「ピンバーで勝てない!」と思っていませんか?ピンバーは、その本質を理解していないと上手に使えません。FXのトレードで上手にピンバーを使うコツや注意点を専業トレーダーのサンチャゴが初心者にも分かりやすく解説します。
あなたはこんな解説をどこかで読んだことがあると思います。
ピンバーを探してくれるインジケーターをチャートにセット。ピンバーが出たらエントリー。ピンバーの先っぽにロスカット注文。レワードリスク比3:1の位置に利食い注文を置けば勝てる!ピンバーを探せるインジケーターを販売中!これであなたも自信をもってトレードできます!みたいな記事。
それをやってみたけど、全然勝てない!
そんなあなたのための記事です。
もくじ
ピンバーとは
ピンバーとは、1本のローソク足で完結するプライスアクションのパターンです。
こういうローソク足です。これは売りのピンバー。ヒゲが上に突き出ているローソク足です。
逆に買いのピンバーもあります。ひげが下に突き出ているローソク足です。
ピンバーのローソク足が意味するのは、ヒゲの部分の価格帯における拒絶です。
この価格帯は嫌だ!となって、反転したことを意味しています。
もしくは、「途中までは調子に乗って上がっていた(下がっていた)けど、行ってこいで反転してしまった」ことを意味しています。
ピンバーのヒゲと実体の比率とか細かいルールを以前気にしていたこともありますが、今はほとんど気にしていません。パターンを暗記するのは意味がありません。
それよりも、ピンバーが何を意味しているのか?を知ることが重要です。
例えば買いのピンバーなら、ローソク足のオープンから売り手が圧倒してしばらく下げたこと。でもある時点で買い手がやってきて、「ハイそこまで!これ以上は下げさせませんよ!」となったこと。そして価格を始値の辺りまで押し上げ、下げた分を帳消しにしてしまったことが分かります。
少なくともしばらくの間は、この買いのピンバーの安値より下へは下がりにくいのではないか?ということが言えます。
売りのピンバーの場合は真逆です。
ローソク足のオープンからしばらくは買い手が圧倒してしばらく上げます。ある時点でいきなり売り手がやってきて、「おい、そこまでにしろ!これ以上は上げさせないぜ!」という感じで叩き落します。価格を押し下げ、始値の辺りまで下げて終値を付けます。
売りのピンバーがでたということは、すくなくともしばらくの間はその高値を抜けることが難しいのではないか?ということを示唆します。
ピンバーの細かいルールを覚えようとするより、このピンバーの意味を理解しておくことが重要です。
ピンバーのエントリータイミングとロスカット注文の位置
ピンバーのエントリータイミングとロスカット注文を置く位置について解説します。
図の右側の買いのピンバーから解説します。
買いのピンバーが出た後、その高値を抜けたら成行で買いエントリーします。そしてすかさずピンバーの安値の少し下にロスカット注文を入れます。どれぐらい下か?は時間軸によって異なります。スキャルピングやデイトレードならヒゲの1pips下に入れるのが一般的だと思います。
次に図の左側、売りのピンバーについて解説します。
売りのピンバーが出た後、その安値を下回ったら成り行きで売りエントリーします。そこに逆指値を仕掛けておいてもいいですね。ロスカットは、売りのピンバーの少し上に入れます。
ピンバーの高値や安値のブレークアウトでエントリーするのが一般的ですが、アグレッシブな方法としては、ブレークアウトを待たず、ピンバーの完成ですぐに次の足の始値でエントリーする方法もあります。僕は結構このアグレッシブな方法を使うことが多いです。
僕は売買シグナルとしてのピンバーの発生を待つ以前の段階で、プライスアクションの読解やレジサポの分析を徹底的にやるので、売買シグナル自体の条件はわりと緩めにしてアグレッシブにエントリーすることが多いです。
以上が、ピンバーを売買シグナルとして使う場合のエントリータイミングとロスカット注文を入れる位置となります。
ピンバーで勝てない場合に気を付けたいこと ピンバーのスキル応用編
ピンバーの意味は理解していただけたと思います。上記の内容を理解したとしても、何も考えずにピンバー検出インジケーターなどを使ってトレードしまくったとしたら、トータルで負けてしまうと思います。トレードというのはそう甘くはないです。
ここからは、ピンバーのノウハウの応用編です。
ピンバーを使って勝つために意識したいポイントがいくつかあります。
- トレンドに逆らう方向にエントリーしてしまっているのでエントリー直後に厚い壁に当たってしまう
- ピンバーの本質(V字反転)を見失い、絶好の売買シグナルを見逃していませんか?(複数時間足を監視する方法)
- 1つめのピンバーがロスカットになっただけであきらめてませんか?(分割エントリーが必要)
では、一つ一つ解説していきます。
トレンドに逆らっているのでエントリー直後に分厚い壁に当たってしまう場合が多い
ピンバーは逆張りの売買シグナルとして使うことが多いと思います。
エントリーのタイミングは、買いであれば、ピンバーの高値を抜けたところでエントリーとなります。
このエントリーポイントを下位足でみると、ちょうどレジスタンスラインとなる水平線や、トレンドラインに当たってしまう場合が多いです。
例を見てみましょう。
例えば、4時間足をメインでトレードしていて、ダウントレンドの途中で買いのピンバーが出たので、逆張りで買いを狙うことにしたとします。
ピンバーの買いのポイントはピンバーの高値を上に抜けた位置です。その部分を下位足の30分足で見てみましょう。
赤枠の部分が上位足のピンバーの部分。紫のラインを上に抜けたら買いエントリーということになります。
しかしよく見ると、30分足ではエントリーポイントのすぐ上に強力なレジスタンスエリアが待ち構えているのが分かります。(レジサポエリアの引き方についてはこちらの記事を読んでください)
また、下降トレンドラインもすぐ上から売り圧力をかけています。
この買いポジションに利益が乗るためには、強力なレジスタンスエリアと下降トレンドラインからの売り圧力を克服して上げていく必要があるといことが分かります。
ですから、この買いエントリーを正当化するには、この売り圧力を克服するだけの強力な買い圧力があるという根拠が必要になります。
例えば買い圧力の根拠としては、
- このすぐ下にもっと強力なサポートエリアがある
- 買いのピンバーのヒゲの部分で巨大な大口約定が出てそれに支えられて押し上げられてきた
- ファンダメンタルズ分析やセンチメント分析で買う理由がある
そういった特別な理由が無い限りは、このような純粋な逆張りエントリーにおいて、ピンバーだけの理由でエントリーするべきではありません。
メインチャートのトレンドや、上位足のトレンドに逆張りする場合は、「ピンバーが出た」というだけでは根拠が十分ではないということです。
ピンバーの本質(V字反転)を見失い絶好の売買シグナルを見逃していませんか?(複数時間足を監視する方法)
ピンバーやエングルフィンバー(含み線)の本質は、「急激なV字(売りの場合は逆V字)の反転パターンである」ということです。
V字反転は、ピンバーやエングルフィンバーとしてチャート上に現れることもありますし、そうでない場合もあります。
当然、チャートの時間足やタイミングによって、V字の反転が起きているにもかかわらず、ピンバーにもエングルフィンバーにもならない場合というのがあります。
もしプライスアクションの読解や、レジサポエリアの読解により、そこでエントリーする意味が十分にあると考えるなら、ピンバーや含み線が発生しなかったという理由だけでトレードを見送るべきなのでしょうか?
もちろんそんなことありません。たまたまその時間足ではピンバーにはならなかっただけで、V字反転のパターンになっているのなら、エントリーすべきです。
この問題はどうやって解決すればよいでしょうか。
チャートを注意深く観察して、それがV字反転になっていることを裁量で判断すればよい。と言ってしまえばそれで終わりなのですが、それじゃあまりにも芸が無いですよね。
それに、EAやインジケーターを使って判断したいと思っているなら、そういった裁量の「あいまいなルール」は通用しません。
僕が最近いつも実践している、良い考えがあります。
複数の時間足チャートを同時に監視し、他の時間足の同じ位置でピンバーや含み線が出ていないかを監視する方法です。
例えば15分足をメインで監視しているなら、少し上の時間足である30分足や1時間足も同時に監視するのです。
例を挙げて解説します。
これは金(XAUUSD)の15分足です。
薄い青で塗りつぶされている部分は、上位足のレジサポ分析やトレンド分析により、このあたりで買いを狙いたいという価格帯になります。
ですのでこのあたりでピンバーか含み線の買いシグナルが出るのを待っています。
直前のレンジの安値を下に抜けた後、V字で戻っている部分があります。本来なら、ここで買いたいところです。
しかしこのローソク足はピンバーの厳密なルール(下ヒゲが実体の2倍や3倍になっている)といったルールは満たしていないので、ピンバーとしては認定されません。また含み線でもありません。
ですから、厳密にピンバーと含み線の売買シグナルのルールに従うのであれば、ここで買いエントリーができません。
モニターにずっと張り付いてチャートを見ていて、裁量で判断するのであれば、ここで買うことができるかもしれません。
しかしEAにエントリーを任せたり、インジケーターのアラートを見て手動でエントリーするような場合だと見逃してしまいます。
僕は以下のようにしています。
このとき、同時に30分足のピンバーも監視していたらどうだったでしょうか。これは同じくXAUUSDの同じ位置での30分足です。
完璧なピンバーになっているのがわかります。30分足でピンバーを監視していたら、ここで買いエントリーすることができています。
もう1段上の1時間足はどうでしょうか。
1時間足でも完璧なピンバーになっています。
このように、15分足ではギリギリピンバーが成立していなくても、少し上の時間足である30分足や1時間足を見ると完璧なピンバーになっていることが多々あります。
このような場合は、30分足や1時間足を使って買いエントリーをすべきです。
- ファンダメンタルズやセンチメントの理由で金を買いたい
- そこが重要なサポートエリア(買いエリア)である
- V字反転が起きている
このような理由があるなら、複数の時間足で同時にピンバーやエングルフィンバー(含み線)を監視してエントリーを狙っていきましょう。
ここであなたは、「複数の時間足で同時に売買シグナルを監視したら、時間足ごとに連続して売買シグナルが出るのでは?」と思ったのではないでしょうか。
実はそれは最高の状況です。複数の時間軸のトレーダー達が連続して反転シグナルを見るわけですから、その反転が成功する可能性が高まります。
ですから、僕は最初から3分割や5分割でエントリーする前提で監視を始めます。そして30分足のシグナルで1ポジ目をエントリー。続いて1時間足で2ポジ目をエントリー。といった感じで分割してエントリーしていきます。
複数時間軸の監視や分割エントリーは非常に面倒くさいので、僕は自社開発したプライスアクションEAを使っています。
分割してエントリーするという話題は、次の項目でもっと詳しく解説します。
最初のピンバーがロスカットになっただけであきらめてませんか?(分割エントリーが有効です)
レジスタンスラインに引き付け、売りのピンバーが出たのでショート。1pips上にロスカット注文を置く。残念ながらそのショートポジションはロスカットになってしまう。そんな状況は結構多いですよね。
そうなると、「ピンバーなんて全然だめじゃん!」と言って諦めてしまう人が多いと思います。
良い感じの価格で2つのピンバーが出ているのが分かります。
1回目のピンバーでショートし、ロスカットをその1ピップス上に置いていたらロスカットになりますね。
1個めのピンバーがロスカットになる部分が2個めのピンバーになっています。
最終的には下がっているので、1回目のピンバーのロスカットであきらめてしまった人はかなり悔しい思いをしたと思います。
僕はこのような「一発エントリーで運次第」みたいなトレードは、特に逆張りの場合はほんどやりません。
もっと丁寧に、分割でエントリーしていきます。
ピンバーや含み線などのV字反転型の逆張り売買シグナルは、同じレジサポエリアでの2個め、3個めの売買シグナルのほうが優位性が高くなります。
僕ならどうするかというと….
この画像の場合、ピンクの塗りつぶしのエリアがレジスタンスエリアで、このあたりでショート(空売り)することを決めています。
まず最初にこのレジスタンスエリアでのショートトレードにおいて10万円のリスクを取ること。そして、ピンバーや含み線の売りシグナルが出るたびに、5分割でエントリーするといったことを決めます。
「いくらのリスクを取るか」
「何分割でエントリーするか」
をまず最初に決めるのです。
そしてロスカットにはある程度余裕を持ちます。完全な逆張りなので、このチャートのようにしばらくもみ合ってから下げることが多いですからね。
これは先ほどのチャートと同じ部分ですが、僕が取引専用に使っているMT4で表示したEURUSDの15分足です。ユーロドルのショートで僕が今年一番大きく稼げたトレードになります。
下向きの矢印がいくつか並んでいるのが分かります。これは僕のプライスアクションEAでエントリーした位置です。ピンバーや含み線の売りシグナルが出た位置です。
15分足では2つのピンバーを拾っていますが、それ以外の位置にも矢印が出ているのが分かると思います。
これは、30分足、1時間足、4時間足のデータも同時に監視してキャッチした売りのピンバーと含み線のシグナルになります。
先に出た売りシグナルから順番にエントリーしていきます。5分割の設定なら、5つの売りポジションで合計10万円のリスクを取った時点でエントリーを完了します。
同じ位置における他の時間軸のチャートも見てみましょう。
まずは30分足。30分足ではピンバーは出ていませんが、巨大な含み線(エングルフィンバー)が出ていますので、ここで売りエントリーとなります。
次に1時間足も見てみましょう。
1時間足でも含み線が出ています。ここもエントリーの対象となります。
こうやって複数の時間軸で出るピンバーや含み線の売りシグナルを、通算で5分割で合計5つキャッチしてショートエントリーをしていきます。
また、エントリーするたびにリスクレワード比1:1、もしくは一番近い位置にあるレジサポでポジションの半分を利食いします。そうすることで、リスクを減らしながらポジションを少しずつ大きくしていき、最終的に出た強い下落で大きな利益を上げることができます。
EURUSDを15分足でショート。
①のピンバーでショート
②のサポートエリアで半分を速攻利食い半分利食いできてるので、ロスカットを高値のちょっと上に入れて放置。 pic.twitter.com/TsnAa6ncyi
— サンチャゴ@システムトレードと投資で自由に生きる (@TraderSantiago) March 9, 2020
ちなみに、この下落の中でもたくさんプライスアクションの売りシグナルが出たので、その都度ショートポジションを乗せていくことができました。
EURUSDショート乗せました。
本当は頭上のレジスタンスエリアでショートしたかったんですが…
2度の緊急利下げで大きな出来高ができたポイントで押さえられ、5分足で弱ってきたので売りました。
乗せた分の半分は間もなく利食い….できました。もし上がってしまったら残り半分はロスカット。 pic.twitter.com/bWE68u1OpL
— サンチャゴ@システムトレードと投資で自由に生きる (@TraderSantiago) March 17, 2020
このような丁寧なトレードをすることで、一か八かで大きなリスクを負うことなく、少しずつポジションを乗せながら、上手くいけば最終的に大きな利益を得る可能性を上げることができます。
僕は常にチャートに張り付いてみているのが嫌なので、売買シグナルの監視とエントリーにはEAを使っています。
しかし必ずしもEAは必要ありません。複数の時間足チャートで売買シグナルを監視し、シグナルが出たら、とるべきリスク金額からロット数を計算して分割エントリーしていくということを手動でやればよいだけです。
ピンバーで勝つための戦術 まとめ
- ピンバーはV字反転の売買シグナルである
- ピンバーはヒゲの部分での拒絶を意味する
- ピンバーは売買シグナルとして優秀だか、バカの一つ覚え的にエントリーしても勝てない
- 純粋な逆張りをする場合、ピンバーのエントリーポイントは壁にぶち当たることが多い
- 純粋な逆張りでピンバーを使ってエントリーをする場合は他の十分な根拠が必要
- エントリーすることを決めてピンバーを待つ場合は複数の時間軸を監視してチャンスを逃さないようにすべき
- 1個めのピンバーがロスカットになってもあきらめてはいけない
- 複数のピンバーや含み線が出る前提で分割エントリーをするのが有効
- ピンバーの分割エントリー+一部利食いを繰り返すことでポジションを乗せていくことで、リスクを減らしながらとんでもない利益を上げるチャンスが開ける
以上で、ピンバーの解説を終わります。