こんにちは。今日は米国株が史上最高値を更新した一方で、雇用統計の大幅な修正や今週のインフレ指標を控えた動きを整理します。初心者の方でも全体像をつかみやすいようにまとめてみました。
もくじ
米国株は最高値を更新、ただし小型株は弱め
火曜日の米国市場は、ダウ平均・S&P500・ナスダックの主要3指数がそろって史上最高値を更新しました。ナスダックは+0.4%上昇し、月間で+2%の伸びです。S&P500も+0.3%と上昇し、通常は弱いとされる9月にしては堅調です。
一方で、ラッセル2000(小型株指数)は-0.6%と逆に下落しました。大型株が市場をけん引する一方で、小型株には売りが出ているのが特徴です。
市場の内訳はやや不安定
指数は上昇しましたが、実際には下げた銘柄の方が多く、ニューヨーク証券取引所では値下がり銘柄が値上がり銘柄を1.5対1で上回りました。出来高も減少しており、投資家がインフレ指標を前に様子見しているようです。
個別銘柄の動きにも注目
先日取り上げたAmazon(AMZN)とMicron(MU)は引き続き堅調です。Amazonは直近高値圏でのブレイクアウトを試す動きが続いており、Micronも買いポイントを突破してから5%ゾーン内で推移しています。成長株として投資家の注目が集まりやすい局面です。

今日はダウ平均を押し上げたUnitedHealth(UNH)が目立ちました。同社は来年のメディケア事業で会員の大多数が最高格付けのプランに入る見込みを示し、信頼度の高さが株価を支えました。
値動き的には、大きく下落する際に大きめの出来高で売りが吸収され、反発してきた感じがあります。
また、金融株の代表であるGoldman Sachs(GS)も堅調でした。金利動向に敏感なセクターですが、利下げ観測が進む局面で投資銀行業務や株式市場の活発化が期待され、好感されたとみられます。
一方でApple(AAPL)は、秋の新製品発表(iPhone 17など)を行ったにもかかわらず株価は下落しました。これは「事前の期待で買われた後に、発表と同時に売られる」という典型的なパターンです。材料が良くても株価が上がらないケースもある、という投資家心理の難しさを示しています。
雇用統計の大幅修正とFRBへの影響
米労働統計局(BLS)は、過去1年間のNFP(非農業部門雇用者数)を91.1万人下方修正しました。月平均で見ると14.7万人増のはずが、実際は7.1万人程度しか増えていなかったことになります。これは雇用市場の弱さを示すものです。
この結果、市場では利下げ観測がさらに強まりました。CMEのFedWatchでは、来週のFOMC(米連邦公開市場委員会)で25bp(0.25%)の利下げを行う確率が約92%、0.50%の利下げを行う確率が約8%とされています。
今週の注目はPPIとCPI
雇用が弱いと利下げ観測につながりますが、同時に重要なのがインフレ指標です。今週は9月10日にPPI(生産者物価指数)、9月11日にCPI(消費者物価指数)が発表されます。予想ではPPIが前年比+3.3%、コアPPIが+3.5%、CPIは前年比+2.9%前後とされています。
もしインフレが予想以上に強ければ、利下げペースは鈍化するかもしれません。FRBは雇用と物価の両方を見ながら政策を決定するため、今週と来週は非常に重要な局面です。
セクター・業種別の動き
S&P500では11セクターのうち8つが上昇しました。通信サービスや公益が強く、素材・工業・不動産が弱い結果でした。また、業種別ではインターネット関連、ヘルスケア管理、石油精製、大手銀行などが堅調。一方で、ディスカウント小売や建設関連、住宅建設は下げました。
まとめ
米国株は最高値を更新しましたが、内訳を見ると不安定さも残ります。雇用統計の下方修正で利下げ期待は高まりましたが、今週発表されるPPIとCPIがどう出るかで来週のFOMCの判断も変わってきます。株式市場は「好調な表面」と「慎重な内部」が同居する状態といえそうです。