今回は、最近のインフレや雇用、中央銀行の動きに関する話をまとめておきます。あくまで記録のような形ですが、気になる点を振り返りながら考えていきます。
もくじ
CPI(消費者物価指数)が示す「3%の現実」
米国のCPI(消費者物価指数)は、すでに長期間にわたり2%を上回る状態が続いています。現在は3%前後が定着しつつあり、以前なら問題視された数値が、いまでは「普通」として受け入れられている雰囲気があります。
FRB(米連邦準備制度理事会)の物価目標は2%ですが、市場も政策当局も「3%でも大きな問題ではない」と考えているように見えます。これは実質的にインフレ目標が引き上げられたのと似た状況です。
Initial Claims(新規失業保険申請件数)の増加
雇用に関しては、最近発表されたInitial Claims(新規失業保険申請件数)が急上昇しました。特定の州の季節調整の問題という見方もありますが、26万件を超える状態が続くと「米国の雇用が本格的に悪化している」と受け止められる可能性があります。

forexfactory.comより
特にエネルギー関連や地域企業のリストラが背景にあるとの指摘もあり、来週以降の数字に注目が集まります。
来週の注目イベントは「中銀ウィーク」
来週は複数の中央銀行会合が予定されています。FRB(米国)、BoE(イングランド銀行)、BoC(カナダ銀行)、日銀、ノルウェー中銀などです。加えて、米国では小売売上高や住宅関連データも発表されます。
さらに株式市場では、9月限月の先物やオプションの満期通過直後という時期で、例年ボラティリティ(価格変動)が高まりやすい週でもあります。投資家はこの「9月第3週の翌週」に注意している人が多いです。
中央銀行政策の「乖離」に注目
各国の政策金利見通しを比較すると、米国が際立っています。市場では「米国は近いうちに利下げするだろう」と強く織り込まれていますが、インフレがまだ高止まりしているため、その期待は過剰かもしれません。
もしFRBが市場の想定ほど早く緩和しなければ、債券や株式市場は大きな調整を迫られるリスクがあります。
金とNVIDIA株の分かれ道
商品市場では、金がやや疲れ気味です。大きなブレイクアウト水準とされる3,510〜3,520ドル付近が、次に押し目買いの注目ゾーンになりそうです。

tradingviewより
株式では、NVIDIAが市場の関心を集めています。特に185ドルという水準が意識されており、これを突破し、その上で定着できるかどうかに注目が集まっています。成功すれば強気の流れが継続しやすく、失敗すれば投資家心理に冷や水を浴びせる可能性があります。

tradingviewより
まとめ
今回整理したのは、インフレが3%で定着しつつあること、雇用指標に不穏な動きが見られること、そして来週の中銀イベントの多さです。さらに、米国だけが利下げを強く織り込みすぎている点も気になります。最後に、金とNVIDIAがそれぞれ重要な水準に差し掛かっていることを確認しました。
どのテーマも「ひとつの数字」だけで判断せず、全体像をつかむ意識が大切だと思います。初心者の方も、ひとつずつ押さえていけば、相場の見え方が少しずつ変わってくるはずです。