今日は米国株市場の動きを振り返りつつ、気になる経済指標や個別銘柄のポイントを整理しておきます。強気の流れが続いていますが、その背景にある金利や雇用の変化も見ておく必要があります。
もくじ
主要株価指数がそろって最高値
ダウ平均が46,000を初めて突破しました。S&P500やナスダックも過去最高値を更新し、小型株指数のラッセル2000も大きく上昇しました。幅広い銘柄が買われていることを示しています。

tradingview.comより
ラッセル2000まで史上最高値を更新してくるなら、いよいよすごいことになりそう。
背景には、FRB(米連邦準備制度理事会)が来週の会合でFF金利を引き下げるとの見方が強まっていることがあります。金利低下は株価にプラス要因になりやすいため、投資家が強気を保っています。
セクター別の動きと原油価格
S&P500の11セクターのうち10セクターが上昇しました。特に材料株とヘルスケア株が強く、唯一下落したのはエネルギー株でした。原油(WTI)が62ドル台まで下落したことが影響しています。
原油価格の下落は消費や物流コストの低下につながるためインフレ抑制要因となり、全体としては株式市場にプラスに働きます。ただし、石油関連企業には逆風となります。
米10年国債利回りが4%割れ
債券市場では、米10年国債利回りが4.01%に低下し、一時4%を下回りました。これは4月以来の低水準です。長期金利が下がると、将来の利益を期待されている成長株にとって追い風になります。
ただし、金利が下がっている理由が「景気の減速」なのか「インフレ鈍化」なのかで意味は変わってきます。前者なら株にとって必ずしも良い話ではありません。
CPIと雇用指標に見える変化
最新のCPI(消費者物価指数)ではコアの伸びが横ばいとなり、インフレが落ち着いてきている様子がうかがえます。一方で、新規失業保険申請件数(Initial Claims)は26.3万人と大幅に増えました。これは2021年10月以来の高水準です。
インフレが落ち着きつつある一方で雇用に弱さが出ているという状況です。これはFRBが利下げをしやすくする材料ですが、景気そのものが減速しているサインともとらえられます。
個別銘柄の明暗
ダウ銘柄では3M(MMM)やSherwin-Williams(SHW)が3%以上上昇し堅調でした。一方でBoeing(BA)は3%以上下落し、重要な移動平均線を割り込みました。
ナスダックではWarner Bros Discovery(WBD)が+29%、Synopsys(SNPS)が+13%と大きく上昇しましたが、Broadcom(AVGO)やAdvanced Micro Devices(AMD)は調整しました。
また、資金の流れがはっきり分かれたのが注目点です。Blackstone(BX)は買いポイントを突破して3.5%上昇、Tesla(TSLA)も5.5%高と強い動きでした。反対に、Netflix(NFLX)やSpotify(SPOT)は50日移動平均線を下回って下落しました。
まとめ
米国株市場は利下げ期待を背景に全面高となり、主要株価指数が揃って最高値を更新しました。原油下落はインフレ抑制に寄与し、長期金利も低下。CPIは落ち着きつつありますが、雇用指標には弱さが見えてきました。
個別株ではBXやTSLAが強く、NFLXやSPOTのように崩れる銘柄もあり、資金の流れが明暗を分けました。相場全体の勢いは強いですが、背景には景気の減速懸念もあるため、バランスのある見方が大切です。