株式相場の「地合い」を意識することで逆張り買いのパフォーマンスを劇的に向上させることができます。
地合いが悪いときに逆張りの買いをすべきなのでしょうか?それとも地合いが良いときに逆張りの買いをすべきなのでしょうか?その明確な答えがこのページにあります。
もくじ
「地合い」とは
地合いとは、株式相場全体の状態のことです。「地合いが良い」の意味は、株式相場全体が上昇トレンドであることを意味します。
逆に「地合いが悪い」というと、株式相場全体が下降トレンドにあることを意味します。
地合いと逆張り買いの関係を調査
前回の記事では、株が下がっている時に買う「移動平均線乖離率を使った逆張り戦略」が長期的にとてもうまくいっていることが分かりました。
株の暴落は買いチャンス!移動平均乖離率の逆張りを全銘柄で検証 株暴落ビビ第1回
今回はその逆張り戦略のパフォーマンスをさらに上げるため、「地合い」を意識した検証をしてみることにしました。
具体的に何を調べるかというと…
相場全体が下げている時に、下げている銘柄を逆張りで買う方が勝てるのか?
それとも
相場全体が上げている時に、下げている銘柄を逆張りで買う方が勝てるのか?
を調べたいと思います。
地合いの定義をどうするか
地合いとは相場全体の状態のことでした。しかしそれはどのように定義したらよいでしょうか。
一番簡単なのは、TOPIXや日経平均などのインデックスが上げているか下げているかで判断することです。
ただ、今回は大暴落への準備ということを掲げて企画をしていますので、ちょっと違う方法で地合いを判断することにします。
移動平均線からの乖離率が一定の%より下がった銘柄の数を数え、その数によって地合いの良し悪しを判断したいと思います。
要は暴落している銘柄の数で「地合い」の良し悪しを測るということです。
「地合いフィルター」で乖離率逆張り買いを検証
「地合い」が逆張り戦略のパフォーマンスを上げるかを調べるために、前回行った移動平均乖離率の逆張りのバックテスト結果に、「地合いフィルター」をかけて集計しなおしてみます。
前回の記事のバックテストで比較的良い結果を出し、且つ十分なトレード数を確保できていた「5本移動平均線からの-5%乖離したら逆張りで買い」のトレード結果を「地合いフィルター」を使って集計しなおします。
前回の「地合いフィルターなし」のテスト結果はこちらです。これが今回のテストの元になる戦略となります。これを「地合い」フィルターをかけることでパフォーマンスアップできるか?ということをやってみましょう。
ご覧のように、買いの資産曲線(赤の線グラフ)は地合いフィルターなしでもそんなに悪くありません。ドローダウンはありますが、右肩上がりになっています。
買いトレードの合計は80479回あります。このうち「地合いが良いとき」のトレード結果を集計します。そして「地合いが悪いとき」のトレード結果も集計して比較します。
そうすることで、この逆張り手法が地合いの良いときにうまくいくのか、それとも地合いの悪いときにうまくいくのかが明らかになるはずです。
「地合いフィルター」適用したらすごいことに!
では早速「地合いフィルター」を使って、そのままでも勝てるトレード手法のトレード結果を集計しなおしていきます。
表の一番左、サイン発生数/日は売買サインが発生した日に、相場全体で同じ売買サイン(つまり5本移動平均線から-5%乖離)が発生した銘柄が何銘柄あったか?を示します。
1銘柄以上10未満、10銘柄以上25銘柄未満といったように区切ってグループ分けしています。
移動平均線からマイナス乖離した銘柄が少ない日は地合いが良い日と言えるでしょう。
一方、移動平均線からマイナス乖離した銘柄が多い日は地合いが悪い日と言えるはずです。
地合いが良い悪いの境目は僕にはわかりません。しかし、このトレード手法のパフォーマンスが、地合いの変化に対してどのように反応するか?は分かります。
この表の見方としては、下に行けば行くほど急激に下げている銘柄の数が多いわけですから「地合いが悪い」といえます。
表の右から2番目の列と一番右の列の変化を見てください。下にいくにつれて(地合いが悪くなるにつれて)1トレード当たりの損益が増え、勝率も上がっているのが分かります。
特に相場全体での逆張りサイン数が0~10件の日に買うと、1トレード損益がマイナスですから、30年間のトータルで負けてしまうことがわかります。
一方で表の真ん中あたりから下にいくにつれて、勝率が60%程度以上になり、1トレード当たりの利益もぐっと上がっていくのが分かります。
ここから分かることは、地合いが悪く相場全体で暴落する銘柄が多くなればなるほど、移動平均線乖離率を使った逆張り買い戦略のパフォーマンスが向上していくということです。
個別銘柄で移動平均乖離率の逆張りサインが発生しても、10件以下であればトータルで負ける可能性が高いのでやっちゃダメということもわかります。
「たまたまじゃないの?」
そう思っていますよね?
では、次は同じ検証をBNFさん設定の逆張りシグナルでもやってみましょう。
BNFさん設定の逆張りシグナルを「地合いフィルター」でブーストアップ
先ほどは5本移動平均線から-5%乖離の逆張りシグナルを「地合いフィルター」で見てみました。
次はBNFさん設定の25本移動平均線からの乖離を見てみます。25本移動平均線から-10%乖離した銘柄の数を「地合いフィルター」として検証します。
表の下に行けば行くほど暴落銘柄が多い「地合いの悪い状態」なのですが、下に行けば行くほど1トレード損益も勝率も上がっていくのが分かります。
さっきと全く同じ傾向です。
BNFさん設定でも、地合いが悪くなればなるほど、逆張り買いのパフォーマンスが良くなることが分かります。
「地合いが悪い方が買いで勝てるってどういうことやねん!」
と納得いかない人のために、損益グラフで比較してみます。
移動平均乖離シグナルが出ている銘柄数が50を一つの「地合いが良い/悪い」の境界線と仮定します。
暴落シグナル50銘柄未満 = 地合いが良い
暴落シグナル50銘柄以上 = 地合いが悪い
暴落銘柄が50銘柄以上の地合いが悪い日は、地合いが良い日に比べて勝率で11%以上がり、1トレード利益は4.3倍になっています。
まずは地合いが良い状態での移動平均線乖離逆張りの損益曲線を見てみましょう。
↓地合いが比較的良い状態で逆張り買いした場合の資産曲線↓
一応プラスですが、負けが続いている時間が長く、ドローダウンも深く、実際に運用したいとは到底思えません。
次に、地合いが悪いとき(つまり暴落銘柄が50銘柄以上の時)の逆張り買いの損益曲線は以下のようになります。
↓地合いが悪い日に逆張り買いした場合の資産曲線↓
地合いが悪いときの方が、圧倒的にパフォーマンスが上がっていることが分かります。
ここまで右肩上がりだと非常に優秀な手法です。実際に運用してみる価値がありそうです。
直近の10年ぐらいでさらにパフォーマンスが上げ基調なのも良いですね。
こうやって損益曲線を見比べると明確に差が分かるので、逆張り買いのチャンスとなる「地合いの悪い状態」を根気強く待とうと思えますね。
ここまで見ていただいたら納得できたのではないでしょうか。
株式相場全体で暴落している銘柄が50銘柄以上ある日に移動平均乖離率の逆張り戦略のエントリーをした方が圧倒的に勝てるということです。
地合いと逆張り買いの関係 結論
株式市場全体で急激に下げている銘柄がたくさんある「地合いが悪い」状態で逆張り買いをする方がパフォーマンスが劇的に上がることが分かりました。
「逆張りで買うなら、地合いが悪い日に買え」です。
次回の予告 どの銘柄を選べばよい?
今回の記事で暴落している銘柄の多い日を狙って逆張り買いをすべきということが分かりました。
ということは、エントリーを狙う日にはたくさんの銘柄で買いシグナルが出ているということです。
そこで次回は、「いっぱいある暴落銘柄のうち、どの銘柄を選ぶべきか?」を客観的な分析で解決します。
ではまた次の記事で。