現実的な聖杯を作っていくわけですが、どれぐらいの投資パフォーマンスが出たら、それを現実的な聖杯と呼ぶのか?というお話です。
「聖杯」というと、負けトレードがほとんどなく、ひたすら勝ちトレードばかりが積みあがっていく、そしてドローダウンも一切起きない、そんな投資手法を思い浮かべるのではないでしょうか?
でもそんなものは現実の世界には存在しません。
人によってゴールはいろいろあっていいと思うのですが、僕にとって現実的な聖杯とは以下のようなものです。
現実的な聖杯とは
僕が目指すのは「現実的な」聖杯です。
現実的な聖杯とは、ベンチマーク(基準)と比較して
- 平均年利が大きく上回っている
- にもかかわらず最大ドローダウンが圧倒的に小さい
そんな投資手法を現実的な聖杯と僕は呼びます。
まずはベンチマークのパフォーマンスを知ろう
まずはベンチマークがどんなものかを知るところから始めましょう。
ベンチマークとは、基準のことです。
比較対象として使われます。
一般的に、ベンチマークとしては、S&P500と米国債を6:4の比率で組み合わせたポートフォリオのパフォーマンスが使われます。
3本の右肩上がりの資産曲線が描かれたグラフを見てください。
青はS&P500(米国株)、赤は米国債、黄色はそれらを6:4の比率で組み合わせたポートフォリオ(ベンチマーク)の資産曲線です。
青のS&P500は最も大きなリターンを得られますが、その分ドローダウンが大きいのが分かります。
赤の米国債は、ドローダウンが小さい代わりに、リターンも小さくなっています。
黄色のベンチマークはそれら2つの中間になります。
1992年以降のS&P500(米国株)の平均年利は9.92%、最大ドローダウンは-50.89%でした。
米国債(US Total Bond Market)の平均年利は4.36%、最大ドローダウンは-13.25%でした。
ベンチマークの平均年利は7.96%、最大ドローダウンは-32.57%です。
このベンチマークのパフォーマンスが最も重要な基準となります。
これを上回ることを目指して世界中の投資家がしのぎを削っています。
このパフォーマンスを長期的に上回っていれば、とても優れた投資家だと見られます。
世界最強の投資家ウォーレン・バフェットの投資パフォーマンス
ちなみに、史上最強の投資家と呼ばれるウォーレン・バフェットのこれまでのパフォーマンスは以下の通りです。
平均年利:キャリアの前半は30%、最近は20%
最大ドローダウン:-46%
これが、世界最強の投資家のパフォーマンスです。
もしあなたが
「平均年利は50%ぐらいでいいかな。最大ドローダウンは-20%ぐらいは覚悟しておくよ。」
なんて考えているなら、それは現実からはかけ離れた楽観的過ぎる期待です。
僕は以下のようなパフォーマンスを長期的に実現することを目指しています。
平均年利:20%以上
最大ドローダウン-30%
20年以上の長期的な平均値としてこれぐらいを実現できることを目標としています。
最近のバフェット氏に負けないぐらいのリターンを、より小さな最大ドローダウンで実現する。
もしくは、ベンチマークの2.5倍程度の年利を、ベンチマークと同程度の最大ドローダウンで実現する。といった感じです。
この成績を長期間維持できたら、文句なしに世界最強レベルの投資家であり、それは現実的な聖杯と呼んでも良いでしょう。
地味ですか?
投資初心者の方はそう思ったかもしれません。
でもあなたが10年ぐらい投資を経験したら、そのすごさが分かると思います。
もちろん、あなたが若くて独身で資金が小さいうちは年利50%や100%以上も一時的には実現することが可能です。短期トレードに全財産を突っ込んで上手くやれば実現できる数字です。
しかし年利100%を狙うなら、その反面でマイナス100%が起きるリスクも取ってしまうことになります。
家庭で自分に求められる責任が大きくなった時、そのような大きなリターンを求めて大きなリスクを取ることはできなくなっていきます。
僕の場合、短期トレード(裁量)には全資金のごく一部だけをアサイン(振り分け)していて、その中で年利50%~100%を実現することはできますが、全財産を短期トレードにつぎ込んで年利100%以上を狙いに行くようなことはメンタル的に不可能です。
僕はもうそんな大きなリスクは取れないし、きっとあなたもそうではないでしょうか?
それなら、一見地味かもしれないけれど、リスクを抑えた現実的な聖杯の道を選びたいものです。
いずれにしても、史上最強の長期投資家ウォーレン・バフェットに近いリターンを、より小さな最大ドローダウンで実現しようというのですから、それは完全に現実的な聖杯です。
では、どうやって「現実的な聖杯」を実現していくのでしょうか?
ちょっと長くなってしまったので、また次回。