今回はカナダドルと米ドルの組み合わせ、USDCADについてのマクロ背景を整理しながら、ロング(米ドル買い・カナダドル売り)方向のアイデアを考えてみたいと思います。為替の動きは一時的なテクニカル要因もありますが、今回は大きな経済の文脈を重視して見ていきます。
もくじ
カナダ経済の逆風
まず注目したいのはカナダの国内経済です。住宅価格は2022年をピークに下落基調に入り、失業率も5%から直近は7%を超えてきました。雇用の悪化は個人消費を冷やし、GDP成長率にも重しとなります。インフレ率はまだ高めに残っていますが、中央銀行であるカナダ銀行(BoC)は「景気が弱ければ物価は時間とともに落ち着く」と見ており、政策金利を引き下げる余地が意識されやすい状況です。
米国のインフレ指標に注目
一方、米国では今週は重要なインフレ関連指標が続きます。10日夜に生産者物価指数(PPI)、11日夜に消費者物価指数(CPI)が発表されます。普段はCPIが先に出ますが、今回は順番が逆。このため「PPIがCPIの先行ヒントになるのでは」と市場は注目しています。
過去のデータでは、PPIの総合とコアが同じ方向に強弱を示した場合、その流れが翌日のCPIにも反映されやすい傾向があります。もしPPIが予想より強ければ、「CPIも強いのでは」という連想で米ドルが買われやすくなる構図です。
マクロの役割とテクニカルの役割
ここで大事なポイントは、マクロのアイデアはあくまで「どの通貨ペアを、どちらの方向で見るべきか」を教えてくれるだけ、という点です。実際のエントリーやイグジットは、各自のテクニカル分析のルールに基づいて行う必要があります。たとえば私自身は、その時の値動きによってスマートマネーコンセプト、プライスアクション、エリオット波動分析、逆張りスキャル手法などを駆使し、マクロで決めた方向に沿ったエントリーを探します。
もちろん、もしPPIやCPIが思惑とは逆の方向に出れば、全ポジションを手仕舞って早期撤退する方針です。マクロ背景が崩れたら、テクニカルがきれいでも優位性は薄れるからです。
まとめ
カナダ経済は住宅や雇用の悪化で逆風が強まり、米国では今週のPPIとCPIがドルの方向性を決める重要イベントとなります。PPIが強ければCPIも強い可能性が高く、市場はドル買いに傾きやすい。こうした背景から、USDCADロングは短期的に注目すべきシナリオです。ただし、実際のエントリーは各自のテクニカル手法に従って行い、数字が想定外なら迷わず撤退する柔軟さを持つことが肝心です。
今日のネタ
知り合いに「今週はPPIがCPIより先に出るんだよ」と話してみてください。きっと「え?順番っていつも同じじゃないの?」と驚かれると思います。為替の世界では、こんな小さな順番の違いが大きなチャンスにもリスクにもなるんです。経済指標って奥が深いですよね。笑