コロナウィルスの影響により世界中で株価暴落が起きました。「10年株やってるけど、こんなの見たことない!」「すごい相場で良い経験になった!」といった声が聞こえますが、まだ始まったばかりですよというお話。通常、株価の暴落はセリングクライマックスと呼ばれる投資家の投げ売りで終わります。今の状況、セリングクライマックスはまだ始まってもいないと思うのです。その根拠は?
コロナウィルス株暴落のセリングクライマックスは始まってもいない?
日本株に投資している大多数の長期投資かにとって、今回の暴落(3月11日時点)での安値は含み損になるほどのものではなかったと思われます。
株のセリングクライマックスにおける投げ売りが起きるのは、持っている株の含み損が絶えらえないほどに膨らんだ時です。今回の株価暴落でそのような投げ売りは本格的に起きたのでしょうか?
多くの人がどれぐらいの取得平均値で株を持っているのか、そして今回の暴落の安値で何パーセント程度の含み損を抱えたのか?を調べると、今回投げ売りが起きたのか?をある程度予測できると考えます。
税金の優遇が受けられるNISAが始まったのが2014年ですので、そのころから株式投資を始めた人が多いと思います。アベノミクスの雰囲気もあり、多くの人がそのころに株の積み立て投資を始めたのではないでしょうか。
ということは、2014年1月から、毎月末に同じ金額だけ日経平均連動型のETFを購入するドルコスト平均法で投資していた場合の平均取得コストを計算しました。
2014年1月から2020年3月まで2019年3月時点での平均取得単価は19070円程度になります。
今回の株価暴落での、今のところの安値は18891円でしたので、安値の時点での最大含み損はマイナス0.1%程度でした。
今回の暴落では、2014年以降にドルコスト平均法で積み立てていた人の、ほぼ平均取得単価ぴったりで株が反発してくれたことになります。
この計算の結果から判断すると、投資家の大部分は投げ売りするほどのストレスは感じていなかったと思われます。今回投げ売りしたのは高値圏で買い始めてしまった投資家や、ロスカットが遅れた短期トレーダーだと思われます。
ただ、この平均取得コストのラインを下回って下落が続くなら、多数の投資家から投げ売りが出てきて、セリングクライマックスの下落につながると思います。
そうなると、このチャート画像で赤の枠で囲ったサポートエリアの16000円ぐらいまでは最低でも下げそうに見えます。
米国株投の投資家も含み損にはなっていなかった?
同じ調査を米国株(ニューヨークダウ平均株価)でもやってみました。
2014年1月から、毎月一定金額でニューヨークダウ平均株価に連動するETFなどを買い続けていた場合、2020年2月時点での平均取得単価は20419ドルとなります。
今回の暴落の安値(2020年3月11日現在)は23690ドルですので、まだまだ含み益が16%ほどある状態です。含み益が急激に減ってきているので痛いでしょうが、投げ売りするような状況ではありません。日経平均と比較して随分とまだまだ余裕があります。
米国株も、投げ売りを下のは高値圏で買い始めた投資家と、ロスカットが遅れた短期トレーダーのみだったと思われます。
米国株は、まだまだ今の段階では上昇トレンドの中の強い押し目という感じで、長期投資家は含み損になる損益分岐点までまだまだ値幅に余裕があります。
米国株で長期投資家による大規模な投げ売りが出てセリングクライマックスになるのは、まだもっと下げてからだと思われます。
コロナウィルスの暴落は終わっていない 結論
今回の調査結果から、コロナウィルスによる世界中の株価暴落において、大多数の長期投資家が投げ売りするセリングクライマックスは、2020年3月11日現在まだ起きていないと思われます。
コロナウィルスの問題がまだ長引くのであれば、この暴落はまだまだ終わってない。むしろ始まったばかりと言えそうです。
セリングクライマックスの動きが出るまでは、株式への長期投資で長期投資用の資金を全額投資するのはもう少し待った方が良さそうです。