S&P500やNasdaqは最高値を更新しましたが、実際には下落銘柄の方が多い一日。長期金利は4%台を維持して安心感を与え、米中首脳会談は悪化回避だけで株高の材料に。セクターの明暗やMicron (MU)、Lennar (LEN)、StubHub (STUB) など個別株の動きから、今の相場の本当の姿を初心者にもわかりやすく解説します。
主要指数の動き
金曜日の米国株は、S&P500が0.5%上昇し、Nasdaqは0.7%高でした。特にNasdaqは週ベースで+2.2%、年初来で+17%以上の上昇を記録しています。S&P500も年初から+13%以上と好調です。一方で、ダウ平均は0.5%の下落となりましたが、それでも年内6回目の最高値を更新しています。
小型株指数のRussell2000は0.8%下落しました。つまり、大型株が主導する強さが際立つ一方で、中小型株はやや軟調です。
市場の広がりと出来高
指数が高値を更新した一方で、下落銘柄数の方が上昇銘柄数よりも多い一日でした。NYSEでは下落銘柄が上昇銘柄の約2倍、Nasdaqでも下落優勢でした。出来高は増加しており、これは機関投資家の取引が活発だったことを示唆します。
つまり、株価指数は強いものの、相場全体が広く上昇しているわけではなく、一部の銘柄やセクターが引っ張っている状況です。
長期金利の動き
米国10年物国債利回りは週の途中で一時4%を割り込みましたが、週末には4.13%まで戻しました。利下げが行われているのに、長期金利が大きく下がらないのは「米経済がまだ底堅い」と受け止められ、株式市場に安心感を与えました。
米中首脳の電話会談
トランプ大統領と習近平国家主席が電話会談を行い、「貿易を含む重要課題で進展があった」と発表されました。TikTokの問題は依然不透明ですが、市場は「米中関係が悪化していない」という安心感を得ました。これも株価上昇の一因です。
今後の注目材料
来週は重要な経済指標が続きます。火曜日にはS&P Global PMI(速報値)が発表され、水曜日は新築住宅販売件数、木曜日はGDP改定値、金曜日にはPCEデフレーター(個人消費支出の物価指数)が公表されます。特にPCEはFRBが最も重視するインフレ指標なので要注目です。
さらに、FRB関係者の講演も予定されており、サンフランシスコ連銀のデイリー総裁、NY連銀のウィリアムズ総裁などの発言が注目されます。
個別株とセクターの動き
セクター別では公益事業とテクノロジーが強く、不動産とエネルギーが弱い展開でした。業種別では再生可能エネルギー、テクノロジーサービス、コンピュータハード、自動車、生命保険、金属鉱山、映画関連が強かった一方で、石油・ガス関連や出版、小売(オフィス用品)、医療関連サービスが弱くなりました。
個別株ではMicron Technology (MU)、Jabil (JBL)、Costco (COST)が決算を控えて注目されています。住宅大手Lennar (LEN)は売上が予想を下回り、住宅株全体が軟調になりました。IPO直後のStubHub (STUB)は10%下落し、投資家心理を冷やしました。
マイクロンは最近ブレイクアウトしたばかりなのですが、決算発表後もさらに伸びるか?に注目です。私もまだマイクロン株を保有しているのでドキドキです。
まとめ
米国株は主要指数が高値を更新し、FRBの利下げ後も強い流れが続いています。ただし市場全体が広がりを持って上がっているわけではなく、一部の銘柄やセクターに偏っている点は注意が必要です。今後はPCEデフレーターをはじめとする重要指標とFRB関係者の発言が相場の焦点になります。
短期的には調整もあり得ますが、依然として上昇トレンドは続いており、強い銘柄のブレイクアウトには注目したい局面です。
免責事項:本記事は情報提供のみを目的としたものであり、特定の銘柄や通貨の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。記事内容に基づく損失について、当方は一切の責任を負いかねます。