おはようございます。今日は米国市場の動きをじっくり整理してみます。株価指数はそろって史上最高値を更新し、半導体大手のIntelが急騰するなど話題に事欠きません。一方で、FRB(米連邦準備制度)の利下げを受けたにもかかわらず長期金利が上昇しているという、いわば逆の動きも見られています。この記事では、そうした「株高と金利上昇の同居」がなぜ起きているのか、さらにIntelを中心に広がる半導体ストーリーについても触れていきたいと思います。
株式市場は全面高、小型株まで最高値
米国市場ではS&P500、Nasdaq、Dowに加え、Russell2000も史上最高値を更新しました。特にRussell2000は+2.5%と大幅上昇し、小型株にも資金が流れています。これは単なる一部の大型ハイテク株だけでなく、より広い範囲でリスク選好が広がっている証拠です。
セクター別にみると、テクノロジーと工業株が強く、逆に生活必需品や一般消費財は軟調でした。投資家が「守り」から「攻め」にシフトしている流れが読み取れます。
FRBの利下げと長期金利上昇の理由
今回のポイントは、FRBが利下げを発表したにもかかわらず、10年国債利回りが4.11%に上昇したことです。本来であれば、利下げは短期金利を引き下げ、それが長期金利の低下にもつながりやすいのですが、今回は逆の動きになりました。
理由は大きく3つあります。
- 利下げで消費や投資が加速 → インフレ懸念が強まる。
- 政府の財政赤字拡大により国債発行が増え、投資家が高い利回りを要求。
- FRBが「2%インフレ目標」を事実上あきらめていると受け止められ、信認が低下。
銀行にとってプラスの環境
短期金利が下がり、長期金利が上がる局面は銀行にとって追い風です。理由は、銀行の収益源である利ざや(貸出金利と預金金利の差)が拡大するからです。調達コストが下がる一方で貸出金利は高止まりするためです。
もちろん、保有国債の評価損や信用リスクの問題は残りますが、全体的にみればプラスに作用しやすい環境です。
Intel株急騰の裏側:ストーリーの力
今回の相場で特に目立ったのはIntel(INTC)の急騰です。NVDA(エヌビディア)がIntelに50億ドルを投資するというニュースがきっかけでしたが、それ以上に大きな意味を持ったのが「米国内で半導体を作れるようになる」というストーリーです。
米政府は半導体を国家戦略上の最重要産業と位置づけ、国内製造を強化しています。Intelはその旗手と見なされており、「Intelはアメリカの半導体自給の中心」という物語が市場に広がりました。これが投資家心理を一気に押し上げ、株価の大幅な上昇につながったのです。
私もこのストーリーはだいぶ前から気になっていて、底値圏のレンジの中でIntelの買いポジションをすこしずつ作ってきました。かなり時間がかかりましたが、「やっとか」という感じです。
テクノロジー株の循環と自己強化ループ
Intelの上昇は単独の出来事ではありません。政府支援や他企業の投資と組み合わさり、他のテクノロジー株を押し上げる「循環」を生んでいます。例えばOracle(ORCL)、MSFT、AMZN、METAといった大手企業も恩恵を受け、指数全体をけん引しています。
この自己強化ループは、一度回転が始まると慣性で止まりにくいフライホイールのような仕組みです。グローバル投資家が米国株をベンチマークに追随することで、さらに資金が流入します。
長期金利4.20%が分岐点
今後の焦点は長期金利が4.20%を超えるかどうかです。ここはテクニカルな節目であり、突破すると債券が大きく売られ、株式や金・銀も調整に入るリスクがあります。逆に守られれば、相場はもう一段強気を維持できるでしょう。株ばかり見てあまり意識されていない人が多いと思いますが、ここ結構重要だと思ってます。
まとめ
今回の市場をまとめると以下の通りです。
- FRB利下げを背景に株式市場は全面高、特に小型株も含めて強気。
- 一方で長期金利は上昇し、インフレ懸念や財政不安が背景にある。
- この環境は銀行にプラスに働きやすい。
- Intel急騰は「米国内半導体自給」というストーリーが大きな後押しになった。
- テクノロジー株は政府支援と相互投資による循環的な上昇を続けている。
- ただし、長期金利4.20%の突破は市場全体にリスクをもたらす可能性がある。