戦争リスクでも株が崩れない理由|流動性という見えない力を整理する

ホルムズ海峡の画像

最近の相場を見ながら、マクロ環境を整理してみる

ここ最近の相場を見ていると、少し不思議な動きが続いています。
地政学リスクのニュースで株価が下げる日がある一方で、全体としては崩れない。むしろ強い場面もあります。

自分なりに整理してみると、この背景には「流動性」の問題がかなり大きく関係していそうです。
今回は、最近のマクロ環境を初心者の方でも分かるように整理してみます。


ホルムズ海峡リスクは「供給」ではなく「輸送」の問題

ホルムズ海峡の画像

まず最初に押さえておきたいのが、中東情勢です。
特にホルムズ海峡周辺の動きは、ここ最近の市場でかなり重要なテーマになっています。

ホルムズ海峡は、原油輸送の大動脈のような場所です。
ここが不安定になると、原油価格やインフレに影響が出やすくなります。

ただ、今回のポイントは少し違います。

問題になっているのは「原油があるか」ではなく、「運べるかどうか」です。

つまり、

・供給そのものはまだ存在している
・しかし輸送が不安定になっている

という状態です。

さらに、衝突が起きる場合も、

・陸上施設への攻撃ではなく
・船舶の拿捕や航行妨害

といった形になりやすいと見られています。

これはエネルギー市場にとってかなり重要で、

「供給ショックではなく、輸送ショック」

という特徴を持っています。

原油は「どれだけあるか」よりも「市場に届くか」で価格が動きます。
ホルムズ海峡はその“通り道”なので、かなり重要なポイントです。

それでも市場が崩れない理由

こうしたリスクがあるにも関わらず、株式市場は比較的しっかりしています。

その背景にあるのが「流動性」です。

流動性というのは簡単に言うと、

市場にどれだけお金が供給されているか

という話です。

今の環境では、この流動性が複数のルートから供給されています。


流動性は3つに分けて考えると分かりやすい

流動性という言葉はよく使われますが、中身は一つではありません。
大きく分けると3つあります。

①中央銀行の流動性(金融政策)

FRB(米連邦準備制度)が供給する資金です。
FF金利(政策金利)や資産買い入れなどが関係します。

現在は大規模な金融緩和ではありませんが、準備預金の管理などを通じて、一定の流動性は維持されています。

②銀行の信用創造(実体経済のお金)

銀行が企業や個人にお金を貸すことで、市場に資金が増えます。

これはGDP(国内総生産)や企業利益に直結する部分です。
最近はこの信用供給が増えており、景気サイクルを支える要因になっています。

③レポ市場(短期資金・レバレッジ)

金融機関が短期で資金を貸し借りする市場です。

ここがスムーズだと、

・資金を借りやすくなる
・ポジションを増やしやすくなる
・市場にレバレッジがかかる

という状態になります。

そして今回のポイントはここです。

この③のレポ市場が、今かなり強い状態にある

という点です。

レポ市場は「投資家がどれだけお金を借りて動けるか」を決める場所です。
ここが強いと、相場全体に資金が回りやすくなります。

なぜレポ市場が重要なのか

ここは少しだけ深掘りしておきます。

レポ市場は、いわば「金融市場の配管」のようなものです。

株や債券、金、暗号資産など、さまざまな資産に資金が流れるための通り道になっています。

特に重要なのは、

流動性 → レバレッジ → 資産価格

という流れです。

レポ市場が活発になると、

・資金調達がしやすくなる
・レバレッジが増える
・資産価格が押し上げられる

という構造になります。

さらに最近は、銀行規制(eSLR)の緩和によって、

レポ市場に供給される資金がさらに増える可能性

が指摘されています。

これは市場にとってかなり大きな変化です。


流動性は資産ごとに効き方が違う

ここも重要なポイントです。

流動性は一つではなく、どの種類の流動性かによって影響が変わります。

ざっくり整理すると、

・中央銀行の流動性 → 株式(特に成長株)
・銀行信用 → 景気・企業利益・小型株
・レポ市場 → 金・暗号資産・高ベータ資産

といった傾向があります。

つまり、

「お金が増えている」というだけでは不十分で、どこから増えているかが重要

ということです。

同じ流動性でも「どのルートで増えているか」で影響する市場が変わります。

市場を動かすのは「量」ではなく「変化」

もう一つ、かなり重要な考え方があります。

それは、

市場を動かすのは流動性の“量”ではなく“変化”

という点です。

例えば、

・流動性が多い状態でも減り始めれば弱気
・流動性が少なくても増え始めれば強気

ということが起きます。

特に1年程度(約252営業日)の変化を見ると、資金の流れが分かりやすくなります。

市場は常に、

「今、お金が増えているのか減っているのか」

に反応しているからです。


今の相場をどう見るか

ここまでをまとめると、現在の環境はこうなります。

・ホルムズ海峡などの地政学リスクはある
・ただし完全な供給停止ではない
・流動性はまだ複数ルートで供給されている
・特にレポ市場が強い

つまり、

「リスクはあるが、資金環境はまだ支えになっている」

という状態です。

さらに重要なのは、

現時点では流動性のトレンドが大きく崩れていない

という点です。

もちろん、この状態がずっと続くとは限りません。
将来的に流動性が変化すれば、相場の構造も変わります。

ただ、現状を理解する上では、

「流動性がまだ上向きかどうか」

これをチェックしていくことが重要になりそうです。


まとめ

今回のポイントを整理すると、

・ホルムズ海峡リスクは「輸送」の問題
・地政学リスクは不確実性が高い状態
・流動性は3つの経路から供給されている
・特にレポ市場の影響が大きい
・市場は流動性の「変化」に反応する

全体としては、

「地政学リスクと流動性の綱引き」

のような状態です。

このバランスがどう崩れるのか。
引き続き見ていきたいところです。

今回書いたような流動性の話は、単なるマクロの知識で終わらせるのではなく、実際のトレードにどう落とし込むかが重要になります。

自分は、

・流動性の変化
・市場のトレンド
・個別銘柄の強さ(RSなど)

を組み合わせて、トレードの判断をしています。

このあたりは文章だけだと少し分かりにくいので、実際のデータや具体的な手順としてまとめています。

興味があれば、こちらも参考にしてみてください。
トレーダー進化論

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

この記事で扱ったような内容は、ブログでは一部しか公開していません。

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この記事を書いた人

圧倒的な熱量で世界の相場を毎日14時間以上監視している専業トレーダーです。トレード、バックテスト、調査で得た学びを初心者の方にもわかりやすく発信しています。