近未来の値動きを予測し、トレンドチャネルを先回りして認識するスキルはプライスアクショントレーダーにとって最も重要なスキルです。トレンドチャネルを使うと、ほかの負け組トレーダー達がまだ気づいていない優位性のあるエントリーポイントを見つけることができます。ただトレンドチャネルを引けばよいのではありません。誰の目にも明らかになる前に、先回りしてトレンドチャネルを引けることが重要です。その方法、専業トレーダーのサンチャゴが伝授します。
もくじ
トレンドチャネルは最も重要なスキル
この連載で解説するシンプルなプライスアクション手法におけるエントリーポイントの8割以上はトレンドチャネルで見つけるポイントです。水平線や移動平均線との重複も考慮するのですが、トレンドに沿ったエントリーを狙おうとすると、やはりトレンドチャネルが中心となります。
この連載の中で最も重要なノウハウの一つとなりますので、必ず何度も読み返し確実に習得してください。
トレンドチャネルとは何か?
トレンドチャネルとは、値動きの通り道みたいなものです。
99%の場合、FXの値動きというのは、こんな風に一直線に進むものではありません。
大抵の場合、こんな風にジグザグに進んでいきます。
そのジグザグのスイングハイを結んだラインと、スイングローを結んだラインの2本で囲まれた通り道をトレンドチャネルといいます。
トレンドチャネルを使って見つけるエントリーポイントはどこかというと、ここです。
中途半端な位置ではなく、トレンドチャネルに当たる位置が優位性の高いエントリーポイントとなります。
これは上昇トレンドチャネルですので、長期的には右上がりです。その中でも短期的に下げている局面において、中途半端な位置ではなくトレンドチャネルのラインまで下げてきたところでエントリーするのが良いということです。
ダウントレンドチャネルも全く同じ考え方です。
右下がりのトレンドチャネルにおいて、一時的に上げている局面を待ち、その上昇が右下がりのトレンドチャネルラインに当たる部分が、ショートエントリーを狙うには絶好のエントリーポイントになります。
トレンドチャネルは誰の目にも明らかになった時点で機能しにくくなる
トレンドチャネルの引き方ですが、解説はいろんなところにあると思います。中には以下のような解説を見たことがあると思います。
後付けで、何度も何度も試されているトレンドラインを上下に引いて、トレンドチャネルの完成!そのラインに沿ってトレードしましょう♪
といった方法です。簡単ですが、残念ながらその方法だけだと役に立ちません。
トレンドチャネルは誰の目にもトレンドチャネルだと明確になった時点で素直には機能しにくくなるからです。
ですから、後付けで何度も反応しているトレンドラインを使ってトレンドチャネルを引いても、平均以上の結果はなかなか期待できません。
誰の目にも明らかなトレンドチャネルを使って素直にエントリーしようとすると、だましに引っかかりやすかったり、そもそもエントリーした瞬間にトレンドの向きが変わってしまいやすかったりします。
誰でもわかるエントリーポイントでは、平均的なトレーダーがエントリーしてきますから、平凡なトレーダーと一緒、ということで負けやすくなってしまうんですね。
トレンドチャネルは先回りして予想で引け
誰の目にも明らかになったトレンドチャネルは機能しにくくなるということが分かりました。
じゃあ、どうすればよいのでしょうか?
先回りして、なるべく早くトレンドチャネルを引いたらよいのです。
誰の目にも明らかになる前に、先回りして、予想でトレンドチャネルを引いてしまうということです。
上昇トレンドチャネルを先回りして引く方法
上昇トレンドチャネルは2つのスイングハイができた時点で描くことができます。
この絵のように、2つのスイングハイができ、2つめのスイングハイから少し下げ始めた時点で、予想で上昇トレンドチャネルを描くことができます。
①まず2つのスイングハイを結んだトレンドラインを引きます。
②次にそれと平行なトレンドラインを、①の2本のスイングハイの間にあるスイングローを起点として引きます。
これで、他の一般トレーダーには認識できていないであろトレンドチャネルを先回りして引くことができます。
そして、右上がりのトレンドチャネルラインの下のラインに当たる位置をエントリーポイントとすることができます。(↑画像の薄い紫のボックス)
あとはそこに価格が近づいてくるのを待ち、下位足の売買シグナルを使ってエントリーを狙っていきます。(詳細なトレードプロセスは別のページで解説しています)
では実際のチャートを使った実例を見ておきましょう。
これはポンドドルの日足です。今解説した方法で引いたトレンドチャネルを使って見つけたエントリーポイントで買いエントリーしました。(ピンクの塗りつぶし)
日足で見える上昇の値動きの中で、この2つのスイングハイを重要なスイングハイと考えました。
この2つのスイングハイを結ぶトレンドラインを引き、スイングローの位置にコピペするのですが、そのやり方にちょっとしたコツがあります。
ローソク足にはヒゲや実体があって、「どっちに引くんだ?」ということになってしまうのですが、両方使う方法がおすすめです。
トレンドラインにはいろんな引き方があって、ピンポイントで1本のラインとして捉えるのは難しいので、2本のラインを引いてエリアとしてとらえます。
まず、スイングハイの実体からヒゲを結ぶトレンドラインを引き、それと並行のラインをスイングローのヒゲを起点に引きます。
これだけでもトレンドチャネルになってるのですが、もう1本引きます。
先ほどは実体からヒゲにトレンドラインを引きましたが、今度はその逆です。スイングハイのヒゲから実体にトレンドラインを引き、それと並行のラインをスイングローのヒゲを起点に引きます。
こうすることで、トレンドチャネルのエントリーポイントを、線ではなくエリアでとらえることができます。
この場合だと、上昇トレンドチャネルの下のラインが2本あるので、その2本のラインに囲まれたエリアをエントリーポイントと考え、そこで下位足の買いシグナルが出たらエントリーを狙うといったことをします。
このロングエントリーは今のところ半分利食いが終わり、残りのポジションはノーリスクで保持していて、トレンドチャネルの上ラインで利食いする予定です。
今回の買いトレードは上手くいきそうですが、このトレンドチャネルが誰の目にも明らかになってからエントリーを狙うなら、以下のような感じで上手くいきにくくなるのではないかと予想してます。
ダウントレンドチャネルの引き方
次にダウントレンドチャネルの引き方を解説します。先回りしてなるべく早く引く方法です。
これも、上昇トレンドチャネルの引き方と上下が逆なだけで、全く同じ考え方です。
ここからダウントレンドになるのでは?と思ったら、2つのスイングローができた時点でダウントレンドチャネルを描くことができます。(2つめのスイングローから少し上げ始めた段階で)
今度は2つのスイングローを結ぶ右下がりのトレンドラインを引き、それと並行のトレンドラインをスイングハイを起点に引きます。
この場合も上昇トレンドチャネルの場合と同じく、「実体からヒゲのライン」と「ヒゲから実体のライン」の2セットのトレンドラインを引きます。
そして見えてくる2本の下降トレンドチャネルの上ラインのエリアをショート狙いのエントリーポイントとします。
こんな感じでバッチリ下げてくれる時ばかりではありません。しかし週足や日足でこの方法を試すと、成功率が高いことに驚くことでしょう。
これがダウントレンドチャネルを、誰の目にも明らかになる前に先回りして描く方法です。
トレンドチャネルと他の理由との重複
今回解説しているプライスアクション手法の8割~9割はトレンドチャネルを使って見つけたエントリーポイントでエントリーを狙います。だからといって、いつもトレンドチャネルだけでエントリーポイントを探しているわけではありません。
他の理由との重複がある場合を重視しています。
トレンドチャネルとそれ以外の他の理由との重複があると、もっと良いエントリーポイントとなるのです。
トレンドチャネルと水平線の重複
たとえば、水平線との重複です。
先ほど例として挙げたダウントレンドチャネルのエントリーポイントは、意識されている水平線と重複していました。
サポートラインから価格が下に抜けてしまい、レジスタンスラインに変化している水平線です。
こういった水平線とトレンドチャネルの重複があると、そのエントリーポイントがパワーアップします。
このパターンで見つけるエントリーポイントはこのプライスアクション手法の定番パターンです。
移動平均線とトレンドチャネルの重複
主要な移動平均線とトレンドチャネルとの重複もプロトレーダーの間でよく使われます。
主要な移動平均線とは、50本、100本、200本などの移動平均線です。
この場合だと、ピンクが100本、ブルーが50本の単純移動平均線です。短期線(50本)が長期線(100本)の下にあり、どちらも下向きに傾いているのが分かると思います。この状態の移動平均線は、レジスタンスラインとして機能するといわれています。
その移動平均線が先程のトレンドラインと水平線の重複エリアにありますので、重複の理由がもう一つ追加されることになります。そうなると、ここはさらにエントリーポイントの正当性が上がるというわけです。
このように、トレンドチャネルだけでエントリーポイントの判断をしているのではなく、水平線や移動平均線などの他の理由との重複も意識しています。
その他、僕は大口約定ラインとMTFピボットをとても重視しています。その話題はこの連載の範疇を超えてしまうので、大口約定ラインとMTFピボットについてはまた別の機会に解説したいと思います。
皆さんのお気に入りのインジケーターや水平線の引き方があれば、今回解説したトレンドチャネルと組み合わせて使ってみると面白いかもしれませんね。
トレンドチャネルの引き方まとめ
最後に、この記事で解説した重要ポイントをまとめておきます。
- トレンドチャネルはエントリーポイントを見つけるためにとても重要!
- 誰の目にも明らかになる前に先回りして引く必要がある
- 2つのスイングハイ/スイングローがあればトレンドチャネルは(予想して)描ける
- トレンドチャネルは実体からヒゲのラインとヒゲから実体のラインの2セットで引いてエリアでとらえる
- 水平線や移動平均線などとトレンドチャネルラインの重複も使うと上手くいきやすい
以上でトレンドチャネルの引き方の解説を終わります。最後までお読みいただきありがとうございました。