきましょう。今回のテスト結果を全部まとめて表示してみます。
下の3行が、「200本移動平均線への戻り」の結果になります。
5日でエグジットのパターンが一番パフォーマンスが良いです。勝率は57%に達しています。
5日後のエグジットででこれだけ利益になるということは、200本移動平均線がかなり意識されていて反応しているのが分かります。
20日エグジットでも60日でエグジットでも勝率は50%を超え、プラスになっています。
すごいのはですね、このバックテストは、最適化を一切していないということです。
あまり最適化をするとダメですが、多少はやっても大丈夫なので、若干の最適化でこれよりも良いパフォーマンスにできると思います。
この手法はもっと突き詰めていく価値があると思います。
この資産曲線は、先ほどの、200本移動平均線への戻りでエントリーして5日で決済する場合の資産曲線です。
右肩上がりではありますが、このままで自動売買の運用というのはきついと思います。
見ていただくと分かりますが、ドローダウンが結構出ています。
また、直近であれば、2017年~2019年は2年間ぐらい負けています。
ですから、ドローダウンを減らす施策は必要になると思います。
どんな改善策があるでしょうか?
まずは他のインジケーターをつかってフィルターを追加するという方法があります。オシレーター系のインジケーターを売買ルールに追加するともっと安定するかもしれません。
プライスアクションのシグナルを待ってエントリーするというのもあるでしょう。
オシレーターや出来高のダイバージェンスを使うともありだと思います。
フィボナッチのエクステンションと移動平均線のタッチの重複を狙うというのもいいと思います。
私のメインの手法であるMTFピボットと大口約定ラインを使った手法を組み合わせるのはかなり期待できそうです。
これは日足の売買シグナルなわけですが、この移動平均線のシグナルが点灯する直前~直後のタイミングで、1時間足や4時間足などの下位足でエントリーチャンスを狙うことでドローダウンを押さえることができると思います。
要するに、日足の移動平均線を使ったこのシステムの売買シグナルが点灯している状態で、下位足を使って裁量トレードをする。そしてうまくいけば5日間ぐらい利益を伸ばすという考え方です。(5日で利食いするのが一番パフォーマンスが良かった)
結論:
- 値動きの勢いを確認した後、移動平均線への戻り/押し目を待ってエントリーすることには優位性がある。
- 特に200本移動平均線に高い優位性がある。
- 最適化をするともっと良くなる可能性がある
- シグナル点灯中に下位足の売買シグナルでエントリーして利益を伸ばすなどが考えられる
改善策を実行するために必要となるインジケーターを作りました。またこの後のレクチャーで読者の皆さんにお渡しします。
勢い+移動平均線タッチの結果詳細
先ほど見つけた移動平均線の勝てる手法、「移動平均線を使って勢いを確認後、戻りでエントリーする手法」のバックテスト結果の詳細データです。通貨ペア別のパフォーマンスも収録しています。
全通貨ペアトータルで考えるとあまり勝てていない設定でも、通貨ペアによっては大きく勝てているものもたくさんあります。
通貨ペア別に考えるなら、それでよいのかもしれません。
私の考え方としては、全体としても勝てていている設定を選び、さらにその中でもパフォーマンスの良かった通貨ペアを選ぶのがベストなのではないかと思います。
25MAで検証
エントリーから5本のローソク足が経過したら決済
エントリーから20本のローソク足が経過したら決済
エントリーから60本のローソク足が経過したら決済
75MAで検証
エントリーから5本のローソク足が経過したら決済
エントリーから20本のローソク足が経過したら決済
エントリーから60本のローソク足が経過したら決済
200MAで検証 (←これが一番勝てている設定です)
エントリーから5本のローソク足が経過したら決済
エントリーから20本のローソク足が経過したら決済
エントリーから60本のローソク足が経過したら決済
移動平均線に関する先人の知恵
上記バックテストの結果を活かした裁量トレード手法を考えていくのですが、その前に先人の知恵も仕入れておきましょう。サンチャゴがいろんな人に聞いたり勉強したりして仕入れた知識のまとめです。ざっと目を通してみてください。
裁量トレードに移動平均線を使うコツは日足の移動平均線を使うこと
15分足でデイトレードをする場合、通常は15分足の移動平均線を使うと思います。これは間違いではありませんが、もっと良い方法があります。
全ての時間足で日足の移動平均線を使うことです。
5分足でトレードする場合も、1時間足でトレードする場合も常に日足の主要な設定の移動平均線を使うのです。
その理由は、まず今回のバックテストで5分足と1時間足の移動平均クロスのバックテスト結果がきれいな一直線の右肩下がりだったことがあります。
様々なトレーダーが、いろんな時間足でトレードしています。5分足を使ってトレードする人は5分足の移動平均を見ていて、1時間足の人は1時間足の移動平均線を見ているでしょう。時間足が変われば移動平均線が引かれる位置も全然違うので、目先ではそれぞれが全く違う移動平均線を意識していることになります。
しかしほとんど全てのトレーダーが日足だけは必ず使います。デイトレーダーなら上位足として日足を使いますし、スイングトレーダーならメインのチャートとして日足を使うでしょう。長期投資家なら、日足を下位足として使っていることでしょう。そして彼らの多くは、日足に主要な設定の移動平均線を表示しています。
ということは日足の主要な移動平均線の方向性や、その位置は全てのトレーダーに意識されているということになります。それなら、どんな時間足でトレードするにしても、そのチャートに日足の移動平均線を表示することが有効だということが安易に想像できると思います。
移動平均線の使い道
移動平均線は最もポピュラーなテクニカルインジケーターであり、様々な用途に使われます。
- トレンドの判定に使う
- エントリーシグナルとして使う
- エグジットのシグナルとして使う
- レジスタンスラインやサポートラインとして使う
- トレーリングストップに使う
移動平均線はこのような使い方をされています。
トレンド判定に使う
長期の移動平均線はトレンドの判定に使われます。長期移動平均線よりも価格が上にあればアップトレンドだから買いだけを狙う。長期移動平均線よりも下に価格があればダウントレンドなので売りだけを狙うか買いポジションを現金化するといった使い方です。
エントリーシグナルに使う
短期と長期の2本の移動平均線のクロスオーバーをエントリーシグナルとして使う手法があります。デッドクロスやゴールデンクロスと呼ばれる売買シグナルです。移動平均線同士のクロスオーバーではなく移動平均線とローソク足のクロスを使う場合もあります。
しかし、これらゴールデンクロスとデッドクロスのドテン手法はFXでは日足でも機能しないことが確認できました。
移動平均線の並びがきれいに並ぶパーフェクトオーダーをシグナルとして使う考え方もありますが、これも今回のテストでコテンパンに負けることが確認できましたので使えません。
先人の知恵として、移動平均線を売買シグナルとして使う考え方が教えられることがりますが、今回のバックテストの結果から、移動平均線は売買シグナルとしては機能しないことが分かりました。
サポートラインやレジスタンスラインとして使う
日足の主要な移動平均線は多くのトレーダーが意識しているため、それ自体がサポートラインやレジスタンスラインとして機能することが多くあります。この考え方は、今回のバックテストでも機能することが確認できました。
しかし移動平均線がレジサポとして機能するには条件があります。それは…
レジサポとして使おうとしている移動平均線に勢いがないといけないということです。
言い換えると、移動平均線に戻ってくる前の値動きに勢いがないといけないということです。
値動きに勢いが出ていることが確認出来た後の押し目/戻りで移動平均線がサポートやレジスタンスラインとして機能するということです。それ以外の場合には、それほど機能しないことがバックテストで確認できました。
また、FX市場で特に意識されているのは日足の200本移動平均線であることが分かりました。
トレーリングストップの基準に短期移動平均線を使う
日足の5本移動平均線など短期の移動平均線は、スイングトレードのポジションに利益が乗って勢いがある場合に、トレーリングストップのラインとして使われることがあります。買いポジションであれば5日移動平均線を日足終値ベースで下回ってしまったら決済するといったルールです。
移動平均線の設定
移動平均線は日数(本数)の設定が必要です。好きな数値に設定できますが、一般的に使われている数値を使うことをお勧めします。誰も使っていない自分だけの設定で、だれも見ていない移動平均線を見てトレードしても意味がありません。多くの人が意識している移動平均線だからこそ意味があります。
最もよく使われる移動平均線の設定は以下の通りです。
- 短期:5日移動平均線
- 中期:25日移動平均線
- 長期:200日移動平均線
この3つが圧倒的に一般的です。
ネットで調べてもそうですし、周りのトレーダーの意見を聞いてもこの3つのうちのどれかを使っている人がほとんどです。
また、75日移動平均線も候補になります。理由はYahooファイナンスで採用されているため、意識される可能性があるからです。
それぞれの移動平均線は、それぞれ少し違った用途があります。
5日移動平均線
5日移動平均線はどのような相場環境で、どのように使うと良いのでしょうか。
5日移動平均線はあまりに短期の設定なので、単独で使って売買シグナルの発生やトレンドの判定に使おうとしてもあまり役に立ちません。
ではどう使うのかというと、先ほども述べましたが、トレーリングストップに使います。
例えば買いポジションを持っている状態で、上昇に勢いがついているとします。どんどん含み益が増えていきます。利益を伸ばしたいけれど、もし反転した場合には何らかの根拠をもって利食いをしてある程度の利益を確定したい。そんな時に使います。
5日移動平均線を使ったトレーリングストップのルールは以下の通りです。
日足の5日移動平均線の上で推移している間は買いポジションを保持します。
日中に日足の5日移動平均線を割り込んだとしても、日足の終値で5日移動平均線を下回らない限りはポジションを保持します。
終値で5日移動平均線を下回ってしまったら、次の日に成り行きで手仕舞いするか、その日のクローズでポジションを閉じます。
上昇の勢いがある相場の場合、日中に一瞬だけ5日移動平均線を下回るけれど、終値を付けるころにはその上を回復しているということがよくあります。
ただし、5日移動平均線は日足レベルで勢いのある値動きが出ている時しか使いものにならないということを覚えておきましょう。
25日移動平均線
25日移動平均線は、日足レベルのトレンドにおける押し目/戻しが向かいやすい位置として一般的には知られています。
使い方としては、200日移動平均線などの長期移動平均線が上向きの場合、25日移動平均線まで下げてくるまで待ち、そのあたりで何らかの買いシグナルを待って買いを狙うという使い方になります。
今回の全通貨ペアを対象としたバックテスト結果では、25日移動平均線が押し目/戻りの際のサポートやレジスタンスラインとしてそこまで意識されているという結果は見出せませんでした。
ちなみに、25日移動平均線は移動平均線乖離を使った逆張りシステムでよく使われます。ダウントレンドにおいて、25日移動平均線よりも下に一定のパーセント以上の乖離ができた場合に逆張りで買うといった方法です。この逆張り手法は株式市場の買いオンリー戦略で勝てることが有名ですが、FXでも勝てることが当社で行った別のバックテストで確認できています。(それはまた移動平均乖離の記事で解説します)
200日移動平均線
値動きの測定基準として世界で最も重視されているのは、日足の200日移動平均です。株でもコモディーでも、高値からするとゼロに使い価格まで下がってしまうものが実際に存在します。
トレードのコツは、「すべてを失ってしまうことをどのように防ぐか?」です。200日移動平均線の法則を使用すると、そういったほぼゼロになってしまうという悲惨な状況に対する防御力は上がり、危機的状況になるはるかに前の段階で逃げることができます。
日足の200日移動平均線は、相場の世界で最も重要な移動平均線の一つです。
私の調べてところによると、一般的には日足の200日移動平均線は長期のトレンドフィルターとして使われているようです。買いトレードは200日移動平均線の上では良い結果になりやすく、逆にショートトレードは200日移動平均線の下で上手くいきやすいということです。
また、200本移動平均線は上昇相場の主要なサポートラインとして「最終ディフェンスライン」とみられています。特に株式市場で顕著にこの傾向があります。株価インデックスの上昇トレンドで200日移動平均線を明確に割り込んでしまえば、株式市場で何か悪いことが起きる!といった意味のことを言い始めるアナリストが多くなります。
それぐらい世界中のトレーダーに意識されているわけですから、200日移動平均線は必須です。
今回私が行ったFX全通貨ペア対象のバックテストでも200日移動平均線をサポートラインやレジスタンスラインとして使った手法が良いパフォーマンスを出しました。
私はこの移動平均線を使った裁量手法や自動売買システムを追求してみたいと考えています。
3本の移動平均線を同時に使う方法
1枚のチャートに3本の移動平均線を表示して分析する方法を解説します。
設定の組み合わせは無数に考えられますが、先のセクションで解説した通り、5日、25日、200日の移動平均線が最も重要なので、その3本を使うのが良いでしょう。
3本の移動平均線の組み合わせ
- 短期:5日移動平均線
- 中期:25日移動平均線
- 長期:200日移動平均線
この3本を日足に表示してトレードの判断をしていきます。
200日移動平均線をトレンドフィルターとして使い、25日で押し目を拾って5日移動平均線を利食いのトレーリングストップに使うといった考え方かと思います。
25日線を割り込んでしまったら200日線まで引き付けて再度エントリーを狙うことになります。
この際に重要なことは、何らかの方法で値動きにいったん勢いが出たということを確認し、その後の移動平均線への押し目でなければいけないということです。
値動きの勢いを確認するのにパーフェクトオーダー、つまり移動平均線の並び順がきれいに並んだというだけでは不十分だということはバックテストで確認済みです。
以上、移動平均線に関する先人の知恵についての解説でした。
次はいよいようバックテスト結果を活かした裁量トレード手法を作っていきます。
今回の検証結果を活かしたスイングトレード手法とツール
今回行ったバックテストで一番パフォーマンスの良かったストラテジを活かせる裁量のスイングトレード手法を考えました。デイトレードにも使えますが、できれば数日~1週間程度利益を伸ばすトレードを意識するのがベストです。
裁量手法の概要
今回バックテストで見つけた優位性のある手法は、日足を使った手法でした。
この手法です。
日足のストラテジー
- 200日移動平均線で値動きの勢いを確認(タッチせずに移動平均線が2%動いたら)
- その後、200日移動平均線へのタッチで次の日に成行エントリー
日足だけを使ってこのストラテジーでトレードするのもありでしょう。しかしそれだとドローダウンが大きいので、マルチタイムフレーム分析の考え方を導入します。
まず日足でその手法の売買シグナルを検出しつづけ、シグナル点灯を待ちます。
日足の売買シグナル点灯の直前から直後ぐらいのタイミングにおいて、30分足~4時間足ぐらいの下位足を見ます。そして下位足の売買シグナルを使って日足シグナルの方向にのみエントリーします。
下位足の売買シグナルはあなたの持ち技で構いません。
- プライスアクション
- フィボナッチ
- ダイバージェンス
- MTFピボット
- 出来高分析
などなど
下位足のシグナルを待つことにより、トレードの精度を上げ、またロスカット値幅を狭くしてローリスクでエントリーすることを期待できます。
エグジットルールは基本的には下位足の売買シグナルとして使った手法に従います。
しかしポジションの少なくとも半分程度は、5日移動平均線を使ったトレーリングストップで5日程度利益を伸ばします。
このように下位足を使ってエントリーすることでリスクを抑えます。そしてポジションの一部で利益を伸ばすことで日足レベルの大きな利益も確保できます。
それにより、日足ストラテジだけでトレードする場合の欠点である大きなドローダウンや長期化のドローダウンを防ぐことが期待できます。
とはいえ、まだこの手法は考え付いたばかりの手法で、実践はまだなので絶対ではありません。皆さんと一緒に実践してフォローアップできたらと思います。
さて、この手法を実践するには2つの課題があります。
日足のシグナルを待たなければならないこと。そして日足の移動平均線を下位足で見れる必要があるということです。
ご安心ください。それらを実現する2つのインジケーターを開発してあります。
この手法を実践するための便利なインジケーター2つ
ここまでに解説してきた手法を実践するための2つのMT4向けインジケーターを開発しました。
- 上記日足ストラテジの売買シグナルを主要全通貨ペアで検出するレーダー型インジケーター
- 日足の3本の移動平均線を下位足に表示できる移動平均線インジケーター
インジケーターはサンチャゴのブログツアーメルマガに登録する(無料)というメルマガでお渡ししています。
サンチャゴのブログツアーでは今回ご紹介する2つのインジケーター以外にも凄いツールをいくつも入手できます。
日足移動平均線売買シグナル検出レーダー Heikin_Rader
このインジケーターは、今回のバックテストで発見した勝てるストラテジの売買シグナルを全主要通貨ペアを対象に検出してくれるレーダースクリーンのようなツールです。その名はHeikin_Rader。
今回見つけたストラテジーだけではなく、別のバックテストで勝てることが分かった移動平均線乖離のシグナルも同時に検出します。(緑枠の部分)
これは日足のストラテジーなので売買シグナルが検出される頻度はそれほど多くありません。たくさんトレードしたい方にとっては退屈かもしれません。しかしこういった日足で優位性のあるストラテジをたくさん見つけていけば忙しすぎて対応できないぐらいになるでしょう。
使い方はいたって簡単。
どの通貨ペアでも良いのでこのインジケーターを適用します。すると画像のような表が現れるので、あとはシグナルが表示されるのを待つのみです。
2019年8月2日現在、シグナルは一軒も発生していませんが、発生すればエントリーを狙いたいと思います。
移動平均線の売買シグナルを全通貨ペアから検出するインジケーター Heikin_Rader
日足の主要な移動平均線を日中足(1時間足など)に表示する Daily_MA_Any
Heikin_Raderで日足の200本移動平均線を使ったストラテジーの売買シグナルが点灯したら、30分足~4時間足ぐらいの下位足を使って下位足の売買シグナルを探してエントリーします。
その際、下位足にも日足の200本移動平均線のラインが表示されたら便利ですよね。それができるインジケーターを作りました。
これは1時間足に日足の移動平均線を表示した画像です。
黄色が日足200本移動平均線、赤が日足25本移動平均線、青が日足5本移動平均線です。
線がカクカクしているのは日中足に日足の移動平均線を表示しているからです。カクカクの境目が1日の切り替わり部分となります。
先ほど開設したHeikin_Raderでシグナルが点灯したら、1時間足チャートなどの日中足を開き、黄色の200本移動平均線付近で日中足の売買シグナルを使ったエントリーを狙います。
そしていったんエントリーしたら、青の日足5本移動平均線を使ってトレーリングストップで利益を5日間程度伸ばします。
赤の日足25本移動平均線もレジサポとして使うことができます。
以下のページでインジケーターのダウンロード方法と使い方の詳細を解説しています。
日足の移動平均線を日中足に表示するインジケーター Daily_MA_Any
日足移動平均線の「勢い+タッチ」のシグナルで下位足を使って裁量トレードする例
日足移動平均線タッチのシグナルで、下位足を使ってエントリーする方法の例を解説します。
まだこの手法は作ったばかりで、まだリアルタイムではシグナルが一度も点灯したことがありません。(2019年8月2日現在)
そこで、過去チャートを使って解説することにします。
AUDJPYのチャートを振り返ってみます。
日足を見ると、ここで200本移動平均線から下に価格が離れ、タッチすることなく移動平均線が2%以上下がっています(①)。この辺でHeikin_Raderのシグナルが半分点灯していたはずです。
その後、200日移動平均線まで戻ってきてタッチします。この時点でHeikin_Raderではシグナル点灯となります。(②)
ここで下位足を開きます。この場合は1時間足を使ってみます。
先ほどの日足の移動平均線にタッチしている部分が、1時間足だとここになります。(①)
200日移動平均線にタッチするときの1時間足の値動きは上昇の勢いが強いので、まずはそこですぐにエントリーということではなく、一旦見送る判断ができます。
その後、少し強めの下落(②)が出ます。でもまだここでは、この安値(③)を下回っていないので、上昇トレンドのままです。
フィボナッチエクステンションで逆張り
上昇トレンドがまだ崩れていない状況で逆張りをするのであれば、賢い方法はフィボナッチ・エクステンションを使う方法です。
トレンドに逆らってエントリーする際に使うのは、フィボナッチのエクステンションが有効です。
フィボナッチのエクステンションでは、下落に対して、138.2%~161.8%の上昇が起きた時点で、少なくとも一旦は上昇が止まると予測します。
ではフィボナッチエクステンションを実際に引いてみます。
フィボナッチボタンをクリック(①)して、ここからここまで(②)ドラッグします。
すると、③のように138.2%と161.8%のフィボナッチエクステンションのラインが引かれます。この場合は丁度その辺りで上昇が止まっています。ここまでバッチリ止まることをいつも期待することはできませんが、このあたりで一旦止まる可能性は高いので、その辺りに指値をおいて逆張りするのは一つの方法です。
フィボナッチエクステンションのラインが出ない場合は、Fiboプロパティーで設定追加します。先ほどドラッグした軌跡に表示される赤い点線をダブルクリックして右クリック、Fiboプロパティーを開きます。
1.618と1.382がリストに無い場合は、「追加」ボタンを押して新規追加します。
この場合ロスカット注文は、ちょっと値幅が大きくなりがちですが、フィボナッチエクステンションの200%に置いて余裕を持ったロスカット注文にするか、自分の中で決めたPips数に設定するなどしてください。ロスカット注文は161.8%よりは遠い位置に置くべきです。
レンジブレークアウトだまし
また、レンジブレークアウトのダマしを確認してのエントリーも有効です。
このあたりにレンジを意識できると思います。(①)
レンジの上をブレークアウト(②)したのがダマしになって激しい下落が起き始めた時点で(③)、トレンドが転換すると予測してそこで空売りするのもありですね。
ロスカット注文は高値の上に設定します。
日足移動平均線に押さえられるポイントを狙う
一旦下に落ちてダウントレンドに転換した後、戻りが移動平均線の束に押さえられるところで空売りを狙うのも良い方法です。これが最後のチャンスになっていますね。
日足5日移動平均線でポジションの一部の利益を伸ばす
その後、下落に勢いがついて利益が乗ってきたら、5日移動平均線を使ったトレーリングストップで利益を伸ばします。
途中で5日移動平均線を上に抜けそうになりますが、日足の終値ベースでは抜けていないので、ホールドします。
最終的には①で5日移動平均線を上に抜けてクローズしますので、ここでエグジットになります。
ただ、②の強烈な下落が出ている際に、移動平均乖離の逆張り買いシグナルが発生しますし、さすがにこの大きな下髭を見た時点でエグジットできると思います。
このようにすると、下位足を使った比較的小さなロスカット値幅で、大きな利益を取ることができます。
今回は1時間足を見ましたが、下位足としては30分足や4時間足もいいと思います。
15分足ぐらいまではいいかもしれません。それよりも下の時間足になると一気に難易度が上がってくるので注意してください。
下位足を使ってエントリーする方法は他にもたくさんあります。
プライスアクションだったり、ダイバージェンスだったり、MTFピボットや大口約定ラインツールを使うともっと精度が上がります。その辺は、いろいろ勉強してみてください。
今回は、初心者向けのコースということで、最もシンプルなフィボナッチとプライスアクションの一番簡単な部分を解説しました。
以上で、日足の移動平均線シグナルのタイミングで下位足を使ってエントリーする方法の解説を終わります。
FXの移動平均線 まとめ
今回はかなり時間とコストをかけ、MT4を使って全通貨ペアを対象とした移動平均線のバックテストを行いました。
一般的に言われている移動平均線の使い方では勝てないことが分かっただけではなく、FX市場全体で勝てる手法も見つかりました。
- デイトレードの時間足だと一直線に負ける
- ゴールデンクロスやデッドクロスは勝てない
- パーフェクトオーダーも勝てない
ということが分かりました。
移動平均線を使って勝てる方法も見つかりました。
- 移動平均線の「勢い」を確認し、戻りや押し目での「タッチ」でエントリーする手法はFX市場全体で勝てる
- 移動平均乖離率の逆張りも勝てる
今後もこの方法で様々な手法をテストして優位性のあるストラテジーを見つけ、裁量トレードだけではなく自動売買システムの開発にも役立てていきたいと思います。
移動平均線の使い方や手法はまだまだ他にもたくさんあると思います。みなさんもいろいろと試してみてください。そして勝てる手法が見つかったら教えてください!
今回は良いストラテジーが見つかったので移動平均線を私の手法に取り入れていきたいと思います。
たいへん長い記事でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。