今回は、経済指標や流動性とビットコイン(BTC)の動きを比べたときに見える「乖離(かいり)」について整理してみます。株式市場や新興国市場がすでに織り込んでいるのに、BTCだけが出遅れているのでは?そしてそれがチャンスなのでは?という視点です。
もくじ
経済サプライズ指数とBTCの乖離
現状
経済サプライズ指数(CESI)は、経済指標が「予想より強かったのか弱かったのか」を集計したものです。直近では米国や世界のCESIはプラス圏にあり、予想を上回る指標が続いています。しかしBTCはこの好調さをあまり反映していません。つまり「経済の強さとBTC価格の間に乖離がある」と言えます。
背景
株式市場はこうした指標に敏感で、すでに改善を織り込んで上昇している部分があります。一方BTCは、株や債券ほどマクロ指標とリンクしにくいため、出遅れている状態です。
グローバルM2とBTC
現状
M2は「現金+預金+短期金融商品」などを含むマネーサプライ(通貨供給量)を示す指標です。世界全体のM2は増加傾向にありますが、BTCはその影響をまだ十分に反映していません。過去の経験則では、M2が増えると株式や暗号資産のようなリスク資産に資金が流れやすい傾向があります。
背景
2025年は各国の中央銀行が利下げに動き始め、金融環境も緩んできています。その結果、グローバルM2は拡大しており、この資金の一部がBTCに向かう可能性もあります。ただし現状では「M2の増加とBTC価格に差がある」状態です。
source: tradingeconomics.com
ISMとBTCの関係
現状
ISM(米製造業の景況感指数)は50を境に拡張・縮小を判断します。新規受注など先行指標を見れば、今後ISMは改善方向に向かうと期待されています。株式市場や新興国市場はすでに「回復」を織り込んで動いていますが、BTCはまだこの期待を十分に反映していません。
source: tradingeconomics.com
背景
BTCは株に比べて投資家層が特殊であり、マクロの織り込みが遅れることがあります。したがってISMの改善が実際に表れたときに、追随的に動く余地が残っていると考えられます。
株や新興国市場はすでに織り込み済み
現状
新興国株(EEM)やシクリカル株(景気敏感株)はすでに景気回復のシナリオを織り込み済みです。BTCだけがまだ反映していないため、出遅れているように見えます。
背景
株式市場は先回りして動く性質があり、すでに改善を反映しています。BTCはその後を追う形になるかもしれません。
BTCのテクニカルパターン
現状
チャートの形でもBTCは「逆三尊(逆ヘッドアンドショルダー)」や「ブロードニング・トライアングル(拡大型三角持ち合い)」といった上昇に繋がりやすいパターンを形成しています。テクニカル面からも上方向に動く期待が出ています。
分かりにくいですが、直近で小さな逆ヘッドアンドショルダーが、意識されている価格帯(緑)を試す動きで出ています。ここから上昇してきたら面白いと思います。
背景
マクロ環境との乖離が解消される可能性と、チャートの形が同じ方向を指していることは、投資家心理にとっても支えになります。
まとめ
CESI(経済サプライズ指数)、グローバルM2、ISMといったマクロ指標は好調を示しており、株式市場や新興国市場はすでに回復を織り込んでいます。それに対してBTCはまだ反応が遅れており、経済環境との「乖離」や「出遅れ」が残っています。さらにテクニカル分析でも上昇を示すパターンが出ており、マクロとテクニカルが同じ方向を指している点は注目に値します。ただし必ずしも相場がそう動くとは限らないので、違いを意識しながら冷静に観察することが重要です。
今日のネタ
知り合いに話すならこんな一言で。
「株や新興国株はすでに景気回復を織り込んでるのに、ビットコインはまだ出遅れ気味らしい。チャートは逆三尊の形で、もし動き出したら“遅れてやってくるスター選手”みたいになるかも。」