米国株は最高値でも安心できない? AI熱狂の裏で点灯する「警戒シグナル」とは

イーサリアムと ナスダックの関係

ダウ・S&P500・ナスダックが最高値を更新し、NvidiaのAIニュースも話題に。一方で、9月の季節性の弱さやPut/Callレシオの低下、イーサリアムの急落など不穏なシグナルも出ています。強気相場に乗りながらもリスクをどう意識すべきか、分かりやすく整理しました。


主要株価指数はそろって最高値

週明けの米国市場では、ダウ工業株30種平均、S&P500、ナスダックがそろって過去最高値を更新しました。特にナスダックは0.7%上昇と、他の指数を上回るパフォーマンスを見せました。小型株のRussell2000も0.6%上昇し、年初来で初めて最高値を付けています。大型株から小型株まで買いが広がっている点は注目したいところです。

Russellの日足チャート

Russell2000の日足チャート

Russell2000は小型株指数です。小型株は景気に敏感なので、相場の「広がり」を見る上で重要です。

AI関連のニュースが市場を刺激

個別株ではNvidia(NVDA)が大きな話題となりました。同社はOpenAIに最大1000億ドルを投資する計画を発表し、株価は一時的に横ばいのレンジを上抜けました。AI関連テーマは引き続き市場の盛り上がりを支える存在であり、投資家心理を押し上げています。185より上に伸びて定着できるかに注目です。

NVDAの日足

Nvidiaの日足チャート

株価が一定期間横ばいを続けたあと、新しい高値を試す典型的なチャートパターンは、順張りのブレイクアウト戦略でよく使われます。

金利とコモディティの動き

米10年国債利回りは4日続伸し、4.15%に到達しました。FRB(米連邦準備制度理事会)が利下げを決定した直後であるにもかかわらず、長期金利はむしろ上がっている点が気になります。また、金は史上最高値を更新しましたが、原油は1バレル=62ドル台に下落しました。

PCE(個人消費支出物価指数)はFRBが最も重視するインフレ指標です。今週末に発表予定で、市場の反応に直結します。

強気ムードの裏側にあるシグナル

これだけ株価が盛り上がっていると、「株はもう下がらないんじゃないか」と思いたくなる雰囲気が市場を包んでいます。確かに主要指数は最高値を更新し、AI関連のニュースも次々と出てきて、明るい話題には事欠きません。ですが、相場が盛り上がっているときほど、冷静に「注意すべきサイン」を見ておくことが大切です。ここでは、いくつか気になるポイントを一つずつ整理してみます。


季節性:9月後半は弱気になりやすい

まず有名なアノマリー(季節的な傾向)です。米国株式市場では、長期データを見ても9月後半はパフォーマンスが特に悪い傾向があります。特に9月の「オプション満期日(OPEX)」を過ぎたあとの1週間は、歴史的に株が下がりやすい時期として知られています。これはファンドのリバランスや決算対策の売りが重なるため、需給的に売りが出やすくなるのが一因とされています。

S&P500のアノマリーチャート

S&P500の季節性アノマリーチャート

Sep(9月)からOct(10月)にかけて弱いのが分かります。

アノマリーとは「統計的にそうなりやすい」という傾向のことです。必ずそうなるわけではありませんが、過去のデータから投資家が意識するために現実化しやすいという面もあります。▼全銘柄のアノマリーチャートはこちら

S&P500の「16年で10倍」という異例の上昇

S&P500は2009年のリーマン・ショック直後につけた安値から、2025年現在でおよそ10倍になっています。20年以内で指数が10倍になるのは歴史的にみても珍しいケースです。これは金融緩和やIT革命、AIブームなど複数の追い風が重なった結果ですが、同時に過去の平均からすると行き過ぎた動きとも言えます。相場が大きく上がった後は、調整や反動が起きやすいのも歴史の教えるところです。

SPXのチャート

S&P500がほぼ10倍に

「10倍」という数字だけを見ると夢のようですが、株式市場では長期にわたって上がりすぎると必ず調整局面が来ます。木が空に向かって永遠に伸びないのと同じです。

Put/Callレシオの低下:投資家が安心しすぎ?

オプション市場を見てみると、Put/Callレシオが大きく低下しています。これは投資家が「株価下落に備えるプットオプション」をほとんど買わず、「株価上昇に賭けるコールオプション」に偏っているという意味です。言い換えると、「下がるリスクなんて気にしていない」という心理が広がっている証拠です。

ちなみに私はこの状況を利用し、S&P500(SPX)のファーロングプットを“大暴落保険”として買っています。普段から少しずつ保険として買うのですが、今はかなり割安に買えるので、普段よりやや手厚くしています。

ファーロングプットとは「かなり株価から離れた安い権利行使価格のプットオプション」を買う方法です。通常はほとんど価値がなく、もし大暴落が起きた時だけ急に大きく値上がりします。つまり“火災保険”のような位置づけで、平常時は無駄に見えても、いざという時に役立ちます。

「ショートを語るのがバカらしい」という雰囲気

相場が熱気を帯びてくると、「株は上がるのが当たり前」「売りなんて考えるだけ無駄」という雰囲気が広がります。実際、今の市場にはそのような空気が漂っていると感じます。ですが、こうした一方向に偏った心理状態そのものが過熱のサインでもあります。

過去の天井局面でも「もう株は下がらない」と多くの人が信じていた瞬間に下げが始まることがよくありました。投資家の心理が極端に片寄ると、それだけでリスクになります。

イーサリアム(ETH)の急落は「カナリア」か?

最後に気になるのは暗号資産です。イーサリアム(ETH)が最近急落しています。これまでの経験則では、ETHの下落はナスダックなど株式のリスク資産に先行して現れることが多く、投資家の間では「カナリア(先行警告)」のような存在と見られています。

イーサリアムと
ナスダックの関係

イーサリアム(青) ナスダック(赤)

「炭鉱のカナリア」という表現を聞いたことがあるかもしれません。炭鉱労働者が有毒ガスを検知するためにカナリアを持ち込んだことから、「危険をいち早く知らせる存在」という意味で使われます。ETHが先に崩れると「株式も後追いで調整するかも」と警戒されるわけです。

今回もETHが下げ始めたことで、「株式市場もこの先調整局面に入るのでは?」という見方が出てきています。もちろん断定はできませんが、リスク管理の材料として頭の片隅に置いておきたい事実です。


まとめ

米国株は史上最高値を更新し、AI関連のニュースもあり、表面的には強気一色です。ただ、9月後半の季節性、指数の行き過ぎ感、オプション市場の偏り、そして暗号資産の動きなどを合わせて見ると、「注意のシグナル」も着実に点灯していることが分かります。強気の流れに乗りつつも、防御の視点を忘れないことが大事だと思います。

同時に覚えておきたいのは、警戒ランプが点灯したあとに、とんでもない「最後の上昇」が起きることも多いという事実です。そのとどめの上昇を取るかどうかで、長期的なリターンが決定的に変わることもあります。相場は単純ではなく、だからこそ難しくも面白いのだと思います。

警戒シグナルが出ているのに株がまだ上がり続けることを「最後の宴」と表現する人もいます。「じゃあその最後の宴に参加するの?」と聞かれたら、きっと賢人はこう答えるでしょう。

「宴会場には顔を出すけど、非常口の場所だけはちゃんと確認しておく」。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

圧倒的な熱量で世界の相場を毎日14時間以上監視している専業トレーダーです。トレード、バックテスト、調査で得た学びを初心者の方にもわかりやすく発信しています。