原油ショックでもマーケットが崩れていない理由 ― 原油、景気サイクル、ドルから見る今の相場

S&P500の日足

最近のマーケットを見ていると、原油や地政学のニュースが一気に増えてきました。ニュースの量が多いと、どうしても「いったい何が本当に重要なのか」が見えにくくなります。

そこで今回は、ここ数日のマクロ環境について、自分なりに整理してみました。原油、景気サイクル、ドル、そして株やビットコインまで、いくつかの視点を並べて考えてみます。

短くまとめると、こんな感じ。

原油ショックはあるが、

流動性と景気サイクルはまだ壊れていない。

だからマーケットは崩れていない。

むしろBTCは先に動く可能性ある。


原油が急騰すると、なぜマーケットは緊張するのか

まず最初に気になるのは原油価格です。最近は急激な上昇があり、マーケットでもかなり話題になっています。

原油の日足

原油が急騰すると、金融市場では少し緊張感が高まります。理由はいくつかありますが、シンプルに言うと「経済のコストが上がる」からです。

企業はエネルギーを使って製品を作りますし、物流でも燃料を使います。原油が上がると、それがさまざまな価格に波及します。場合によってはCPI(消費者物価指数)やPCE(個人消費支出物価指数)といったインフレ指標にも影響が出ます。

ただ、ここで一つ大事なポイントがあります。原油が上がっただけで、すぐに景気が壊れるわけではないということです。

過去を振り返ると、景気サイクルが本当に崩れるときは、原油が「急騰したまま長期間高止まりする」ケースが多いです。つまり、短期のショックよりも、持続的なコスト上昇の方が問題になります。

週足で見ると、週足の実体を結んだ下降トレンドラインにあたったところで反応しているように見えます。しばらくは乱高下しそうですが、最終的にはまた下落してくれたら株式投資家としては嬉しいですね。

原油の週足

ニュースを見ると「原油高=すぐ不景気」というイメージを持ちやすいですが、実際にはもう少し時間差があります。急騰だけでは景気はすぐ壊れないことが多いです。

本当に気をつけたいのは「供給のボトルネック」

原油のニュースを見ていると、もう一つ気になるテーマがあります。それはエネルギー以外の資源です。

世界の物流ルートにはいくつか重要なポイントがあり、そこが混乱すると石油だけでなく、さまざまな原材料の流れが滞る可能性があります。

たとえば化学製品の原料や、ガス関連の資源、さらにはヘリウムなど半導体製造に使われる素材などです。こうしたものはニュースではあまり取り上げられませんが、産業全体にはかなり重要です。

特に半導体は、今やAIサーバーやデータセンターの拡張とも密接に関係しています。もし材料の供給が長期間止まると、IT産業や設備投資にも影響が出る可能性があります。

つまり、マーケットが本当に警戒するのは「エネルギー価格」よりも、「サプライチェーンが長期間止まること」です。

どれぐらい長引くと危険なのか?

  • 3月中に解決するなら、まだ“何とかなる”可能性が高い
  • でも長引くほど、供給網や景気へのダメージが積み上がる

そんな感じみたいです。

市場は短期で終息すると見ていて、長引くシナリオはまだ織り込まれてなさそう。

ですので、もしイラン情勢が長引く方向に振れたら、株価が大きく調整することも考えられそうです。

原油ニュースだけを見ていると気づきにくいですが、実際の経済では「材料が届かない」という問題の方が深刻になることもあります。

それでも、今のところ景気指標はそこまで悪くない

では実際の景気はどうなのか。ニュースだけを見ていると不安になりますが、もう少し落ち着いて経済指標を確認してみます。

景気サイクルを見るときによく使われるのが、ISM(米製造業の景況感指数)やS&P Global PMI(企業の景況感指数)です。どちらも企業へのアンケート調査なので、景気の変化を比較的早く反映すると言われています。

また雇用関連では、NFP(米非農業部門雇用者数)、失業率、JOLTS(求人件数)などがよくチェックされます。ニュースではこのあたりの数字がよく取り上げられるので、ついそこだけに目が行きがちです。

ただ、最近のデータを少し丁寧に見ていくと、もう少し違う景色も見えてきます。

たとえば企業の残業時間です。企業は景気が怪しくなると、まず採用を止める前に残業を減らします。つまり残業時間は、雇用統計よりも少し早く景気の変化を反映することがあります。

最近のデータを見ると、この残業時間はむしろ持ち直してきています。企業の稼働が少し増えている可能性を示す動きです。

さらに、中小企業の調査でも興味深い数字が出ています。NFIB(全米独立事業者連盟の中小企業調査)では、「売上が前年比で増えた」と答える企業の割合がここ最近でかなり増えています。これは実際のビジネス活動が回復している可能性を示唆します。

もちろん雇用の一部には弱い部分もあります。失業率が少し上がったり、NFPが予想より弱かったりする場面もあります。ただ、NFPは景気に少し遅れて動くことも多い指標なので、それだけで景気全体を判断するのは少し早いかもしれません。

ISMやPMI、企業の労働時間、そして中小企業の売上などをまとめて見ると、少なくとも現時点では「景気が急激に崩れている」という印象はありません。

むしろ、景気サイクルはまだ途中段階にあるようにも見えます。もちろん今後の原油価格や金融環境によって状況は変わる可能性がありますが、今の数字だけを見ると、そこまで悲観する状況でもなさそうです。

雇用統計はニュースでよく取り上げられるので不安になりやすいですが、ISMやPMI、企業の労働時間、中小企業の売上なども一緒に見ると、景気の全体像が少し見えやすくなります。

ドルと金利の動きも重要

原油や地政学と並んで、もう一つ大事なのがドルと金利です。

米ドルインデックス

これは米ドルインデックスのチャートです。

ドルが強くなると、世界の金融環境はやや引き締まりやすくなります。逆にドルが弱くなると、資金がリスク資産に流れやすくなります。

また、FF金利(米国の政策金利)や米国債利回りの動きも重要です。もしインフレが再び強くなれば、中央銀行は利下げを急げなくなります。

一方で、雇用が少し緩むと金利が下がりやすくなり、金融環境が緩むこともあります。このあたりは、今のマーケットでもかなり議論が分かれているところです。

ドル、金利、株はかなり連動しています。株だけ見るより、この3つを一緒に眺めるとマーケットの流れがつかみやすいです。

株とビットコインは、意外と強い理由

ここまで読むと、かなり不安な話が多いように感じるかもしれません。

ただ、マーケットを見ていると、ビットコインはそこまで大きく崩れていません。

BTCの日足

これビットコインの日足です。もちろん下降トレンドにはなっていますが、イラン情勢の下落はそれほどでもなく、むしろ株よりも安定します。ここ1か月は上昇しているぐらいです。

理由の一つは流動性です。世界の金融システムにはまだかなりの資金が残っていて、株や暗号資産に流れ込む余地があります。

そのため、短期的に地政学リスクで下がることはあっても、資金の流れ自体が完全に止まっているわけではありません。

こういう状況では、マーケットは意外と粘り強く動くことがあります。

株もまだそこまで崩れていません。

S&P500の日足

今年中に大きな下落は来るだろうが、いったんもうひと上げした後では?というのがウォール街のコンセンサスっぽい。

ニュースはネガティブでも、資金が残っていると相場は思ったより下がらないことがあります。これがマーケットの難しいところです。

まとめ

今回のマクロ環境をまとめると、いくつかのポイントが見えてきます。

まず、原油の急騰は確かにマーケットにとって大きなニュースです。ただし、それだけで景気サイクルがすぐ崩れるわけではありません。

むしろ本当に警戒されているのは、供給網の混乱が長引くことです。もしサプライチェーンが止まると、エネルギー以外の産業にも影響が広がります。

一方で、ISMやPMI、雇用指標などを見る限り、景気が急激に悪化しているわけでもありません。ドルや金利の動きも含め、まだ判断は難しい局面です。

そして株やビットコインを見ると、流動性の影響もあって、相場はまだ比較的落ち着いています。

ニュースだけを追うと不安になりやすいですが、景気指標や資金の流れを少し広い視点で見ると、また違った景色が見えてきます。

マーケットは一つのゲームではない

ここまでいろいろ書いてきましたが、

正直に言うと、マクロ環境をここまで整理しても、

「じゃあ株は上がるのか、下がるのか?」という問いには

はっきりした答えは出ません。

原油が落ち着けば、

株はもう一段上がるかもしれない。

逆に、地政学リスクが長引けば、

大きく調整する可能性もあります。

つまり結局のところ、

未来を正確に予想することは難しいのです。

それでも投資家は、

ポジションを取らなければいけません。

ここ数ヶ月、私は

マクロ、ファンダメンタルズ、バックテストなどを

かなり集中的に研究してきました。

その中で、少し面白いことに気づきました。

マーケットは、

一つのゲームではないということです。

短期では、

人の恐怖や損切りが集中して

価格が歪みます。

中長期では、

資金の流れによって

トレンドが生まれます。

そして時々、

パニックのような大きな暴落が起きます。

つまり市場には、

いくつかの「DNA」があるように見えます。

それぞれの状態で、

有効な戦略はまったく違います。

多くの投資家が苦しむ理由は、

この違いを無視して、

同じやり方を続けてしまったり、

未来予想に基づいて行動し、それに固執してしまうことです。

マクロなどを予想して先回りするのではなく、

実際に起きている値動きに合わせて

行動を調整していく方が、

むしろシンプルで合理的なことも多いのです。

このあたりの話は、

ここ数ヶ月の研究の中で

かなり整理できてきました。

このブログでも、

少しずつ書いていこうと思います。

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この記事を書いた人

圧倒的な熱量で世界の相場を毎日14時間以上監視している専業トレーダーです。トレード、バックテスト、調査で得た学びを初心者の方にもわかりやすく発信しています。