FXの証拠金について初心者向けに分かりやすく解説します。FXでは証拠金という言葉がたくさん出てきます。図解で分かりやすく解説しますのでしっかりと理解しましょう。レバレッジと証拠金の関係をシミュレーションするスプレッドシートも役に立ちますのでどうぞ。
図解!証拠金の例 負けトレードの場合
まず、FX口座に5万円を入金して、残高が5万円の状態になっているところからスタートです。
ここでドル円を0.1ロット、つまり1万通貨買います。
レバレッジが100倍の業者なので、必要な証拠金は総額の1%、10,864円です。FX業者が残りの1,075,536円を貸してくれます。
レバレッジ100倍の業者であれば、取引金額の1%が必要証拠金として確保されます。
口座残高の5万円から、必要証拠金を引いた39,136円は、余っている証拠金ということで、余剰証拠金となります。余剰証拠金は他のポジションを建てるのに使うことができます。
余剰証拠金と、必要証拠金を足した金額を、有効証拠金といいます。
ではこのポジションが含み損になるとどうなるでしょうか?
2万円の含み損になりました。
すろと、余剰証拠金が2万円減り、19,136円になります。
他のポジションを建てることができる余剰証拠金が少なくなってしまったということです。
この時点で、口座残高としてはまだ5万円になっています。含み損はまだ確定していないので、口座残高としてはまだ5万円のままなんですね。
しかし有効証拠金は、必要証拠金+余剰証拠金の金額なので、3万円になります。
さらに含み損が増えて、マイナス3万円となりました。
この時点で有効証拠金は2万円となります。
余剰証拠金がたった9,136円になってしまいました。
ここからさらに含み損が増えるとどうなるでしょうか?
強制ロスカットになってしまいます。
強制ロスカットとは、FX業者が強制的に全てのポジションを成行で決済して損切りすることです。
ようするにですね、
「あなたはかなり負けが込んでいます。余剰証拠金がゼロになり、必要証拠金しか無い状態なので、強制的に決済しますよ」
ということで、余剰証拠金がゼロになった時点で、強制ロスカットになってしまいます。
この時点で、未確定の含み損だった損失が、確定した現実の損失になります。そして口座残高は、必要証拠金の10864円前後が残るのみとなります。
FX業者側からすると、貸している1,075,536円が回収できなくなったら困るので、すぐに決済して貸しているお金を引き上げたいということです。
必要証拠金は貸しているお金に影響が出ないようにするための緩衝地帯みたいなものです。
実際、ものすごいスピードの値動きで下がってしまう場合、必要証拠金の10,864円の緩衝地帯も無くなってしまって、貸している1,075,536円にも影響が出るケースも考えられます。
FX業者が貸してくれているお金にも負けの影響が出てしまった場合に、業者かトレーダーのどちらが負担するかは業者によってルールが異なりますので、あらかじめ確認しておく必要があります。
強制ロスカットのタイミングは余剰証拠金が全部なくなったタイミングだったり、余剰証拠金の80%が無くなったタイミングだったりと、業者によって異なります。これもあらかじめ確認しておくことをお勧めします。
証拠金の例 勝ちトレードの場合
これまでは負けるケースを解説しましたが、ここからは利益が出る場合の証拠金の動きも解説しておきます。
では、ポジションを建てた状態に戻ります。
レバレッジ100倍の業者でドル円を0.1ロット買って、必要証拠金と余剰証拠金がこのようになっています。
ここから、今回は含み益になっていきます。
ドル円は上がり、1万円の含み益となり、余剰証拠金が49,136円になりました。
含み益になった分は余剰証拠金が増えていきます。
まだ利食いしていないので、口座残高は最初の5万円のままです。
余剰証拠金が増えているので、増えた分はさらに他のポジションを建てるのに使うことができます。
さらにドル円は上がって含み益が増え、ついに利食い目標に到達します。
利食いしてポジションをクローズすると、借りていた資金は返金して、口座残高が利食いした2万円増え、元々は残高5万円だった口座の残高は7万円になります。
凄いですよね。FX業者から99%のお金を借りて儲けた2万円ですが、そのすべてを自分の物にすることができるということですから。
これがレバレッジの凄さです。
レバレッジの欠点
もちろんレバレッジには欠点もあります。
レバレッジを使うということは、全ての金額が大きくなります。
虫眼鏡みたいなものです。
建てることができるポジションのサイズが大きくなり、利益の金額が大きくなりますが、それと同時に、もし負けた時の損失の金額も大きくなります。
大きなレバレッジでトレードすると、運が良ければ短期間で口座を数倍にすることが可能ですが、ちょっとした負けであっという間に口座の余剰証拠金が底をついてしまうこともあります。
どれぐらいすぐなのか、スプレッドシートでシミュレーションしてみましょう。
この表は、レバレッジの倍数によって、有効証拠金をいっぱいいっぱいに使って売買した場合に、何%の含み損で強制ロスカットになるのかをシミュレーションするためのものです。
まず、例えば、レバレッジ500倍の業者でトレードするとします。
レバレッジの欄に500と入力します。
何%の含み損で強制ロスカットになるかが表示されます。レバレッジが500倍なら、0.2%の含み損で強制ロスカットになります。
レバレッジがが500倍だと、5万円の口座残高で、だいたい2500万円のポジションを建てることができます。
2500万円をいっぱいいっぱい使いきってポジションを建てた場合、0.2%の含み損が出ただけで強制ロスカットになってしまい、口座残高がほぼゼロになって退場になるということです。
0.2%というとドル円だとだいたい20ピップス程度逆行しただけで強制ロスカットになるということです。
ここまでレバレッジを上げると怖いですね。
レバレッジが20倍にすると、5%まで余裕が出てきます。5%というと、ドル円だと500Pips程度です。
このように、レバレッジの倍数が大きくなると、ちょっとした逆行で強制ロスカットにかかってしまいますので、注意が必要です。
この表を使って一度レバレッジのシミュレーションしてみることをお勧めします。
以上で、証拠金とレバレッジについての解説を終わります。