移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスのトレード手法が勝てるか?FX/株/先物35年のデータを使ったバックテストで明らかにしました。この記事を読めば、移動平均線のクロス手法で成功するために必要な手法への自信とベストな移動平均線ゴールデンクロスの設定が手に入ります。
記事の後半では35年のデータを使ったバックテストの結果を全て公開しますので最後まで読んでください。
もくじ
移動平均線ゴールデンクロスとは?過去35年のデータから見るその重要性
移動平均線ゴールデンクロスは、投資の世界で非常に重要なサインの一つです。なぜなら、このサインが投資家にトレンドの変化を知らせ、取引のタイミングを示すからです。過去35年のデータを分析することで、ゴールデンクロスが発生した際の相場の動きを理解し、その有効性を確認することができます。
移動平均線とは、特定の期間にわたる価格の平均値を結んだ線のことです。この平均値が計算される期間には短期と長期があり、その二つの平均線が交差する点を「クロス」と呼びます。特に、短期の平均線が長期の平均線を下から上に抜ける交差点をゴールデンクロスと言います。このゴールデンクロスが発生すると、多くの投資家はそれを価格が上昇する可能性のある強いサインと解釈します。
過去のチャートを分析すると、ゴールデンクロスが発生した後に株価やFXの価格が上昇するケースが多く見られます。これは、多くの投資家がゴールデンクロスをトレンド転換のサインと捉え、買い注文を出すためです。しかし、このサインが常に利益をもたらすわけではなく、ダマシ、つまり誤ったサインに惑わされないよう注意が必要です。
ゴールデンクロスが投資の判断材料の一つとしてどのように活用されているかを理解するためには、その背景にある分析や考え方を知ることが重要です。また、過去のデータを基にしたバックテストにより、ゴールデンクロスのサインがどの程度信頼できるのか、実際にどのような場面で利用されてきたのかを確認することができます。このような分析は、新たな投資戦略を立てる際や、既存の戦略を見直す際に役立ちます。
移動平均線ゴールデンクロスについての理解を深めることは、投資における重要な一歩です。過去35年のデータを通じてその重要性を見ることで、これからの投資戦略に活かすことができます。
移動平均線の歴史的背景
移動平均線は1900年代の初頭に数学者ジェフ・ミラーによって開発されました。移動平均線は最初から株価を予測するために開発されたわけではありませんでした。最初、移動平均線は米海軍の火器管制情報の追跡システムや在庫管理におる予備部品の需要予測に使われていました。
移動平均線が株式投資やトレードに使われ始めたのは1960年代になってからだと言われています。その後、移動平均線は様々なテクニカル指標の基礎となり進化してきました。ボリンジャーバンドやMACDなどのメジャーなテクニカル指標も移動平均線をベースとしてそこから派生したものです。
過去35年間のデータを使ったバックテストの結果からも分かりますが、移動平均線のクロスを使った売買システムは現在でも優秀な結果を出しており、多くのファンドや個人トレーダーが移動平均線を使った売買システムを使って資金を運用しています。
短期間と長期間の移動平均線ゴールデンクロスとは
移動平均線は、特定期間の価格データの平均値をつなぎ合わせて作られる線です。これにより、日々の価格変動を滑らかにし、市場の全体的なトレンドを把握しやすくします。移動平均線には短期間と長期間があり、これらの平均線が交差する現象を「移動平均線のクロス」と呼び、ゴールデンクロスとデッドクロスがあります。
ゴールデンクロスは、短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を下から上へと突き抜けることを指します。この現象は、市場が上昇トレンドに転換する可能性のある強いサインと見なされます。一方、短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を上から下へと交差する場合は、「デッドクロス」と呼ばれ、下降トレンドの始まりを示唆します。
短期間の移動平均線は、通常5日から20日程度の期間で計算されることが多く、市場の最近の動きを捉えます。長期間の移動平均線は、50日、100日、200日などが採用されることが多く、より長い期間で計算され、市場の広範なトレンドを示します。
利点としては、短期と長期の移動平均線のゴールデンクロスは、トレンドの転換点を捉えやすいことが挙げられます。これにより、投資家は相場のトレンド変化に対応した取引戦略を立てることが可能になります。
一方で、注意点としては、ゴールデンクロスやデッドクロスは遅行指標であるため、実際のトレンド転換点よりもずっと後にサインが現れることになります。また、トレンドのない横ばい市場では、誤ったサインを生じやすいため、他の指標と組み合わせて使用することが推奨されます。
市場のタイミングツールやフィルターツールとして、移動平均線とゴールデンクロスは非常に有効ですが、これらを使った投資判断には慎重さが求められます。経験、知識、そして他の分析ツールと併用することで、より確実な投資判断を下すことができるようになります。
ゴールデンクロスのメリット・デメリット
ゴールデンクロスは、多くのトレーダーにとって重要なサインとされていますが、それにはメリットとデメリットが存在します。ここでは、過去35年のバックテスト結果を基に、それらのメリットとデメリットを探っていきましょう。
メリット:
明確なトレンドのサイン: ゴールデンクロスは、短期移動平均線が長期移動平均線を上回ることで発生します。これは、相場が上昇トレンドに入る可能性が高いという明確なサインとなります。過去のデータを分析すると、ゴールデンクロスやデッドクロスをタイミングツールとして使ってトレードした場合に長期的には大きな利益が得られることが分かっています。
長期的な投資戦略に有用: 長期間のデータを基にしたバックテスト結果から、ゴールデンクロスは長期的な投資戦略に特に有効であることが示されています。市場の大きな転換点を捉えるのに役立ちます。
デメリット:
遅行性: ゴールデンクロスは、過去の価格データに基づいて計算されるため、サインが出る時点で既にトレンドがかなり進んでいるというのがあります。この遅行性のため、エントリーがかなり遅れるというリスクがあります。
ダマシ: 特に短期間での相場の変動が激しい場合、ゴールデンクロスが発生してもすぐに価格が反転する「ダマシ」が発生することがあります。これは投資家にとってリスクとなります。
- 勝率が低い:過去35年間のデータを使ったバックテストから、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスの勝率は設定にもよりますが25%~45%程度だということが分かりました。
バックテストの結果:
過去35年のデータに基づくバックテストでは、ゴールデンクロスが発生したタイミングで買ってデッドクロスが発生しタイミングで売ると、長期的には大きく儲かる傾向にあることが確認されています。(このページの後半で結果を公開します。)
バックテストしたすべての市場で、すべての設定の組み合わせで利益になりましたが、その成績には設定により差があるので徹底的なバックテストをすることが求められます。
ゴールデンクロスは、トレードや投資の重要な判断材料の一つとなりますが、使用にはリスクが伴います。適切なリスク管理が成功への鍵となります。過去のバックテスト結果を参考にしながらも、現在の市場環境を踏まえた戦略を立てることが重要です。
トレンド判定における移動平均線ゴールデンクロスの役割
移動平均線ゴールデンクロスは、トレーダーと投資家が市場のトレンドを判断する上で非常に重要な役割を果たします。この現象は、短期間の移動平均線が長期間の移動平均線を上方向に突き抜けるときに発生し、市場が上昇トレンドに転じる可能性のある強いサインと見なされます。
なぜゴールデンクロスは重要なのか?
トレンドの転換点を示唆する: ゴールデンクロスは、市場のセンチメントが変わり、上昇トレンドが始まる可能性を示します。トレーダーはこのサインを利用して、取引のエントリーポイントを見極めることができます。
自信をもって取引を行う: ゴールデンクロスが発生すると、多くのトレーダーはそのトレンドが持続するという自信を持って取引を行います。この信頼性の高いサインは、市場参加者にとって心理的な安心感を提供します。
分析の一部として活用: 移動平均線ゴールデンクロスは、他のテクニカル分析ツールと組み合わせて使用されることが多く、市場分析の一部として非常に有効です。
ゴールデンクロスの活用方法:
エントリーポイントの決定: ゴールデンクロスが発生した後、価格がさらに上昇することを期待して買いポジションを取ることが一般的です。特に、ゴールデンクロスが大きなトレンドの転換点で発生した場合、長期的な利益を期待できる可能性があります。
リスク管理: ゴールデンクロスを利用する際は、常にリスク管理を念頭に置くことが重要です。市場が期待通りに動かない場合に備え、ストップロスを設定するなどの対策が必要です。
ゴールデンクロスは、市場のトレンドを理解し、投資戦略を立てる上で非常に役立つ指標です。しかし、どのテクニカル指標も完璧ではないため、ゴールデンクロスのサインを他の分析ツールやファンダメンタルズ分析と組み合わせて使用することが、より確かな投資判断につながるでしょう。
エントリーとエグジット:移動平均線ゴールデンクロスを使った実例
移動平均線ゴールデンクロスは、投資家やトレーダーが取引のエントリーポイントとエグジットポイントを決定する際に有用なツールです。ここでは、ゴールデンクロスを活用した取引戦略の実例を紹介します。
エントリーポイントの決定:
短期移動平均線が長期移動平均線を上方向に突き抜けるゴールデンクロスが発生したとき、多くのトレーダーはこれを強い買いサインと解釈します。たとえば、10日間の移動平均線が90日間の移動平均線を上回った場合、市場は上昇トレンドにあると見なされ、買いポジションを開く好機とされます。
実例:
FX市場で、USD/JPYのペアに注目しているトレーダーがいます。10日間の移動平均線が90日間の移動平均線を上回るゴールデンクロスが確認された後、トレーダーはこのサインをもとに買いポジションを開きます。その後、価格が上昇し続けたため、この戦略により利益を得ることができました。
エグジットポイントの決定:
ゴールデンクロスが発生した後、価格が順調に上昇している場合でも、市場は常に変動します。したがって、適切なエグジット戦略を持つことが重要です。多くの場合、デッドクロス、つまり短期移動平均線が長期移動平均線を下方向に突き抜ける現象がエグジットのサインとなります。
実例:
今度はAUD/USDのペアを取引しているトレーダーが、デッドクロスから数週間後にゴールデンクロスが発生するのを目撃します。このサインを受けて、トレーダーは売りポジションを閉じ、取引から利益を確保します。
移動平均線ゴールデンクロスやデッドクロスは、エントリーとエグジットのタイミングを見極める際に強力なツールとなり得ます。しかし、市場は予測不可能な要素が多いため、リスク管理の観点からストップロスの設定や資金管理の原則を遵守することが不可欠です。また、ゴールデンクロスのサインを他のテクニカル分析やファンダメンタルズ分析と組み合わせることで、より確実な取引戦略を立てることができるかもしれません。
ダマシを避けるための移動平均線ゴールデンクロスの見極め方
移動平均線ゴールデンクロスは多くのトレーダーにとって強力なサインですが、時には「ダマシ」と呼ばれる誤ったサインによって損失を被ることもあります。このダマシを避けるために、移動平均線ゴールデンクロスを正しく見極める方法を理解することが重要です。
ダマシの理解
ダマシは、実際には持続しないトレンドの変化を示すサインです。たとえば、ゴールデンクロスが発生した後に価格が上昇する代わりに下落し始める場合、これはダマシと考えられます。これは、市場のノイズや一時的な価格の変動によって発生することが多いです。
見極め方
ボリュームの確認: ゴールデンクロスが発生した際、取引量の増加を確認することが重要です。取引量が増加することは、そのトレンド変化が市場参加者に支持されている証拠となります。反対に、取引量が低いままであれば、そのゴールデンクロスは信頼性が低い可能性があります。
市場全体の分析を組み合わせる: 単一銘柄のゴールデンクロスのサインのみに依存せず、市場の多くの銘柄で同じ方向のシグナルが出ているかを分析することにより、もっと確実性の高い判断が可能です。例えば株式市場においてたくさんの銘柄で同じ方向のシグナルが出ている場合、ダマシのリスクは低くなります。
トレンドラインとサポートラインの確認: 価格がゴールデンクロスを示す移動平均線上にある場合、または強いサポートライン上にある場合、そのゴールデンクロスはより信頼性があると見なすことができます。また、ゴールデンクロスが起きた際に主要なトレンドラインや水平ラインを抜けているかも重要なポイントとなります。
複数時間枠の使用: 短期間のチャートでゴールデンクロスを確認する場合、長期間のチャートでも同様のトレンドが確認できるかをチェックしてください。長期間と短期間の両方で同じトレンドが見られる場合、そのゴールデンクロスの信頼性は高まります。
移動平均線ゴールデンクロスやデッドクロスは、適切に使用することで価格のトレンド変化を捉える強力なツールとなります。移動平均線のクロス手法においてはダマシに引っかかることが多くなりますが、適切な資金管理/リスク管理により損失を許容範囲内に抑えることができれば長期的には利益を上げることができます。勝つときに大きく勝つことができるからです。
もしあなたがとてつもなく賢いトレーダーなら、他の指標と組み合わせて使うことにより、ダマシをいくらかは避けることができるかもしれません。しかし何をどうやろうとも、ダマシを完全に排除することはできないことも覚えておきましょう。
先物市場でゴールデンクロスは勝てるのか?35年のデータでバックテスト
先物市場におけるゴールデンクロスの効果を検証するため、過去35年間のデータを基にしたバックテストを行いました。この分析は、ゴールデンクロスやデッドクロスの売買シグナルが実際に先物取引で利益をもたらすかどうかを明らかにすることを目的としています。また、複数のパラメータ設定を試すことでどのような移動平均線の設定を行うと利益が最大化するのかも明らかにしました。
対象銘柄は米国で上場されている24種類の先物銘柄です。すべてのセクターから売買代金の多いものを選択しました。
売買ルールは以下の通りです。
- 短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に抜けて引けたら次の日の始値で買いエントリー(売りポジションを持っていたら手仕舞いする)
- 短期移動平均線が長期移動平均線を上から下に抜けて引けたら次の日の始値で売りエントリー(買いポジションを持っていたら手仕舞いする)
ドテン売買を繰り返し常に売り買いどちらかのポジションを持ちます。
移動平均線の設定は以下のような組み合わせを全てテストしました。
短期の移動平均線:10~70 10刻み
長期の移動平均線:80~300 10刻み
それぞれの移動平均線の設定の組み合わせが利益を上げたのかをざっと見てみましょう。
横軸が移動平均線の設定の組み合わせ。(MAS:短期線の設定/MAL:長期線の設定)
縦軸が平均年利を最大ドローダウンで割った数値です。(リスク調整後リターンの指標)
全ての設定の組み合わせで利益になっています。
移動平均線のクロス手法はとても堅牢であると言えそうです。
どれを選択しても良さそうですが、ベストな設定としては、
長期移動平均線:260本 / 短期移動平均線:10本
の組み合わせのようです。
その組み合わせでの資産曲線とスタッツを見ておきましょう。
ドローダウンがあるけれど右肩上がりな、非常に堅牢な資産曲線です。
日足を使った長期的なトレンドフォロー手法なので長期間のドローダウンは起きていますが、長期的にみると比較的滑らかな右肩上がりの資産曲線だと言えます。
しかし、勝率はとても低く、26.95%しかありません。
勝ちトレード:負トレードの比率は3.6倍なので、普段は負けが多いけれど勝つときに大きく取る手法です。
設定によって勝率は大きく変わります。移動平均線の設定の組み合わせごとの勝率を現したグラフも見ておきましょう。
短期線の設定(MAS)と長期線の設定値の差が大きいほど勝率が低く、小さいほど勝率が上がっています。
一番勝率が良い組み合わせは短期線70と長期線80の組み合わせで、45%でした。
過去35年の長期間のデータを使ったバックテストの結果を見ると、先物市場で移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスの売買シグナルが勝てることが分かりました。
FX市場でゴールデンクロスは勝てるのか?30年のデータでバックテスト
【お詫び】FXのバックテスト結果を2024年3月26日に修正しました。データベンダーからインポートした銘柄リストに偏りがあったため、バックテストの結果にも偏りが生じていました。現在は適切な銘柄リストに基づいたバックテスト結果に修正されております。
FXの全通貨ペアでもバックテストをしてみました。売買ルールは全く同じです。
対象銘柄にはトルコリラなどのエキゾチックな通貨ペアもすべて含まれます。
移動平均線の様々な設定の組み合わせで勝てるかをざっと見てみましょう。
すばらしい!
FX市場でも移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスの手法は、全ての設定の組み合わせで勝てています。
FX市場におけるベストな設定は、
短期移動平均線20/長期移動平均線80
といったところです。(どれを選んでも勝てていますが)
この設定で過去30年間ひたすら売買した場合の資産曲線はこちらです。
買いでは勝てていて、売りでは負けています。
トータルで勝てていますが、近年のパフォーマンスは良くないようです。
FX市場では、ゴールデンクロスは勝てるが、デッドクロスは勝てていないことが分かります。
メジャー通貨の組み合わせペアのみを使った移動平均線クロスのドテン売買は機能しにくいことが以前の調査で分かっています。(今回はエキゾチックペアも含めたほぼすべての通貨ペアでバックテストしました)
FX市場における移動平均線クロスのドテン売買を実践に移すとしたら、さらなる研究が必要だと感じました。
FXメジャー通貨ペアのみでゴールデンクロスは勝てるか?30年のデータでバックテスト(2024年3月26日に追記)
前のセクションではFXの全通貨ペアでのバックテストをしました。
ではFXのメジャー通貨ペアのみではどうでしょうか?(EUR、GBP、USD、JPY、AUD、NZD、CHF、CAD)の組み合わせのみ)
移動平均線の様々な設定の組み合わせで勝てるかをざっと見てみましょう。
対称をメジャー通貨ペアに限定すると、勝てる設定がかなり限定されるようです。半分以上の設定の組み合わせで負けています。
以前行った研究でもメジャー通貨ペアにおけるクロス手法は勝てないという結果が出ていましたが、その時はこのあたりの負ける設定を選択していました。
全通貨ペアの時は全ての設定の組み合わせでプラスになっていたので、その差は興味深いです。
メジャー通貨ペアを対象とした場合の一番良い設定は短期線が60日、長期線が300日の設定です。
勝てているので優位性はありますが、安定感はありません。
最大ドローダウンが-26.65%で平均年利が1.41%しかありませんので、あまり魅力的ではありません。
FXメジャー通貨ペアのみを対象とした場合、移動平均線のクロス手法はあまりうまく機能しないようです。
株式市場(S&P500)でゴールデンクロスは勝てるのか?35年のデータでバックテスト
次に株式市場でのバックテストの結果も見ておきましょう。
対称銘柄としてはS&P500採用銘柄のサバイバーシップバイアスを排除したデータを使ってバックテストしました。
売買ルールはこれまでと全く同じ移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスのドテン売買です。
設定の組み合わせによるリスク調整後リターンの比較から見てみましょう。
株式市場でも移動平均線の全ての設定の組み合わせで利益になりました。
移動平均の設定の組み合わせとしては、
短期移動平均線20/長期移動平均線220
辺りがよさそうです。
緑がロング、赤がショート、グレーが合計です。
ボリンジャーバンドのブレイクアウト手法の時と同じですが、株のトレンドフォロー手法でショートは負けます。今回の移動平均線のクロス手法も例外ではありませんでした。
しかしロングのパフォーマンスがとても良いのでショートの負をカバーし、合計でもよい成績になっています。
では、株では移動平均線のクロスはロングのみを行うとして、移動平均線のクロス(買いのみ)と株の買い持ちのパフォーマンスと比較してみましょう。
緑が移動平均線クロス(買いのみ)
赤がS&P500の買い持ちです。
緑の移動平均線クロス(買いのみ)は最終的なトータル利益ではS&P500買い持ちに及びませんが、最大ドローダウンが圧倒的に小さい滑らかな資産曲線になっているのが分かると思います。
結論としては、株式市場においても移動平均線のゴールデンクロスのエントリーシグナルは有効であると言えます。
一方でデッドクロスのエントリーシグナルは株式市場では通用しないことが分かりました。株はほとんどの期間上昇トレンドを形成していることが原因だと思います。
移動平均線のゴールデンクロスは利益をもたらすか? 結果まとめ
先物/FX/株式市場(S&P500)で過去30年~35年間の過去データを使って徹底的なバックテストを行った結果、移動平均線のゴールデンクロスとデッドクロスの売買シグナルでドテン売買をする売買ルールが、限定的ではありますが勝てることが分かりました。
特に先物市場においては、長期線と短期線の設定の幅広い組み合わせでバックテストをしましたが、そのすべての設定の組み合わせで(売り買いトータルでは)利益を上げることが分かりました。
また、移動平均線のゴールデンクロスやデッドクロスは1960年代~1970年代ごろにすでに確立していた手法です。ということは、今回行ったバックテストはアウトオブサンプルのテストということができます。ようするに移動平均線のゴールデンクロスの手法は今回のバックテストの期間よりも以前から機能し続けている手法ということになります。(だだし昔使われていた設定は不明)
それはまた、売買ルールが広く知れ渡った後もずっと機能し続けているということです。
- 複数の市場で勝てる
- ほとんどすべての設定の組み合わせで勝てる
- 長期間にわたって機能し続けている
- 売買ルールが広く知れ渡った後も機能し続けている
以上の4点から、移動平均線のゴールデンクロス/デッドクロスのドテン売買は堅牢な売買システムであると結論付けることができます。
ただ注意点もあります。
株式市場やFX市場でのデッドクロスは勝てなかったこと。
そしてFXメジャー通貨ペアのみを対象としたバックテストでは多くの設定で負けていて、勝てる設定を選んでも魅力的な結果は得られなかったことです。
そのあたりのことに留意して移動平均線のさらなる研究を続けていきたいと思います。