ボラティリティーとは、一言でいうと、その通貨ペアの値動きの大きさ(激しさ)です。
FXのトレードで実運用をする段階になると、いろんなことを決めなければいけません。
どの通貨ペアをトレードする?何ロットでエントリーする?ロスカット値幅は?利食い値幅は?そういったことをボラティリティーを使って決めるのが正しい方法です。
このページでは全通貨ペアのボラティリティーが一目でわかるツールを入手し、その使い方をマスターします。初心者の方から上級者の方まで今すぐヘッジファンドで使われている考え方を取り入れましょう。
もくじ
勝ちやすい通貨ペアの勝ちやすい時間足でトレードするのが大切
デモ口座でFXの練習を積む段階では、1分足や5分足など短い時間足を使って練習を積むのは時間を短縮するうえで有効です。
しかし実運用となると話は別です。大切なお金をかけたトレードなのですから、早く経験を積めるかどうかなんて関係ありません。容赦なく勝ちやすい通貨ペアの勝ちやすい時間軸を選ぶようにしましょう。
FXのアフィリエイト目的のサイトなどでFXの1分足スキャルピングのノウハウを教えていたり、そういう本が売られていますが、そういったアフィリエイト目的のコンテンツに踊らされてはいけません。(FXの闇を参照)
短気な人などで、どうしても超高速で結果の出るスキャルピングをしたいという人は、歩み値も板情報もリアルタイムで全部見ることができる株式市場か日経225先物市場でやるようにしましょう。
ボラティリティーについて知ると、FXはある程度長い時間軸の方が勝ちやすいことに気づきます。FXで一番勝ちやすい時間軸は、2カ月から3か月ぐらいホールドすることを想定したトレードです。この記事を読み終えるころには、FXスキャルなんてやめて、すくなくとも1週間ぐらいは利益を伸ばすことを想定したトレードをしよう!と心に誓っていることでしょう。
ヘッジファンド出身者からもらったボラティリティーに関するアドバイス
以前、ヘッジファンド出身者の方とお話しする機会があり、ボラティリティーに関して以下のようなアドバイスをもらいました。
- ボラを意識してトレード対象を決めろ
- ボラを意識してトレードする時間軸を決めろ
- ボラを意識してロットサイズを変えろ
- ボラを意識してロスカット幅や利食い値幅を変えろ
これらのアドバイスを自分のトレードに活かすために、Googleスプレッドシートという無料で使えるExcelみたいなアプリを使って2つのツールを作りました。
この2つのツールがとても便利なので、読者の皆さんと共有したいと思います。
この記事ではそれら2つのツールを使ってボラティリティーについて解説していきたいと思います。
この記事で学べるボラティリティーの使い方
この記事では便利なツールを使い、ボラティリティーに関する重要なノウハウを解説します。
FXと東証株式のボラティリティーを時間軸別に把握し、トレード対象の通貨ペア(銘柄)と時間軸を決める方法です。
これらのノウハウは、とても重要です。
このノウハウは実際のトレード手法そのものではないので退屈だと感じる人もいるでしょう。しかし、FXや株を実運用していくにあたって必須のスキルとなりますので、必ずマスターしてください。
ボラティリティーを意識してトレード対象と時間足を選択する方法 勝てないなら見直そう!
このセクションでは、ツールを使って計算したボラティリティーを意識してトレード対象となる通貨ペア(銘柄)や時間足を選択する方法を解説します。FXの1分足スキャルピングなどというバカげたことをしている人は、このノウハウを知るだけで勝てるようになるかもしれません。
トレーダーはボラティリティーの奴隷です。
ボラティリティーとは値動きの大きさのことです。値動きが小さいとトレーダーは利益を上げることができません。ですからトレーダーは常にボラティリティーを追い求めているボラティリティーの奴隷と言えます。
ボラティリティーの無い場所では方向性を持った値動きが必要なトレードはしないのが基本中の基本です。
通貨ペア(銘柄)や時間足の選択にボラティリティーを使おうということですが、具体的には以下のことをします。
- ボラティリティーの高い通貨ペアや銘柄を選択する
- ボラティリティーの高い時間軸を選択する
基本的には時間軸を上げれば上げるほどボラティリティー(値動きの値幅)は大きくなっていきます。1分足の値幅よりも1時間足の値幅の方が大きいですし、1時間足の値幅よりも日足の値幅の方が大きくなります。
じゃ、一番長い時間軸である月足でトレードすればいいじゃないか。ということを言うつもりはありません。どの通貨ペアにもボラティリティーの美味しい時間軸というのがあるので、そこを見つけてそこを狙っていこうということです。
FXのボラティリティーってどれぐらい?
ところで、ドル円の平均的な1日の値幅ってどれぐらいでしょうか?
レートに対して0.67%ぐらいです。値幅だと0.7円ぐらい。pips数で言うと70pips程度です。
もっと大きく動くときもありますが、平均的にはそれぐらいになります。
それに対して、ポンド円(GBPJPY)の1日の値動きはどれぐらいでしょうか?
0.99%ぐらいです。値幅だと1.38円、Pips数だと138pipsです。
ポンド円はドル円に比べて、値動きのパーセンテージだと1.5倍ぐらい良く動くということになります。
pips数で言うと、2倍ぐらいになります。
ポンド円はドル円に比べてボラティリティーが圧倒的に大きいということが分かります。
これだけ見ると、ポンド円というのはものすごくボラティリティーが大きいトレード対象だ!と思ってしまいます。
しかし実はそうでもないのです。
FXのボラティリティーは全体的に、思っている以上に小さいです。
ですから、FXのトレードにおける時間足の選択は注意しなければいけません。
トレード対象として必要なボラティリティーの目安
では、トレード対象として具体的にはどれぐらいのボラティリティーが必要なのでしょうか?
人それぞれ、いろんな基準があると思いますが、ここでは私の友人のヘッジファンド出身者の意見を採用します。
最低でも1%程度のボラティリティーがある銘柄/時間軸を選択する必要があります。これは最低基準です。
2%~3%のボラティリティーがある銘柄/時間軸を選択すると、トレードチャンスを見つけやすくなり、結果的にトレードの難易度が下がります。
もし今FXで勝てていないなら、2%~3%以上のボラティリティーがある通貨ペア/時間足に移った方が良いです。
レバレッジを上げたらいいでしょ?それはダメ
十分なボラティリティーが無くても、レバレッジを100倍とか200倍とかでトレードしたら稼げるでしょ?
と思う人もいるかもしれません。
いや、それではダメです。
海外FX口座だと、レバレッジを500倍とかかけることができてしまいます。500倍のレバレッジでトレードしていたら、ボラティリティーが小さくても、ちょっとした値動きでも大きく稼ぐことができます。
しかしそれはちょっとした値動きでも大きな損失が出るということでもあります。
レバレッジを最大限まで上げて、ボラティリティーの小さなトレード対象をトレードするということは、特にチャンスが来ていない場所で損失額と利益金額を同時につり上げているだけです。
以前「本質のチャートトレード」でも解説しましたが、FXで勝ちやすいポイントというのは、他の人がストレスを感じているポイントです。
ボラティリティーが小さいということは、値動きがあまりないということです。値動きが無いところでは誰も大きなストレスを感じることはありません。
ロスカットを迫られるような激しい値動きが出るからこそ、ストレスを感じるのです。そういったポイントで、分かりやすいポイント、勝ちやすいポイントが出てきます。
分かりやすくないポイントで、いくらレバレッジを効かせてトレードしても、勝ちと負けの金額を両方同時に拡大するだけで、長期的には全く意味がありません。
ボラティリティーが小さい通貨ペア/時間軸でレバレッジを上げてトレードするということは、 何でもない場所で大損する可能性と、何でもない場所で大きな利益が転がり込んでくる可能性を同時に上げているだけなので、意味が無いということです。
ボラティリティーが大きな通貨ペア・時間足で適正なレバレッジをかけてトレードすることが重要です。
FXの全通貨ペアと全株銘柄の最新ボラティリティーが分かるツール
ということで、今どうしてもFXで勝てていないなら、トレード対象と時間軸を見直してみましょう。
全通貨ペア、全株銘柄のボラティリティーを取得して比較できるツールを作りました。表形式で各通貨ペアの様々な時間軸のボラティリティーを比較できるツールです。ボラティリティーのデータは週1回ぐらいの頻度で最新のものに入れ替えますので、ほぼ常に最新データを見ることができます。
このツールを皆さんとシェアしますので、ツールを見ながら各通貨ペアの様々な時間軸のボラティリティーのイメージをつかみ、トレード対象を決めれるようになりましょう。
このツールは、Excelに似たGoogleスプレッドシートというアプリを使います。Googleシートを使うには、Googleアカウントを持っている必要があります。ですので、まだお持ちでない方は、まずはGoogleアカウントを取得してください。もちろん、Googleアカウントは無料で取得できますし、Googleシートも無料で使えます。
ではここからは、Googleアカウントを取得してGoogleシートを使える状態という前提で進めていきます。
まずはツールをお渡しします。
↑のリンク先を開くと、Excelのスプレッドシートのような画面が開きます。ファイル-コピーを作成をクリックします。
このようなダイアログが開くので、好きなファイル名を付けてGoogleドライブというクラウドの保存領域にあるフォルダを選択して保存してください。
このスプレッドシートは、3枚のシートから構成されています。
FX、株(225採用銘柄)、株(マザーズCore銘柄)を別々のシートにまとめてあります。FXの方はFXのシートを開いてください。
(近々4枚目のシートに「東証株全銘柄」を追加する予定です)
表の見方を解説します。
縦方向に通貨ペアがずらっと並んでいます。
横方向の項目は時間軸です。
1日ATR(%)は、1日の値幅の平均値だと思ってください。ATRの計算はもっと複雑なんですが、ややこしい計算は置いておいて、ざっくりと1日ATRとは1日の平均的な値幅だと思ってください。
%で表示しているのは、通貨ペア間で比較するためです。また%で表示しておくことで、株と比べてどうか?というのも把握することができます。
1週間ATR(%)は、週足の平均的な値幅です。1か月ATRは月足の平均的な値幅となります。
「日と週を比較」には、1週間ATRが1日ATRの何倍になっているかを示しています。
「週と月を比較」には、1か月ATRが1週間ATRの何倍になっているかを示しています。
「日と月を比較」には、1か月ATRが1日ATRの何倍になっているかを示しています。
一番右のほうには、倍率の平均値が表示されています。
(皆さんがコピーしたGoogleシートは最新のデータに更新されていますので、この画像とは数値が違うはずです)
ボラティリティーの分析をしてみよう(FXの場合)
では実際にFXのボラティリティーの傾向を見てみましょう。
まずは先ほどのおさらいをしておきましょう。
- トレードに最低限必要なボラティリティーは1%
- 理想的なボラティリティーは、2%~3%以上ある部分
FXのボラティリティーはどうでしょうか?
1日ATR(%)のところを見てください。1%を超えている通貨ペアはごく一部です。GBPJPYなどボラティリティーが高いと言われている通貨ペアでさえ、1%を超えていません。(2019年2月頃)画像では1%ギリギリの0.9%よりも大きい数値のセルに色を塗っています。
しかもこれは日足1本の標準的な値幅となります。日足の下髭から上髭までの値幅となりますので、デイトレードよりも長い時間軸を想定したデータです。デイトレードで日足の端から端までは取れませんからね。要するに、丸一日端から端までの値幅でもボラティリティーがレートに対して1%を超える通貨ペアはほとんどないということです。ギリギリの通貨ペアとしてなじみのあるものだと、GBPJPY、ZARJPY、NZDJPYあたりです。丸一日保持するようなデイトレードだと、その辺りの通貨ペアはギリギリOKといったところです。
次に1週間ATR(%)を見てみましょう。
1週間ATRとなると、ほとんどが1%の最低ラインを超えています。2%以上となると、ほとんどのメジャー通貨ペアはクリアできていません。
1か月ATR(%)になると、ほとんどが2%を超えてきます。
ボラティリティーが小さいUSDJPYやEURUSDなどのメジャー通貨でも2%の条件をクリアしています。
ここから分かることは、EURUSDやUSDJPYなどのメジャー通貨ペアをトレードする場合は、2カ月から3か月ぐらいホールドして利益を伸ばすことを想定したトレードが最も勝ちやすいということにになります。
それ以外のGBPJPYやAUDJPYなどのような比較的ボラティリティーの高い通貨ペアでも、(うまくいけば)少なくとも1週間以上は利益を伸ばす前提のトレードをすべきだということが分かります。
そこまで長い時間軸はちょっとしんどい…という方でも、1分足や5分足だけ見て2、30分で利食いする前提の超短期トレードは問題外ということは分かったと思います。
株のボラティリティーはFXに比べてどうなのか?
次は株のボラティリティーも見てみましょう。
先ほどと同じGoogleシートの株(225)というシートを開いてください。
このシートに収録されている株銘柄は、日経225という株価インデックスに採用されている日本を代表する225社になります。誰でも名前ぐらいは聞いたことある企業ばかりです。
ざっと見ていただけると分かると思いますが、株のボラティリティーはFXに比べて非常に大きいです。
1日ATRでも10%を超える銘柄もあり、ほとんど全銘柄が1%を超え、2%や3%は当たり前といった感じです。1日のATRがです。
1週間ATRだと10%越えがたくさんあり、ほとんどの銘柄が3%を超えています。
1カ月ATRとなると、20%~30%ぐらいでも普通に超えている銘柄がたくさんあります。
ここから分かるのは、株だと度の時間軸でも十分なボラティリティーがあり、デイトレードでも問題ないということになります。
ついでに東証の振興銘柄も見ておきましょう。JASDAQやマザーズに上場されている株です。新興銘柄はボラティリティーが大きいと言われていますが、果たして本当にそうでしょうか?
これは新興銘柄のうち、特に売買代金の大きい10銘柄です。
その噂は本当です。
ご覧のように、新興銘柄のボラティリティーは225採用銘柄のそれよりもさらに大きい傾向があります。
これだけボラティリティーが高いと、デイトレードやスキャルピングをしてもチャンスをたくさん見つけられそうです。
もともと株トレーダーの僕は、あまり新興銘柄をトレードしないタイプでしたが、もっと早く考え直した方が良かったようです。
このようにボラティリティーが非常に大きい株式市場ですが、欠点もあります。
まず、レバレッジが最大3倍までしかかけられない点です。日本のFX業者で25倍、海外だと500倍ぐらいかけれるので、それに比べると地味ですね。
ただ、ボラティリティーの大きな銘柄を選べばレバレッジ3倍でも十分ではないでしょうか。
もう一点は、最小取引単位が大きいので、ある程度大きな資金を持っている人でないとトレードできない銘柄があるということです。
例えば、10万円しか資金が無い人だと買える銘柄が極端に限られてしまいます。FXだと1000通貨単位からトレードできる業者もあるので、資金が少なくてもすべての通貨ペアをトレードできます。
ボラティリティーまとめ
FXや株の最新ボラティリティーを見れるツールはいかがでしたか?
こういう値動きの大きさの感覚って、長年相場を経験している人は肌感覚で身についています。しかし初心者の方は「え?そうなんだ!」という気付きがあったのではないでしょうか?
今回ご紹介したボラティリティーのツールをしばらく触ってみて、各通貨ペアのいろんな時間軸のボラティリティーを比較し、感覚を身に着けてください。
このツールを使って導き出せる結論は以下の通りです。
- ボラティリティーとは値動きの大きさのことである
- トレーダーはボラティリティーの奴隷である
- ヘッジファンドのトレーダーはボラティリティーを使って通貨ペアや時間軸を選択する
- 最低でも1%、できれば2~3%以上のボラティリティーがある通貨ペアの時間軸を選択するべき
- FXは思っている以上にボラティリティーが小さい
- FXだと最低でも1週間程度以上利益を伸ばす想定のトレードをすべき
- FXの理想は2~3か月保持する前提のトレードである
- 株はFXよりもずっとボラティリティーが大きいのでデイトレードもOK
FX全通貨ペアと全株銘柄の最新ボラティリティーはこのツールで見れます
以上で、FXのボラティリティーに関する解説を終わります。