COTレポートのバックテスト総括|逆張りロング/ショート・セクター別・3グループ別に見えた「効く場面」と実務への落とし込み

【保存版】COTレポート完全解説|先物47銘柄20年データで検証、FXやゴールドの意外な発見も公開

COTレポートを使った先物市場でのバックテスト連載をやってきました。ここまでの内容をいったん総まとめしておきます。

この連載(COTレポートを使った先物バックテスト)は本記事で総まとめをしていったん終了します。かなりマニアックでしたが、ここまで追ってくださった方に感謝します。反響があれば、さらに深掘りした検証結果も共有しますが、現時点ではここで一度区切ります。

今回の検証で確かな“収穫”がありました。特に 順張りロングにCOTレポート(COTインデックス)をフィルターとして重ねる方法は強力で、 ここで偶然ではなく堅牢性を持って見つかった売買システムは、世界水準のスタッツ (例:PF 2.5〜3.0、期待値 1%/トレード前後)を示しました。(2007–2025、47銘柄、条件下)

一方で、順張りショート/逆張りロング/逆張りショートについては、 COTの効果自体は見られたものの、それ単体だけで即・実用と断言できる段階ではないと分かりました。 ただ、それはベースとなる売買ルールがそもそも難易度が高いからであって、COTレポート自体の問題ではありません。ベースとなる売買ルールのレベルアップ、出口設計、組み合わせ条件の最適化など、さらなる研究が進んだ時、そこにCOTフィルターを追加することで一段階パフォーマンスのレベルを上げられそうだという確認はできました。

それでは、過去20年・先物47銘柄を対象に、商業筋(Com)・投機筋(NC)・小口(NR)のCOTインデックスを 順張り(ドンチャン買い)/逆張りロング/逆張りショートへ重ねて検証したら「どこで効いたか」を総括します。

バックテストのサマリー

  • 順張り(ドンチャン買い)NC≥80で一段押し上げ。
    100日:PF 1.49 → 2.53/期待値 +0.64% → +1.01%/ 160日:PF 1.99 → ≃3.0/期待値 ≃+1.1%
  • 逆張りロングCom≤40で広く底上げ。NC≥60〜80でも改善(通説とズレ)。
  • 逆張りショート:素のまま赤字(1週PF0.80/2週PF0.73)。ただし 2週上げ × Com≥90〜100で最大改善(PF 0.73 → 1.41/Δ+0.68)。NC≤10〜20NR≥100も追い風。
  • 小口(NR)は無視ではなく極端域で効く(順張りのPF押上げ/逆張りSでΔ+0.40)。
  • 共通項2週>1週で効きが強い/“強気局面”に改善集中(ただしエネルギーとFXは例外が多い)。

検証の枠組み(要点)

  • 対象:先物47銘柄、期間2001–2025(COT比較は2007–2025で揃え)
  • 価格パターン:
    • 順張り:ドンチャン・チャネル(40/80/100/160)
    • 逆張り:連続下落(ロング)/連続上昇(ショート)1〜5週 → 翌週エントリー、5週固定で手仕舞い
  • 評価:PF・期待値(%/Trade)・勝率・WL・MaxDD、ΔPF(ベース比)を重視

注:COTは週次で遅延。スイング〜中期の判断材料として設計。

3グループ別の要点(Com/NC/NR)

3.1 商業筋(Commercials)

  • 順張り:Com≤50〜40でPF押し上げ(40日:1.09→2.3〜2.4/100日:1.49→≥2.0/160日:1.99→≃2.5)。
  • 逆張りロング:Index低(≤)で改善。例:4週下げ→買い、PF 0.94→1.07(≤40)。
  • 逆張りショート:Index高(≥)で救済効果。2週上げ→売り、Com≥100でPF 0.73→1.41(Δ+0.68)。

3.2 投機筋(Large Specs/Non‑Commercials)

  • 順張り:NC≥80が王道(100日:PF2.53/期待値+1.01%、160日:PF≃3)。
  • 逆張りロング:NC≥60〜80で改善(“弱気で逆張り”より整合)。
  • 逆張りショート:NC≤10〜20で相対改善、NC≥80〜100は悪化。

3.3 小口(Non‑Reportables)

  • 順張り:低域(≤)で底上げ、極端域(≤0/≥100)は数字が映えるが件数が痩せやすい(80日:PF2.62/期待値≃0.91%、160日:PF≃2.6/期待値≃1.21%)。
  • 逆張りロング:1〜3週の浅い押しで≤20〜≤30が安定改善。4〜5週は≤で悪化が目立つ。
  • 逆張りショート:極端高域(≥100)でΔ+0.40(2週上げ→売り)。

サンプルの厚みを確認:極端域は数値が美化されやすい一方、件数が少なくロバスト性が落ちます。

戦略別ハイライト

4.1 順張り(ドンチャン買い)

チャネル ベースPF / 期待値 主要フィルター 改善後PF / 期待値 所感
40日 1.09 / +0.26% Com≤50〜40 2.3〜2.4 / ≃0.41〜0.45% ノイズ除去色が強い
80日 1.32 / +0.50% NR≤0 2.62 / ≃0.91% 押し上げ幅が大きい
100日 1.49 / +0.64% NC≥80 2.53 / +1.01% 世界水準の質感
160日 1.99 / +0.91% NC≥80 ≃3.0 / ≃+1.1% 出番は減るが高品質

4.2 逆張りロング(連続下落→翌週買い/5週固定)

連続下落 ベースPF 主要フィルター 改善後PF ΔPF メモ
1週 1.09 Com≤40 1.36 +0.27 件数確保と質向上が両立
3週 0.99 NR≤10 1.24 +0.25 極端域は要サンプル注意
4週 0.94 Com≤40 1.07 +0.13 汎用性高い軸
5週 0.94 NC≥80 1.32 +0.38 件数は痩せる

4.3 逆張りショート(連続上昇→翌週売り/5週固定)

連続上昇 ベースPF 主要フィルター 改善後PF ΔPF メモ
1週 0.80 Com≥90 1.07 +0.27 赤字圏からの引き上げ
2週 0.73 Com≥100 1.41 +0.68 最大改善。2週>1週
2週 0.73 NC≤10 1.11 +0.38 方向整合で補強
2週 0.73 NR≥100 1.13 +0.40 極端域は件数薄

共通パターン(横断知見)

  • 2週ウィンドウが強い:どのグループでも 2週>1週 で改善幅が大きい。
  • 強気局面に改善が集中:順張りはNC高温、逆張りSは「上げ×Com強気」など、価格の張力が高い場面で効きやすい。
  • 勝率よりWL(利大損小):勝率は小幅でも、WL・期待値の底上げでPFが伸びる。
  • 極端域は強力だが痩せる:≥90/≤10 は数値が映える一方、サンプル不足に注意。

実務的な示唆(レシピ)

6.1 優先順位(順張り)

  1. ユニバース選定:穀物・ソフト・株価指数・食肉に集中(エネルギー/FXは別設計へ)。
  2. ルール:終値がDonchian 100上抜け かつ NC≥80
  3. エグジット:Donchian 50割れ。
  4. サイズ:チャネル幅基準で 1トレード=口座2% リスクに標準化。
  5. 停止条件:MaxDDや打席数の悪化で重みを落とす。

6.2 逆張りロングの使い所

  • Com≤40 を軸に、NC≥60〜80で補強。
  • NRは 1週 ≤20〜≤30 をコア候補(3週≤10は要サンプル注意/4〜5週の≤は回避)。

6.3 逆張りショートの使い所

  • 2週上げ × Com≥90〜100 を起点。
  • 可能なら NC≤10〜20 を重ね、NR≥90〜100は過熱アラートとして併用。
  • 出番は少ない。無理に稼がず、ドローダウン抑制の役割として位置づけ。

6.4 “点最適”を避ける運用ルール

  • しきい値はレンジで:例)NC≥80±5、Com≤40±5
  • 最低トレード数の下限:例)戦略・銘柄単位で ≥200
  • PFだけで採用しない:MaxDD/取引密度/年次分散も同時判定。

セクター別の地図(順張り×NC≥80×Donchian100)

セクター 評価 使い方のヒント
穀物 大豆系・小麦系。トレンド継続で“追い風”が効きやすい
ソフト ココア・砂糖など。出番減でも選球眼が向上
株価指数 ○〜◎ NASDAQで顕著。ダウは“質向上型”
食肉 ○〜◎ 需給偏りで走る。ブレイクと相性良好
金属 △(質向上) ゴールドは外し削減→資産曲線の滑らかさ向上
金利 △(限定) 出番は減るがPFは改善しうる
エネルギー × ショックで過熱→反転が多発。別設計で再挑戦
FX × 制度・金利差の影響が強く、順張り続伸が途切れやすい

補足:「効くセクターを知る」と同時に「無理に使わないセクターを知る」ことが全体最適に効く。

 ロバストネスと限界

  • 過最適化回避:点のしきい値・小サンプルの数字映えに注意。連続レンジと下限件数でガード。
  • 期間・セクター偏重:年次バランスと外部検証期間で再確認。
  • COTの遅延構造:週次ゆえ、スイング以上の前提。
  • 役割定義:COTは地合いのコンパス。直接トリガーより確信度・サイズ調整への寄与が現実的。

免責:本稿は過去データに基づく検証の共有であり、特定の売買を推奨するものではありません。実運用では手数料・スリッページ・流動性をご考慮ください。

 最小実装(雛形)

順張り(攻撃枠)

    • IN:終値がDonchian 100上抜け かつ NC≥80
    • OUT:Donchian 50割れ
  • 銘柄群:穀物/ソフト/株価指数/食肉
  • サイズ:チャネル幅基準、1トレード2%リスク
  • 採用基準:PF・期待値↑、MaxDD/打席数の悪化なし、年次分散OK

逆張りロング(補助枠)

  • 条件:Com≤40(±5)NC≥60〜80
  • 対象:1〜3週の浅い押し中心(4〜5週は厳選)

逆張りショート(“救済”枠)

  • 条件:2週上げ × Com≥90〜100(±5)。可能なら NC≤10〜20 を追加
  • 位置づけ:出番は少ない。ドローダウン抑制の役割として。

まとめ

  • COTは“どこで効くか”を見極めて使うと強い。
  • 2週ウィンドウ+しきい値レンジ+効くセクター集中で、PF/期待値は安定的に底上げ。
  • 通説の再解釈(例:逆張りSは「NC売り寄り」「Com強気域」)は差別化の源泉
  • COTは当てる道具ではなく、確率を押し上げるフィルター。裁量の確信度とサイズ調整に落とし込むのが実務的。

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この記事を書いた人

圧倒的な熱量で世界の相場を毎日14時間以上監視している専業トレーダーです。トレード、バックテスト、調査で得た学びを初心者の方にもわかりやすく発信しています。