米国株のチャートだけを見ると「もうかなり上がってきたし、そろそろ上昇も終わりかな?」と思ってしまうかもしれません。でも、マクロの経済指標を丁寧に読み解いてみると、また違う風景が見えてきます。
今回は「景気は本当にピークに近いのか?」という視点で、最新のデータを整理してみました。
経済には波があり、拡張からピーク、減速、後退、回復というサイクルを繰り返しています。投資家はこの位置づけを気にするのですが、最近「そろそろ景気がピーク手前なのでは?」という声も出ています。本当にそうなのでしょうか。
もくじ
景気がピーク手前のときの特徴
景気がピーク手前にあるときは、いくつか分かりやすい特徴があります。
例えば、ISM(米製造業の景況感指数)が60近くまで上がっていたり、金融政策が積極的に引き締めに動いていたりします。また、消費者の信頼感や雇用の安心感がとても高く、賃金の伸びも大きくなりがちです。さらに、企業の経営者の信頼感が強まり、設備投資も拡大する傾向があります。
今の状況はどうか
では現在のデータを見てみるとどうでしょうか。ISMはまだ50前後で、60には大きく届いていません。消費者や労働者の信頼感もそれほど高まっていませんし、賃金の伸びも力強いとは言えません。経営者の投資意欲も「熱狂的に強い」とまではいかないようです。
複数の指標を総合してみても、全体の水準はまだ3割程度にとどまっており、ピーク手前と呼ぶには遠い状況です。
景気サイクルの位置づけ
こうした状況を踏まえると、今のアメリカ経済はピーク手前ではなく、回復から拡張にかけて移行している段階と考えるのが自然です。つまり、まだ余裕を残した状態で、加熱感は見られません。
まとめ
景気がピーク手前にあるときは、ISMが高水準、金融引き締め、賃金や信頼感の過熱といった特徴が揃います。今のデータはそこからは程遠く、むしろ回復から拡張への移行段階とみられます。過熱よりも、まだ余力が残っていると考えられる局面です。
今日のネタ
知り合いに話すならこんなふうに言えます。
「景気がピークに近いって話もあるけど、データをよく見るとまだそこまでじゃないみたい。むしろ回復から拡張に向かっている途中って感じらしいよ。」なんてのはどうだろう。